トトオです。
チルドレン・オブ・ボドム記事に、
90年代イン・フレイムスの、
来日の思い出も併せて書きました。
トトオです。
みなさん好きですよね?
メロデス。
メロデスという言葉を聴くだけで、
心躍るほど、私の青春の一ページといえる、
音楽ジャンルです。
そんな私が、メロデス好きになったのは、
イン・フレイムス/In Flames
というバンドのおかげです。
このイン・フレイムスは、
キャリアを重ねるにつれて、
少しずつ音楽性を変えてきたバンドです。
現在は、メロデスとは言えないかもしれませんが、
彼らの全キャリアを追うものとして、
語りたいと思います。
この記事は、
以下のような方にオススメです。
慟哭・哀愁・琴線等の言葉が好きな人
イン・フレイムスから一旦離れてしまった人
メロデスとは
そもそも、メロデスとはなんぞや、
というところから話します。
メロディック・デスメタル、の略が、
メロデス、です。
「メロデス、です」
自然と韻を踏んでいますね。
メロディック・デスメタル、
と聞いても、意味がわからない人に、
もう少し説明を加えます。
メタル、はヘヴィメタルの略です。
(これもピンとこない人は、
Judas Priestの『Electric Eye』を、
聞いてください。これがメタルです(断言))
ヘヴィメタルというジャンルは、
更に細分化されており、
その一つにデスメタルがあります。
デスメタルの最大の特徴は、
デス声という、耳障りなダミ声(?)です。
そしてようやく肝心の、
メロディック・デスメタルですが、
『ダミ声で歌うシンガーがいる、
メロディックなヘヴィメタルバンド』です。
今自分で説明しながら、
何を言うてるんだろう、
という気持ちになっています。
イン・フレイムスについて
北欧はスウェーデンで、
1990年に結成されています。
スウェーデン含め、
北欧はメタルバンドが多いですね。
中でも、スウェーデンはメロデスの名産地です。
北欧の民謡(?)のメロディが、
メタルと相性良いんですね。
2000年代 5枚
2010年代 4枚
と、彼らはこれまで、13枚作品を発表しています。
大きく彼らが転機を迎えるのは、
フレデリック・ノルドストローム時代の終焉
2000年代中盤
本格的な脱メロデス化
2010年代前半
イェスパー・ストロムブラードの脱退
このあたりになります。
詳細は、年代毎のレビューで書きます。
彼らは、初期はメロデスでしたが、
モダンなヘヴィミュージックに、
徐々に移行します。
また、メインソングライターであり、
バンドの創設者である
イェスパー・ストロムブラード/Clas Håkan Jesper Strömblad
が、2010年にバンドを脱退します。
それでは、1回目の今回は、
1990年代に発表された4枚について、
例の如くランキング形式で紹介します。
貴重なミカエル・スタンネ時代の一枚!
第4位
初期の傑作『Stand Ablaze』 / ☆☆☆☆
94年に発表された彼らのデビュー作です。
アイアン・メイデンあたりの影響が強く、
やはり、やや古臭いです。
まだギターとベースの音が細いため、
ボーカルのデス声がなければ、
ほぼ、正統派メタルと言えるでしょう。
このチープな音質のため、
B級バンド感は否めません。
一曲目『Behind Space』は、
彼らの初期の代表作ですが、
メロディ・構成、共に素晴らしいです。
本作では音が貧弱ですが、
後に取り直したバージョンは、
かなりヘヴィになっています。
(※四作目『Colony』収録)
アウトロのアコギのメロが、たまらなく素敵です。
他には、バイオリンの曲が入っていたり、
ピアノのイントロがあったり、
彼らは当初から、アレンジが上手いですね。
メロディはやはり、
北欧民謡のような、独特の哀愁漂うものが多く、
このあたりは、
アメリカのバンドと差別化を図っています。
また、このアルバムの最大の特徴は、
ボーカルが
ミカエル・スタンネ/Bengt Mikael Stanne
で、あることです。
本作以降、二代目の
アンダース・フリーデン/Pär Anders Fridén
が、現在に至るまでボーカルを務めます。
つまり、このアルバムだけは、
ボーカルが違うことになります。
個人的には、
ミカエルはメロデス界最高のボーカル、
だと思っています。
どこかで、「天使のデス声」と、
紹介されていましたが、まさにそのとおりです。
デス声なのに美しいです。
彼はイン・フレイムスを抜けたあと、
同じスウェーデンのメロデスバンド、
ダーク・トランキュリティ/DARK TRANQUILLITY
に、加入しますが、そちらでの仕事も素晴らしく、
いずれ別記事にしたいと思います。
当時発売された、このアルバムの国内盤には、
ミニアルバム『Subterranean』が、
ボーナストラックとして、
丸々収録されていました。
その中に、名曲『Stand Ablaze』が含まれます。
(今はこの当時の国内盤は、
プレミア価格になっているようです)
当時、Burrn!では、
この曲が物凄くプッシュされており、
私もそれがきっかけで、
このバンドに更にハマりました。
ツインリードギターのユニゾンで押しまくる曲で、
間違いなく、彼らの初期の代表曲です。
メロディに哀愁があり、
ジャーマンメタルみたいに、
メロディックでもダサくならないところが、
彼らのセンスでしょう。
(私はジャーマンメタル好きですが)
現在『Stand Ablaze』は、
『Lunar Strain』のボーナストラックではなく、
本来の『Subterranean』で、
聴けるようですので、要注意です。
『Behind Space』
『Stand Ablaze』
ジャケットが変わっててややこしい第3位!
