トトオです。
今回のオールタイムベストは、クリードの『ヒューマン・クレイ』です。
前回の記事はこちら。
今回の記事のポイントはこちらです。
ポイント
『Load』好きなら100%ハマる
結論
先に結論です。
では、行きましょう。
驚異的な人気の新人バンド
誰か聴いてる?
1998年頃。ヘヴィロックのムーブメントが世界的に盛り上がりました。
私は完全なるメタラーでしたが、モダンなメタル、つまりヘヴィロックも同じように聴いていました。
当時、何冊もメタル関連の雑誌を購読していましたが、アメリカで超人気の新人バンド・CREEDが日本デビューした時、専門誌ではほぼ全く取り上げられませんでした。
しかし、私は運良くデビューアルバムからこのバンドを知ることができました。
ネットはない、読者評はある
では私がネットもない時代に、どうやってこのバンドを知ったかと言うと、
BURRN!の読者レビューのページで取り上げられていたからです。
今もこのページがあるのかどうかは知りませんが、読者によるレビュー記事は、B!の記者とは異なる視点があって、新鮮で楽しめました。
そのレビューにおいて、CREEDのファーストは、
というように評されていました。
賛否分かれるのは理解できますが、これくらい格好良い曲はなかなか無いと思います。
『Load』好きの私が買ったCREEDのファーストは、予想を遥かに超える素晴らしい出来でした。
スローでヘヴィなグルーヴに加え、ニルヴァーナのようなローファイなサウンドは、荒々しくもクールです。
パール・ジャムのエディ・ヴェダーに似た、渋くて味のあるボーカルもマッチして、この組み合わせならそりゃ人気出るわ、と思ったものです。
しかし、日本では周りに誰も聴いている人がおらず、一抹の寂しさを感じていたところ、セカンドが発表されました。
CREED『Human Clay』(1999)
ローファイからハイファイへ
ファーストの魅力の一つは、良くも悪くもそのローファイなアレンジでした。
リフや構成はいわゆるヘヴィロックそのものですが、シンプルで潔いアレンジは、ニルヴァーナのようなオルタナパンクを感じさせます。
このアレンジが、バンドの若々しいエネルギーを上手く真空パックしていました。
続くセカンドである本作は、音質面で劇的にクオリティアップしています。
前作の、ガレージで一発録りしたかのようなライブ感溢れるサウンドが、本作では各楽器の分離が進み、バンドアンサンブルが強化されました。
端的に言うと、メジャーのアーティスト然とした、ハイファイなサウンドに進化しています。
個人的には、ファーストはファーストで味があって好きですが、彼らの代表作はこちらのセカンドになるかと思います。
売り上げもメジャーアーティストにふさわしく、2,000万枚超という超弩級のセールスを記録しました。
絶妙な各パートのバランス
このように、セカンドはファーストから劇的にクオリティアップしましたが、セカンドに続くサードでは、さらに完成度が向上します。
しかし、そのサードではギターが過剰にヘヴィなディストーションに変化していて、ベースとサイドギターの魅力が薄れています。
サードはベーシストが脱退した状態でレコーディングした影響も大きいと思われますが、これはかなり痛いです。
セカンドは、ギターサウンドはヘヴィでありつつも、ベースとドラムのリズム隊の存在感もあり、このバランスが絶妙でした。
残念ながら、サードの後、再結成後はさらにこの長所が薄れることになりました。
世紀末のダークサウンド
本作発表は1999年ですが、当時の世相を反映したのか、全体的にかなり重苦しいムードです。
歌はキャッチーで、リフはシャープで、演奏はタイトで、文句のつけようがないのですが、とにかく重たくシリアスなムードが漂います。
当時は「これこそがモダンメタル」という感じで、特に違和感はなかったのですが、今聴くと、「なんでこんなに重苦しいの?」と不思議に思います。
その後、ヘヴィロックムーブメントは下火になり、ジャンルは細分化され、ロックのトレンドそのものが希薄になった感があります。
当時アメリカで最も売れていたバンドサウンドが彼らというのは、まさにその時代を象徴していたと思います。
メタリカを超えたボートラ
私のバンド評の一つに、
というものがあります。
このCREEDもまさにその法則が当てはまる好例です。
ファーストの日本盤ボートラが、『Bound and Tied』ですが、正直なところ、メタリカ『Load』タイプの楽曲としては、完全にメタリカを超えています。
セカンドである本作のボートラは、『Young Grow Old』ですが、さらにレベルアップしていて、「これがボーナスなんて信じられない」、というレベルです。
彼らはバラードも良い曲が多いバンドなので、ライトなリスナー向けにはソフトな印象かもしれませんが、本来こういった荒々しくリフで押しまくる曲でこそ、バンドは真価を発揮するように思います。
トトオのオススメ名曲ランキング
オススメ
ランキング
1位『Young Grow Old』
2位『Higher』
3位『What If』
終わりに
彼らはサードアルバム後に解散してしまい、その後はメンバー変更して、アルター・ブリッジに引き継がれます。
アルター・ブリッジはより洗練されたモダンなメタルバンドで、確かに格好良いのですが、個性はかなり薄まりました。
CREEDはその後再結成して一枚作品を残しましたが、本来の魅力の一つであるローファイ感は完全に消え失せています。
この辺は趣味の問題かもしれませんが、モダンメタルバンドは、アレンジでもっと差別化した方が魅力が増すと思うのですが、いかがでしょう?
コメント