トトオです。
今回の「ベストでもええやん」、エンケンこと遠藤賢司のベスト『純音楽一代 -遠藤賢司厳選名曲集-』です。
前回の記事はこちら。
今回の記事のポイントはこちらです。
ポイント
キング・オブ「フォークロックパンクジャズ」!
結論
まず、結論です。
ではいきましょう。
「ミチロウ」ではなく「ケンジ」
スターリンの影響力
私がエンケンを知ったのはかなり遅く、2000年代でした。
ちなみに遠藤賢司ではなく、遠藤ミチロウはスターリンやソロなんかも、90年代から聴いていました。
当時でもサブカル界隈では、スターリンの影響がかなり大きかったからでしょう。
いや、これ聴いた時は本当に衝撃でしたね・・・。
一冊の本とクドカン
ミチロウはさておき、私がエンケンを知ったのは、ある一冊の本の帯にその名前があったからです。
その本が『31歳ガン漂流』です。
闘病エッセイですが、シリーズ全て読みました。
この本の帯は宮藤官九郎が担当していて、そこにエンケンの名前と『不滅の男』という曲名が書かれていました
そこでエンケンに興味を持った私は、早速このベストを買った、というところです。
遠藤賢司『純音楽一代 -遠藤賢司厳選名曲集-』(2004)
割り切った二枚組構成
本アルバムは、二枚組構成になっています。
基本的に(※)一枚目が70年代までの楽曲、二枚目が80年代以降の楽曲です。
(※『東京ワッショイ』はギリギリ79年)
まずこの構成が素晴らしい。
本作発表は2004年ですが、当時の作品数は、
80年代:2枚
90年代:3枚
00年代:1枚
となります。
まとめると、
80年代以降:6枚
です。
この割合で、(だいたい)一枚ずつに収録しています。
タイトルも付けられていて、
東京ワッショイの巻
となっています。
ジャケットのデザインがめちゃくちゃ凝っていて、作品への愛情を感じます。
アルバムの枚数から考えても妥当な二枚組のバランスですが、それ以上に中身のバランスが良いです。
エンケンの楽曲は、70年代と80年代以降で明確な違いがあり、それぞれ一枚ずつにまとめることで、進化の過程がはっきりとわかるようになっています。
ベストアルバムには、古いものから時系列に進んでいくものと、新しいものから逆に遡るもの、そして全く発表年を加味しないものがありますが、ここまで綺麗に構成されているベストアルバムは珍しいです。
『カレーライスの巻』
70年代エンケン
一枚目は70年代の楽曲だけで構成されていますが、代表曲が網羅されています。
やはり、『カレーライス』のインパクトが大きいです。
ほか、有名曲がいくつもありますが、のちにBank Bandにカバーされた『歓喜の歌』がハイライトです。
(アルバム『宇宙防衛軍』とは別バージョン)
『東京ワッショイの巻』
(ほぼ)80年代エンケン
エンケンの転換点は、79年の『東京ワッショイ』なので、ほぼ80年代としました。
クドカンが言及した『不滅の男』は、80年代エンケンの代表曲です。
私がエンケンというアーティストに思い浮かべるイメージは、この80年代の作風です。
「歌謡演歌フォークパンク」(?)とでも言うのでしょうか、とにかく他で聴いたことのないスタイルです。
(帯には「フォークロックパンクジャズ」とあり)
この独特の作風のインパクトは強烈で、耳にした人は何かしらのリアクションを示します。
90年代エンケン
このベストアルバムで一番好きな曲は、90年代の楽曲です。
特にアルバム『もしも君がそばにいたら何んにもいらない』収録の、
『ラーメンライスで乾杯』
『地下鉄の駅へと急ぐ夏』
この二曲は、本当に奇跡的な完成度で、いつ聴いても心が揺さぶられます。
こんな曲を書ける人が、他にいるでしょうか。
どちらの楽曲も、聴いていると情景が目に浮かんで、熱いものが込み上げてきます。
00年代エンケン
00年代はすでに50代のエンケンですが、『幾つになっても甘かあネェ!』が特に強烈です。
年齢を重ねるに連れて、音楽性がよりハードコアになっていくのは興味深いです。
その後のエンケン
本ベストは2004年発表なので、『にゃあ!』以降の三作品は収録されていません。
エンケンは生涯現役だったわけで、没後に出したベストでない限り、全作網羅は不可能です。
ベストにも収まりきらない音楽活動を、命尽きるまで続けたというところに、エンケンというアーティストの底知れぬ凄みを感じます。
トトオのオススメランキング
オススメ
ランキング
1位『ラーメンライスで乾杯』
2位『地下鉄の駅へと急ぐ夏』
3位『エンケンのミッチー音頭』
終わりに
世代の要因が大きいとは思うのですが、私がまだ若い時でも、エンケンを聴く人は周りにほとんどいませんでした。
間違いなく彼は、日本の70-80年代ロックの重要人物の一人で、改めて注目されるべき存在だと思います。
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