トトオです。
今回の好きなんなんなんは、すかんちの『ゴールド』です。
前回の記事はこちら。
今回の記事のポイントはこちらです。

ポイント
「最高傑作」のその先へ
結論
本作の結論を述べます。
すかんちのローリー寺西からROLLYのすかんちへ
では、レビューいきましょう。
すかんちの「最高傑作」は?
すかんちは、合計6枚しかオリジナルアルバムを発表していません。
(メジャーのみ)
個人的には、94年の『OPERA』が彼らの最高傑作だと思っています。
ちなみに、過去書いたすかんちの記事はこちら。
しかし、その次の作品に当たる『GOLD』も、『OPERA』とは方向性は異なりますが、傑作と言える内容です。
SCANCH『GOLD』(1994)
メンバー交代「だけじゃない」
『OPERA』と『GOLD』、最大の違いはキーボードが交代したことです。
正確には、デビューから所属したドクター田中が脱退し、小川文明が加入しています。
ドクター時代は、すかんちは完全な四人編成のバンドでした。
作品毎に必ずドクターが歌う楽曲もありました。
バンドメンバーそれぞれの存在感は、だいたい横並びな印象でした。
小川時代の本作では、スリーピースバンド+キーボードという形に変化しています。
(ジャケットにも三人だけ)
実績に裏打ちされた「自由度」
バンドの体制が変更になった結果、それまでの作品で設定されていた、ある種の統一ルールが撤廃されています。
(楽曲タイトル・構成など)
これが結果的に功を奏しており、過去作よりも楽曲の自由度が高いです。
前作までは、完璧に作品を作り上げることに重きを置かれていました。
隅々まで計算し尽くされた、完成度の高い作品ばかりです。
本作では、作品の完成度よりも、バンドの演奏やノリに重きを置いています。
これはやはり、メジャーで経験を積み重ねてきた自信の表れでしょう。
結果、楽曲の自由度は増し、バンドが音楽をリラックスして楽しむムードに満ちています。
バンドブームを生き残った実力
『OPERA』を経て、オペラ歌唱へ
演奏面における本作最大の特徴は、ローリーの歌唱の変化です。
前作から、大きく声質が変化しています。
それまでは、ハイトーンボイスでも、どこか線が細い印象でした。
本作では、声が劇的に太くなり、明らかに声量が増加しています。
オペラ歌手になるための修行を積んだかのようです。
(前作が『OPERA』だったから?)
ローリーが、ローリー寺西ではなく、ROLLYになったのは、すかんちを辞めたあとです。
しかし、ROLLYというパブリックイメージが完成されたのは、本作の時期ではないでしょうか。
オルタナ時代のグルーヴ感
ローリー以外のメンバー、リズム隊もパワーアップしています。
以前から実力十分な小畑ポンプですが、本作ではドラムサウンドがより生々しいです。
前作までは80年代グラムメタルのような、作り込まれたゴージャスなサウンドでした。
本作では70年代ハードロックのような、ストレートでライブ感溢れるサウンドです。
ベースのShima-changも同様で、よりグルーヴ重視のサウンドに移行して、存在感を増しています。
本作は94年発表ですが、グランジ・オルタナティヴロック全盛期であり、その影響も感じられます。
ちなみに、本作はメンバーの楽曲貢献度のバランスが良く、ハイライトの一つ『Sugar Sugar Baby』は、Shima-chang楽曲です。
この延長線上で、次作の傑作『セラピスト』も生まれます。
自由度の代償と最終作
本作はバンドの実力をダイレクトに反映した、自由度の高い傑作です。
しかしながら、アルバムとしては、楽曲のクオリティに若干のばらつきも感じます。
この路線をさらに突き進めたのが、次の最終作『DOUBLE DOUBLE CHOCOLATE』です。
こちらも良い作品ですが、バンドがここで終わってしまった理由も、なんとなく透けて見えます。
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オススメ
ランキング
1位『おまえは俺のモノ』
2位『Sugar Sugar Baby』
3位『惑星ギリニウム』
終わりに
本作のような絶妙なバランス感を保ったまま、もしバンドがずっと続いていればどうなったでしょうか。
あと数作出せば、『OPERA』を超える最高傑作が生まれていた可能性が高かったと思います。
私くらいの世代には、彼らは知名度のあるバンドですが、意外と楽曲は聴かれていません。
(ごっつええ感じの例の曲くらいしか)
欧米ではレトロなハードロックのリバイバルが定期的にやってきますが、日本でも最近80-90年代が再注目されているようです。
バンド自体はまだ動いていますので、もうひと花咲かせるチャンスはありそうです。
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