トトオです。
今回のオールタイムベストは、
μ-Ziq(ミュージック)の『Lunatic Harness』を
紹介します。
μ-Ziqはジャンルでは、
テクノ・エレクトロニカに属します。
今回紹介する作品は、さらに厳密に定義すると、
ドリルンベースというサブジャンルに、
分類される作品になります。
前回記事はコチラです。
メタラーなのにテクノを聴く経緯
私は高校時代メタラーになりました。
その後色々な経緯を経て、
テクノ・エレクトロニカ全般に、
よく聴くようになりました。
私がメタルからテクノ、
さらにマイナーなジャンルまで
聴くようになった経緯は、
以下のようなものです。
速い演奏が好きになる
速ければ人力でなくても良いと気づく
インダストリアルメタルが好きになる
メタルでなくても、打ち込み自体が好きになる
テクノが好きになる
ややこじつけですが、だいたいこんな感じです。
(メタル前にTKのファンだった影響は大きい)
メタラーが好きなものは、
速くてメロディックな曲なので、
ドリルンベースとの相性良し、
というのが私の持論です。
ドリルンベースの名曲たち
まずドリルンベースとはなんぞや、
というところですが、簡単に言うと、
「ドラムンベースをめちゃくちゃにしたもの」
です。
余計わかりにくくなった気もしますので、
百聞は一見にしかずというやつで、
具体的に聴いてみた方が早そうです。
ドリルンベースの傑作として名高いものに、
Aphex Twin(エイフェックス・ツイン)の、
『Richard D. James Album』があります。
私がエイフェックス・ツインで一番好きなのは
『Selected Ambient Works』ですが、
(特に『Volume II』)
一番衝撃を受けたのはこの作品です。
やはりこの曲にビックリしました。
私はこの作品を入り口として、
ドリルンベースを聴くようになり、
Squarepusherやμ-Ziqなど、
その関連アーティストも聴くようになりました。
スクエアプッシャーは全キャリア聴いていますが、
90年代に発表した、チープな機材を使った、
ゴリゴリのドラムンベース時代が好きです。
(ジャズ要素強めなところがまた良し)
前置きが長くなりましたが、
そんなドリルンベースというジャンルで
私が最も好きな作品が、
今回紹介するμ-Ziqの『Lunatic Harness』です。
μ-Ziqについて
マイク・パラディナスという
イギリスのアーティストの
ソロプロジェクトの一つです。
(彼のプロジェクト数は膨大)
90年代から活動を続けていますが、
エイフェックス・ツインとの関係が深く、
共作なんかもあったりして、
このジャンルで比較的有名なアーティストです。
この『Lunatic Harness』は、
μ-Ziq名義で97年に発表されました。
μ-Ziq『Lunatic Harness』
キャリア随一の完成度を誇る一品
必殺の名曲『Hasty Boom Alert』
本作は格好良い曲が満載ですが、
ずば抜けて格好良い曲がひとつあって、
それがこの『Hasty Boom Alert』です。
ドリルンベースにハマっていた時にこれを聴いて、
あまりの格好良さに衝撃を受けました。
高速ドラムパターンのセンスも抜群ですが、
その上を流れる切ないメロディとシンセの音が
他の誰にも出せない唯一無二の世界観です。
μ-Ziqの作品全般に通じますが、
ノスタルジックな雰囲気が根底にあって、
聴いていると胸が締め付けられます。
既述のとおり、スクエアプッシャーも大好きで、
彼のドリルンベース曲もよく聴きますが、
『Hasty Boom Alert』は
スクエアプッシャーの楽曲に勝るとも劣らぬ、
完璧な一曲だと思います。
話は逸れますが、
同時期のスクエアプッシャーは、
ビジュアル面も最強に格好良かったですね。
キャリア随一の完成度を誇る一品
この作品はアルバムとしての完成度が高く、
最初から最後まで聴きどころ満載です。
μ-Ziqの90年代の作品はほとんど聴きましたが、
どれも作品のカラーが違っていて面白いです。
本作はその中でも最も彼の才能を感じさせる、
遊び心に満ちた工夫と、
プロフェッショナルな完成度の、
両方を併せ持っています。
既述の、ドリルンベースの名曲
『Hasty Boom Alert』をはじめとする、
直球ドリルンベースの楽曲は文句なしです。
また、ドラムパターンが抜群に格好良い
『Brace Yourself Jason』は、
叙情的なメロディが光ります。
打ち込みヒューマンビートボックス(?)
とも言える表題曲『Lunatic Harness』は、
完全に時代を先取りした一曲です。
20年以上前の曲とはとても思えません。
本作は、
それまでのμ-Ziq作品の特徴である、
近未来感溢れるサイバーな雰囲気を
ベースとした作品ではあるのですが、
ドラムンベースのクオリティが劇的に向上して、
全体のバランスがとても良く、
彼のキャリアでも完成度は随一です。
この作品以降では、次作である
『Royal Astronomy』もよく聴きますが、
やはり延長線上にあることはわかりますが、
本作ほどのハッチャケ感はありません。
ゴリゴリのドリルンベースは
本作でやり尽くしてしまったので、
違う方向性を模索しているように感じられます。
終わりに
2000年代以降のマイク・パラディナスは、
μ-Ziq以外での活動が多くなった印象です。
私はそれ以降はあまりフォローしていません。
次作『Royal Astronomy』は、
好きな作品ではありますが、
期待を超えるほどのものではなかったため、
1990年代の作品で満足してしまいました。
(アイアン・メイデンやAC/DC は
いつまでも同じことやっているのに、
ずっと聴いてしまうのが不思議です)
彼は2010 年代に入って、
μ-Ziqでも精力的に作品を発表しているようなので、
このレビューをきっかけに、
最近のものも聴いてみようかなと思っています。
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