トトオです。
第七回目となる「なぜか好きなアルバムなんなん」、今回はジ・オールマイティの『Powertrippin’』です。
前回記事はコチラです。
この記事のポイントはコチラです。
「90年代という時代に翻弄されたバンド」
ジ・オールマイティはメタルか?
彼らは、80年代後半に結成されたスコットランドのバンドです。
全盛期は90年代ですが、キャリアが断続的で、活動休止・再開を繰り返しています。
BURRN!で扱われるという意味
日本ではBURRN!で扱われていたこともあり、ハードロック・メタルに分類されます。
しかし、私の好きなワイルドハーツと同様に、ハードロック・メタルに分類されてしまうことで、ファン層が限定されてしまうのが、ちょっともったいないバンドです。
この曲聴いて、「ああこれはメタルやな」、と思いますか?
(但し、近年はメタル化の傾向アリ)
過小評価された不遇のバンド
私のiTunesでは、The Almightyはパンクに分類されていますが、確かに彼らはパンクと言える音楽性も備えています。ルックスもパンクスと言えなくもないです。
では、「パンクとメタルのミクスチャー」なのかというと、それもシンプルに言い切れません。この微妙な感じが、彼らを売りにくくしている面があったかもしれません。
また、彼らが活発に活動した時代が、ハードロック・メタルには厳しい時代だったことも不運でした。
90年代の中頃は、この辺の格好良さは抜きんでてましたね。
やっぱりトレンドってもんがありますよね・・・。
The Almightyは、時代や環境に恵まれていれば、より幅広い層にアピールして、大きな成功を収めたであろう、いわゆる不遇のバンドの一つです。
今回紹介するのは、彼らが1993年に発表した、三作目『Powertrippin’』です。
The Almighty 『Powertrippin’』(1993年)
なぜか聴きたくなる絶妙な音
The Almightyの名盤といえば、日本では次作の『Crank』が一般的だと思います。
『Crank』は、本作と比べて、バンドの格が一つ上がったと言えるほど、プロダクションが劇的に向上しています。
アルバム全体の音の整合性が高くて、全く隙がありません。
しかし、私はこの『Powertrippin’』のほうが好きです。
一曲目の『Addiction』を聴いてください。
ギターのディストーションはエッジが効いてますが、抜けが良い気持ちの良い音で、やかましいだけのバンドとは一線を画します。
ドラムとベースは、時代を感じさせる、やや安っぽい音です。しかし、グルーヴ重視のヘヴィなギターリフと、このリズム隊のバランスが絶妙です。
派手さはありませんが、なぜか聴きたくなる中毒性があります。
The Almightyと関係ないですが、『Powertrippin’』という言葉からは、これも思い出します。
最高に格好良いです。
これくらいやらないと、売れないのかもしれません(彼らもそれほど成功した印象はないですが)。
キャッチーでも、明るくない
The Wildheartsもそうですが、聴けば一発で覚えられるような、キャッチーな歌メロがこのバンドの武器です。
また、その歌メロにバチっとハマる、リッキー・ウォリックの男臭い声は最高です。
例えば、いわゆるメロコアっぽいバンドが持つキャッチーさに近いところもあるのですが、彼らの歌メロはキャッチーな中にもどこか憂いがあります。
ある種「クセ」とも言えるようなところですが、これが本作の最大の特徴でしょう。
ややマニア向けな魅力であるのは間違いありませんが、このスタイルが好きな人にはたまらないものがあります。
次作以降は、垢抜けて、このクセが薄まった感じがあり、ちょっと残念でした。
奇跡の名盤に「なり得た」作品
本作は、もうめちゃくちゃ格好良い曲が前半に集中しています。
この時期は、ルックスも最高ですね。
前半の素晴らしい楽曲のクオリティと比較すると、後半はややメリハリにかけてしまい、ちょっと失速します。
もし、前半のクオリティの楽曲が最後まで並んでいたら、歴史的な名盤だったと思います。
ちなみに、似たタイプのバンドとして、The Wildheartsと比較すると、The Wildheartsは曲のバリエーションがより多いところが強みでしょう(特に90年代)。
この時期のThe Wildheartsは、間違いなく世界一クールなバンドでした。
The AlmightyもThe Wildhearts、どちらももっと評価されるべき、素晴らしいバンドです。
トトオのオススメ名曲ランキング
1位『Addiction』
2位『Over the Edge』
3位『Jesus Loves You… But I Don’t』
終わりに
The Almightyは、数は多くないながらも、熱狂的なファンが多いバンドです。
楽曲のクオリティもルックスも良いのですが、やや内容が渋く、相当アンテナを張ってないとここまで辿り着かないのかもしれません。
それだけに、リスナー層が限定されるのは惜しいです。
私のように、飽きずにずっと聴く人が多いせいか、未だにリマスターやら、リイシューが発表されています。
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