第3位
アンダースの初仕事 / ☆☆☆☆
第3位は、1996年発表の二作目です。
大きな変更点は、やはりボーカルの交代でしょう。
ミカエルはどちらかというと、
細くて高い金切り声でしたが、
アンダースは吠える感じで、
今で言うグロウルっぽいです。
更に、音質の向上(特に中から低音)もあって、
前作より遥かにヘヴィです。
曲も粒揃いで、かなり練られて作られた印象です。
B級臭さは大分抜けました。
『The Jester Race』
『Moonshield』
など、名曲が揃っています。
『Moonshield』に見られるような、
アコギで奏でる北欧民謡のメロディと、
ディストーションギターの組み合わせは、
初期イン・フレイムスの十八番ですね。
『December Flower』や、
『Artifacts of the Black Rain』あたりの、
怒涛の美メロの応酬は、
天才ソングライターイェスパーの才能が如何なく、
発揮されています。
アンダースのボーカルは、
この当時まだ開発途上ですが、
この作品以降、さらに上手くなっていきます。
ちなみにこのアルバムは、
旧盤と現行盤のもので、
かなり曲順が違うようです。
旧盤を聴きなれた私には、
現行盤の並びには、やや違和感を感じます。
『Moonshield』
『Artifacts of the Black Rain』
メロデス黄金時代の一枚!
第2位
どストライクな『Embody the Invisible』/ ☆☆☆☆☆
第2位は、1999年発表の四作目です。
当時私は、このアルバムを発売日に買いましたが、
期待度は凄まじいものでした。
同じスウェーデンの人気メロデスバンド、
アーチ・エネミー/Arch Enemyの三作目、
『バーニング・ブリッジズ/BURNING BRIDGES』と、
同時発売だったと記憶します。
(どちらも当時はトイズファクトリー所属)
余談ですが、
いつから
『アーチ・エネミー』になったんでしょう。
ずっと『アーク・エネミー』と呼んでいたので、
未だにそちらのほうが自然です。
それはさておき、
一曲目『Embody the Invisible』を聴いたときは、
ガッツポーズしましたね。
「欲しかったんは、これや!これなんや!」
という感じの、ド直球のメロデスです。
ドラムやベースなどリズム隊と、
ギターの音の厚みは、更に強化されています。
ドラマーが交代し、
ダニエル・スヴェンソン/Daniel Svensson
になった影響が大きいです。
このアルバムは、
順当に前作からステップアップした印象ですが、
四曲目『Colony』のように、スピードを落として、
グルーヴ感を出した曲にもチャレンジしています。
また、『Zombie Inc.』といった、
正統派メタル風の曲でも、
途中のクリーントーンは、かなり工夫しています。
イン・フレイムスは、当時の国内盤では、
ボーナストラックがやたら充実しているのですが、
このアルバムも、前例にもれず、
ボーナストラックが良いです。
当時のボーナス曲『Man Made God』は、
インストの曲ですが、メタリカあたりが開発した、
クリーントーンと
ディストーションサウンドのギターで、
ドラマティックに曲を仕上げるスタイルの、
最終形態のような曲です。
こんな素晴らしい曲がボーナス扱いなんて、
普通のバンドではありえないでしょう。
ちなみに現在の国内盤には『Man Made God』は、
収録されていないようですので、
ご注意ください。
『Embody the Invisible』
『Zombie Inc.』
『Man Made God』
1位はメロデス界の最高傑作!
