トトオです。
今回のオールタイムベストは、パール・ジャムの『Ten』です。
前回の記事はこちら。
今回の記事のポイントはこちらです。
ポイント
メタラーでもこれだけは聴くべし!
結論
結論です。
では、レビュー行ってみましょう。
パール・ジャムは「メタル」か?
ニルヴァーナと二枚看板、でも
私のようなアラフォーメタラーには、その知名度の割に聴かれていないバンド、それがパール・ジャムです。
パール・ジャムは90年代アメリカンオルタナティヴロックの看板的バンドで、当時の人気はニルヴァーナとほぼ横並びの印象です。
(ちなみに2023年時点のSpotifyのリスナー数は、ニルヴァーナがパール・ジャムの倍)
しかし、私が高校生当時(90年代)、ニルヴァーナを聴く友人はいても、パールジャムを聴く友人は滅多にいませんでした。
洋楽=ハードロック・メタル
私を含め、当時の男子高校生にとって、「洋楽=ハードロック・メタル」という感じでした。
自然と、愛読書はBurrn!(楽器やる人はヤング・ギター)になります。
私はB!の誌面で、パール・ジャムの記事を見た記憶がありません。
しかし、私は当時からパール・ジャムを聴いていました。
奥深い「ムック本」の世界
当時の情報収集源は、雑誌かムック本しかありません。
私は「メタル」と名の付く本は、ほとんど買い漁っていたと思います。
当時購入した本に、まさに「メタル」という本がありました。
サイズが小さく、独特の装丁ですが、中身はさらに風変わりです。
この本は、海外で発行されたメタルのムック本を、そのまま和訳した作りになっています。
そのため、いわゆる日本人的分類のメタルとは違う、欧米マーケットにおける「メタル」という括りで一冊まとめられています。
(厳密にはこの本は英国目線)
この本に、メタルバンドの一つとして、パール・ジャムが紹介されており、私は彼らを聴くようになりました。
今回はそんな彼らのファーストアルバム『Ten』を紹介します。
Pearl Jam『Ten』(1991)
「オルタナ」ハードロック・メタル
パールジャムというバンドは、いわゆる日本人的解釈のメタルからは、一般的には遠い印象でしょう。
しかし、本作、特にその前半は、日本人のハードロックメタルな耳で聴いても、違和感なく楽しむことができます。
その理由は、ギターリフです。
彼らは典型的なツインギターのロックバンドですが、この二本のギターが織りなすリフが、非常にテクニカルで格好良いです。
いわゆるハードロック的な刻み方は少ないですし、ディストーションも渋めです。
しかし、70年代ハードロックがパンク要素を取り入れて進化したら、まさに本作のような音になるのではないでしょうか。
但し、本作の格好良さは、やはり「メタル」っぽくないサウンドである点でもあり、それがドラムとベースに顕著です。
「メタル」特有の、厚化粧且つドンシャリな音とは一線を画しており、装飾を極力配したストレートなサウンドです。
この辺りは前進バンドと大きく異なる点でもあり、興味深いところです。
(後述)
信じられない「新人」バンド
本作の一番の衝撃は、これがパールジャムというバンドのファーストである、という点です。
新人バンドのデビュー作とは、とても思えない完成度です。
(Rolling Stone誌の史上最高のデビューアルバムで投票一位)
楽曲のクオリティはもちろんですが、特筆すべきはその演奏力とボーカルパフォーマンスです。
彼らはオルタナティヴロックバンドですが、楽器演奏の腕前は、メインストリーム級にプロフェッショナルです。
同時代のライバルには、良い意味でパンキッシュな演奏スタイルのバンドが多い中、パールジャムは演奏がうま過ぎて、かなり浮いています。
新人でもここまでずば抜けているのは、彼らには前進バンド、マザー・ラヴ・ボーンがあったからでしょう。
また、ユニークな点として、マザー・ラヴ・ボーンは、まさにハードロックメタルなサウンドであることです。
彼らはパール・ジャムを始動するにあたり、明らかに方向性を変えています。
この辺りは、時代を読み取る天才的なセンスでしょう。
しかし、当然と言えば当然ですが、アマチュアがバンドを組んで、いきなりこんな作品を出せるわけがないですね。
後追い「ジェネレーションX」
私が本作を聴いた時点で、発表から5年は経過していました。
ニルヴァーナはすでに解散し、グランジムーブメントも落ち着き、新しくニューメタル的なバンドが盛り上がりつつありました。
もう終わってしまったグランジムーブメントを、私は雑誌やビデオで後追いで体験しました。
世の中は完全に次のムーブメントに移行していても、その当時の熱気は十分に感じられました。
雑誌やビデオにおけるパールジャム、特にエディ・ヴェダーの発言はユニークで、強烈なインパクトがありました。
このインタビューでは、当時のシアトルのバンドシーンがどのようなものだったか、わかりやすく語られています。
パール・ジャムが『Ten』を出したあと、次作、そして『Vitalogy』と続いていく流れは、当時の一連のシーンも踏まえて聴くと、さらに感慨深いです。
トトオのオススメ名曲ランキング
オススメ
ランキング
1位『Even Flow』
2位『Alive』
3位『Jeremy』
終わりに
90年代前半は、アメリカにもイギリスにも凄いバンドが山ほどいました。
それらのバンドが相互に影響しながら、結果あれだけのムーブメントが生まれました。
今後、あれ以上ロックが盛り上がることは、まずないでしょう。
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