トトオです。
二回目となる「割とレアなアレ」、今回はすかんちの『スカンチン・ロール・ショウ』です。
前回の記事はこちら。
最近のすかんち関連の記事はこちら。
今回の記事のポイントはこちらです。
ポイント
高槻の青年とその従兄弟の軌跡
結論
先に結論です。
幻の名盤・・・発見
インディーズ二作品
すかんちはメジャーデビュー前に、二枚のインディーズ作品を発表しています。
一枚目が『オジタスの謎』で、二枚目が今回紹介する『SCANCH’N ROLL SHOW』です。
彼らがすでに解散してしまった90年代後半、私は彼らのファンになりました。
すかんちはオリジナルアルバムが六枚と少ないため、デビュー前の作品も聴いてみたいと思っていましたが、このインディー二作品は、当時は中古品でもお目にかかることはありませんでした。
ライブ会場限定販売(?)
2000年代に彼らの再結成ライブに参加した私は、その会場で本作が販売されていることに驚愕します。
即購入しましたが、その後再販された形跡は見当たらず、今考えると大変ラッキーでした。
(一瞬だけ通販もしていたのでしょうか??)
すかんち『SCANCH’N ROLL SHOW』(1988)
『ウルトラ大作戦』に続く道
本作は1988年発表です。その二年後に彼らは『恋のウルトラ大作戦』でメジャーデビューします。
本作には、その『ウルトラ~』に収録されることになる楽曲の、原曲が五曲が収録されています。
フォルクローレ(『HONEY』の原曲)
ウルトラロケットマン
スローソンの小屋
恋のT.K.O.
『ウルトラ~』収録版と比較して、楽曲の原型はほぼ完全に出来上がっています。
『ウルトラ~』収録版のアレンジは、メジャー作品らしく、隙のない素晴らしい完成度です。
一方本作は、音の重ね方が明らかにチープで全体的に緩いですが、結果的にこれが、バンドの「楽しい」雰囲気をうまく表現して、すかんちというバンドの魅力が伝わります。
ちなみに、『JAZZ』と『Mr.ロックンローラー』の二曲は、『SWEETS』というベストのおまけのシングルに収録されていたため、この二曲だけは聴いたことがありました。
絶大なリマスター効果
私は、本作のインディー時代の音源を聴いたことはありません。
そのため、比較はできないのですが、私が購入した再発盤はリマスターされており、驚くほど音が良いです。
正直なところ、メジャーデビュー前のインディー音源なので、音質にはあまり期待しておらず、この点は良い意味で期待を裏切られました。
(YouTubeにはリマスター音源は見当たらず残念)
インディー時代の音源は、おそらくかなりチープな音質だったのだろうと想像されますが、リマスター盤では、ラフで生々しい演奏がクリアな音質で聴けるようになっており、かなり聴き応えがあります。
「アメリカン」濃いめのハードロック
メジャーデビューの『ウルトラ~』との明確な違いが、本作は80年代アメリカンハードロック色が濃厚な点です。
どこかカラッと陽気なムードがあり、音にも余韻を感じさせる「隙間」があって、演奏に良い意味での雑味があります。
続く『ウルトラ』では、グラムロック色が濃く、分厚く緻密な音に変化していて、本作にある独特のリラックスしたムードが、やや削がれています。
本作では感じられたデイヴ・リー・ロスのような豪快さが、次作ではマーク・ボランのような艶やかさに変化した、といったところでしょうか。
高槻の青年とその従兄弟の軌跡
本作最大の魅力は、大阪高槻のロック好きの青年寺西一雄が、自分の夢に向かってがむしゃらに取り組んだ、その軌跡を楽しめるところでしょう。
ライナーに制作当時のエピソードが詳細に書いてあり、これが必読です。
(このライナーのためだけにでも買う価値あり)
環境が整っていないにも関わらず、アイディアと情熱だけでこの完成度に仕上げたという点は、驚愕です。
従兄弟のマッキー(槇原敬之)に手伝ってもらった部分もかなり多く、いずれスターになる彼らの無名時代と思うと、今聴いても胸熱です。
この司会の声はマッキーが担当しており、従兄弟の仲は本当に良かったんだなと、とても微笑ましいです。
トトオのオススメ名曲ランキング
オススメ
ランキング
1位『君は窓辺のパントアイム』
2位『恋のT.K.O』
3位『13階の女』
終わりに
本作のチープ・ローファイな手作り感には、彼らの個性(特に楽しさ)をブーストさせる効果があります。
そのため、メジャーデビュー後の作品は、完成度は高まっても、彼らのキャラクターはやや薄まった印象さえあるほどです。
ローリー寺西がROLLYになったあたりから、キャラクターがよりナチュラルに出るようになって、本来のリラックスしたムードが再び濃くなったような気がします。
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