第1位
最高傑作『Goliaths Disarm Their Davids』 / ☆☆☆☆☆
第1位は、97年に発表された彼らの三作目です。
たまたま私の周辺では、
このアルバムを好きな人が多いですが、
一般的には『Colony』のほうが、
名盤の扱いを受けている印象です。
私はラッキーなことに、高校生当時、
このアルバムをリアルタイムで聴いており、
無駄に溢れる若いエネルギーを、
このアルバムを聴くことで昇華させていました。
本作は、
初期のメロディック・デスメタルの、
完成形と言っていい出来で、
確実にこのジャンルでは、
当時、世界最先端だったと思います。
一曲目『Jotun』から、
ツインギターによる流麗なメロディの洪水です。
アンダースの声は前作よりも太くなっており、
そのおかげでヘヴィさが増しています。
楽器の音も、二作目から、
クオリティアップしてはいますが、
そこまでヘヴィにならず、
重低音は明らかに『Colony』が上です。
これはおそらく、この当時のドラマーが
ビョーン・イエロッテ/Björn Ingvar Gelotte
だったことも要因でしょう。
彼は元々ギタリストなので・・・。
(それにしては相当上手いですが)
しかし、
このアルバムの音のバランスは絶妙で、
間口はかなり広いと思います。
五曲目『The Hive』は超名曲で、
メロデスというジャンルを超え、
メタルというジャンルでも傑作だと思います。
『Episode 666』あたりもそうですが、
スタンダードなメタルっぽい下地がある曲も多く、
メロデスはやかましいから嫌、という人にも、
是非聴いてもらいたいです。
このアルバムで面白いのは、
デペッシュ・モード/Depeche Modeの、
『Everything Counts』のカバーが、
入っていることです。
原曲を知っていても、パッと聴いてわからないほど、
完全なメロデスになっていて面白いです。
ちなみに原曲はコチラ。
死ぬほど良い曲ですね。やっぱりいいなーDM。
それはさておき、本作では、
アンダースはデス声でも、
かなりしっかり歌っており、
その後進化していく歌唱スタイルの、
布石といえるでしょう。
また、本作も当時の国内盤には、
ミニアルバムが、
おまけにそのままくっついています。
『Goliaths Disarm Their Davids』は、
本作と前作『The Jester Race』の
架け橋といえる曲で、
初期インフレイムスの最高傑作です。
音のバランスも、ヘヴィになりすぎない、
絶妙な味付けです。
メインのギターメロも本当に素晴らしく、
他の凡百のバンドの、はるか高みにいます。
変わり種の『Acoustic Medley』は、
過去曲をアコースティックギターのみで、
メドレー形式で繋げたものです。
これを聴けば、彼らがどれだけ、
メロディを大事にしているバンドか、
よくわかります。
(残念ながら、
現在の国内盤には含まれないようです)
『Jotun』
『The Hive』
『Goliaths Disarm Their Davids』
終わりに
このレビューのために、
久しぶりに初期作ばかり聴き直しましたが、
今聴いても信じられないくらい、
素晴らしい出来です。
その後、彼らはかなり音楽性を変え、
物議を醸します。
その理由は明らかで、初期の彼らの作品が、
あまりにも素晴らし過ぎたからでしょう。
彼らは、現状に飽き足らず、
進化することを選んだ結果、
今日までキャリアが続く、
息の長いバンドになり得たのだと、
今は思います。
しかし、書き始めると、書くことが多すぎて、
予想以上のボリュームになりました。
別々の記事にした方がよかったかな、
とやや後悔しています。
これでもかなりカットしました・・・。
次回は、名プロデューサーを離れ、
且つ、大幅な路線変更を行った、
2000年代をレビューします。
コメント
世代ドンピシャですね!メディアの評価はイマイチでも、ワタシも「ホラクル」が最高傑作だと思っていました!泣けるメロディーが良いですね!
中村様
コメントありがとうございます。当時リアルタイムで聴いた人間としては、『ホラクル』の衝撃は凄まじかったですね。あれがあったからこそ、『コロニー』でさらに注目されたんだと思ってます。