トトオです。
世間的な評価は低いけれど(それほど高くないけれど)、個人的には好きな作品を紹介するコーナー「なぜか好きなアルバムなんなん」。
第五回目の今回は、マニック・ストリート・プリーチャーズの『ゴールド・アゲインスト・ザ・ソウル』を紹介します。
ちなみに、前回の記事はコチラです。
この記事は、こちらの方にオススメです。
マニックスという風変わりなバンド
以前別の記事で、彼らのファーストアルバムの格好良さについて書きました。
そもそも彼らは、「ファーストアルバムを死ぬほど売って解散」、とめちゃくちゃイキってデビューしました。
しかし、そのファーストは思ったほど売れず、そして、解散もしませんでした。これだけ聞くと相当格好悪い状況ですが、このバンドはそのあとが面白かった。
その後、四作目のアルバムまでは、出すアルバム全部スタイルを変えています。
またその間、バンドとしても驚くほど紆余曲折あり、五作目の頃には、英国では国民的人気を得るほどの存在となりました。
トトオの好きなマニックス初期四作
私はこの四作目までのマニックスがめちゃくちゃ好きなのですが、それぞれの作品のタイプはこんな感じです。
背伸びしてガンズ真似てみたパンクロック
二作目:
オルタナ野郎の正統派ハードロック
三作目:
血の滲む90年代オルタナ最高傑作
四作目:
傷つき燃え尽きた先に見た王道ロック
多少誇張を加えましたが、だいたいこんな感じです。
(あまりツッコまないように・・・)
はっきり言って全部めちゃくちゃ良いです。
今回は、この中の二作目、セカンドアルバムに注目します。
ハードロック好きこそ聴くべき隠れた名盤
マニックスはジャンル的にはパンク・オルタナにカテゴライズされるので、日本ではそっち系の雑誌で取り扱われてきました。
しかし、既述の通り、彼らは作品毎でかなりカラーが異なっていて、元々一括りにしづらいのです。
そこで私は声を大にして言いたい!
「BURRN!読者は全員マニックスのセカンドは聴くべし!」(断言)
ということで、今回はメタラー向けに、マニックスのセカンドアルバムを紹介します。
Manic Street Preachers 『Gold Against the Soul』(1993)
天才シンガー・ジェームス
ジェームス以外のメンバーの貢献
天才ギタリスト・ジェームス
ハードロック・メタルは、体育会系の世界です。腕っ節の強さが求められる世界です。
デビュー時のマニックスは精神的には完全なパンクバンドです。演奏面も由緒正しき(?)パンクスタイルで、技巧的なことはやらない(やれない)という感じでした。
しかし、このバンドには、ジェームス・ディーン・ブラッドフィールドという、音楽的な才能に恵まれたフロントマンがいました。
元々ファーストも音楽面は彼が引っ張りましたが、セカンドは彼の才能がさらに開花しています。
本作では、ファーストのパンク風な荒削りな部分が削ぎ落とされて、ハードロック風の、全体の整合性の高い作品に仕上がりました。
一曲目『Sleepflower』のイントロなんて、ハードロックの王道中の王道のような、鋭いギターリフとリズム隊のコンビネーションです。
他にハードロック的な目線で見ていくと・・・
イントロのリフと展開がめちゃ格好いい『Yourself』、
レニクラばりの耳に残る名ギターリフの表題曲『Gold Against the Soul』、
などなど、ファーストの未熟さが微塵も感じられない、ハイクオリティで完成度の高い、ハードロック風楽曲目白押しです。
天才シンガー・ジェームス
ファーストにも、歌唱力抜群のジェームスをフィーチャーした楽曲がいくつもありました。
セカンドである本作でも、彼の神懸かり的な歌唱力が遺憾無く発揮されています。
声の強弱の付け方が抜群に上手く、この時まだ弱冠24歳というのが信じられない『Life Becoming a Landslide』。
ちなみに、このPVは日本ツアーの映像ですが、ものすごく時代を感じます・・・。
そりゃこのルックスでこの楽曲出したら、まあ人気でないわけないよね的な一曲『Roses in the Hospital』。
この時期の髪を染めたジェームスが、これがまた格好良いんです。
ジェームス以外のメンバーの貢献
以前の記事でも書きましたが、デビュー時のジェームス以外のメンバーの演奏力は、相当厳しいものがありました。
特にリズム隊では、ドラムのショーン・ムーアはまだスキルが高くなく、それほど凝ったプレイはできません。しかし、本作はそれが結果的に功を奏しています。
変にテクニックや見せ場に固執することなく、楽曲に合うプレイとアレンジに特化したドラムプレイを徹底しています。
マニックス最高傑作の一つが『From Despair to Where』ですが、シンプル且つ小気味良いドラムがマッチします。ニッキー・ワイアーのベースラインも良いです。(レッチリのフリーに影響されたらしい?)
『La Tristesse Durera (Scream to a Sigh)』は、跳ねたリズムのループが気持ちよく、楽曲と共に激しく盛り上がります。
この時期のショーン、髪の毛後ろでくくっていると、Dr.苫米地みたいですね・・・。
トトオのオススメ名曲ランキング
1位『From Despair to Where』
2位『Roses in the Hospital』
3位『La Tristesse Durera (Scream to a Sigh)』
終わりに
この作品を聴くと、ニルヴァーナの『Nevermind』が思い出されます。アレンジ次第で、作品はどのようにも見せられるということです。
マニックスも、ニルヴァーナが『Nevermind』の次に『In Utero』を出したように、本作の次に『The Holy Bible』を出します。
ちなみに、マニックス自身は、この作品が全作品中最も気に入っていないそうです。「BON JOVIみたいになった」と、UKのメディアに批評されたせいかもしれません。
確かにその後のキャリアや作風を考えると、過渡期的な作品であるのは間違いないのですが、この素晴らしい作品を彼ら自身もプッシュしていないのは、少々もったいないです。
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