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【名曲ランキング!IRON MAIDEN/全アルバムレビュー】アイアン・ メイデン『Brave New World(ブレイヴ・ニュー・ワールド)』

IRON MAIDEN ブレイヴ・ニュー・ワールド 写真 ブログ用 音楽

トトオです。

メイデンレビュー第12弾です。

本作でメイデンは新たな転機を迎えます。

二作続けてボーカルを務めた、

ブレイズ・ベイリーが去り、

まさかの新メンバーが加わります。

前回記事はこちらです。

この記事は、

以下の方にオススメです。

メイデンの第二の黄金時代を知りたい
ブルースとエイドリアン復帰の衝撃について

概要『Brave New World(ブレイヴ・ニュー・ワールド)』(2000年発表)

前作『バーチャル・イレヴン』を発表した後、

彼らは『エド・ハンター』という、

ベスト盤とPCゲームがセットになった、

コンピレーションを発表します。

このコンピレーション盤の発表直前に、

ブルース・ディッキンソンと、

エイドリアン・スミスが復帰します。

ボーカルは、ブレイズが脱退して、

ブルースが後任として戻る形ですが、

ギタリストのエイドリアンも、

同時に復帰しました。

「じゃあ誰が代わりに出ていくの?」

と、当然なりますが、

誰も辞めずに、
ただギタリストを一人追加して、
トリプルギター編成にする

という話でした。

これは本当に衝撃でした。

メイデンはツインギターのバンドでしたし、

当時のメタル界でも、

ほとんどのバンドは、

ツインギターだったと思います。
(パッと思いつくのは、
 レーナード・スキーナードくらいです)

当時、『エド・ハンター』の記事を読んだ時は、

まだブレイズがインタビューに答えていたので、

かなり急な人事だったと思われます。

ブルースは、メイデンを去ったあと、

いくつかソロを発表していますが、

1997年に発表した

『アクシデント・オブ・バース』は、

エイドリアンがギターを弾いていました。

内容的にも、

本家メイデンの『Xファクター』より、
よっぽどこっちの方がメイデンっぽいじゃない?

というのが、世間の印象でした。

それを踏まえると、

評判も売り上げも下がり続けている、

ブレイズ体制のメイデンから、

ブルース・エイドリアン体制への転向は、

当然と言えば、当然だったかもしれません。

ただ、

「あんな去り方したのにブルースはよく戻れたな」

という感じはしましたが・・・。

楽曲構成

『ブレイヴ・ニュー・ワールド』の楽曲ですが、

全10曲で構成されています。

作曲の割合ですが、

スティーヴ単独:1
エイドリアン・スティーヴ・ブルース共作:1
ヤニック・ブルース・スティーヴ共作:2
デイヴ・スティーヴ・ブルース共作:1
ヤニック・スティーヴ共作:2
エイドリアン・スティーヴ共作:1
デイヴ・スティーヴ共作:2

となっております。

一曲のみ、スティーヴ単独ですが、

他9曲全て共作です。

特筆すべきは、

全曲にスティーヴが関わっていることでしょう。

大きな体制変更があった直後ですので、

バンマスであるスティーヴの存在感が、

大きかったということでしょう。

他メンバーで見ると、

全て共作ですが、

ブルース:4
エイドリアン:2
ヤニック:4
デイヴ:3

となっており、

ニコを除く全員が、

満遍なく作曲に関わっています。

スティーヴ以外の作曲の要ともいえる、

エイドリアンが、

二曲のみ参加というあたりは、

「復帰作」といった感じがしますね。
(ブルースは4曲ですが・・・)

収録時間

曲時間については、前作同様、

バランスを取った作りと言えます。

4分台の曲が三曲ありますが、

やはり長尺曲も多数あり、

9分越えの曲も二曲あります。

個人的には、このくらいの構成が、

一般のリスナーでも無理せず聴ける、

ギリギリのバランスだと感じます。

サウンドプロダクション

ドリーム・シアターで名仕事

今回、プロデューサーが初めて、

ケヴィン・シャーリーになります。

ブラック・クロウズやシルバーチェアーとの、

仕事が有名でしたが、

メタル的にはやはり、

ドリーム・シアターでしょう。

彼の手がけた作品の特徴は、

生々しい音作りです。

ライブレコーディング採用の妙

一般的にメタルでは、

音を積み重ねることによって、
重厚さや激しさを表現する

という手法が一般的です。

しかし、この方法だと、

作り込み過ぎてしまうと、

音の粒が揃い過ぎた結果、

逆に迫力に欠けてしまう、

という危険性があります。

しかし、彼のプロデュースでは、

レコーディングは極力シンプルにして、
地の音の迫力を活かす

という手法が取られています。
(本作は「ライヴレコーディング」)

結果的にこの手法は、

当時のメイデンには、

かなりハマりました。

前作はプロダクションが大失敗で、

大御所バンドとは思えない、

超貧相な音像でした。

本作では、ブルースの復帰や、

トリプルギター編成、

という別要素はあるものの、

そもそも音の迫力が段違いです。

特に、ドラムが印象的で、

過去最高に、スネアの鳴りが良いです。

まるで『魔力の刻印』での、

クライヴ・バーのスネアのような、

シンプルで力強い音です。

このプロダクションの変化が、

新生アイアン・メイデンを、

華々しく印象付けることに成功しました。

アルバムジャケット

スタイリッシュなロゴとデザイン

アルバムジャケットも、

ここに来て、大きく変わりました。

前作は、情報が多すぎて、

かなりダサく感じられましたが、

今作はシンプルです。

ロゴは『Xファクター』から続く、

例のぶった切りロゴですが、

文字枠だけ残して透けさせる手法で、

スタイリッシュさを感じます。

エディがついに気化

エディに関しては、

これまで色々変化してきましたが、

本作でついに気体化しました。
(雲エディとでも言いましょうか)

このジャケットを初めて見たときは、

「メイデンは新たなステージに突入したな」

と、薄ぼんやり思ったものです。

少なくとも、

前作の100倍は良いデザインではないでしょうか。
(メタルっぽさは反面薄れましたが)

全曲レビュー

国内盤

#1 ザ・ウィッカー・マン/The Wicker Man(Smith,Harris,Dickinson)[4:36]

新生メイデンの一曲目です。

エイドリアン・ブルース・スティーヴの共作です。

これを初めて聴いた時は、震えましたね。

「やっぱり、ブルースやないとあかん!」と。

ブランクを感じさせない、

素晴らしい歌唱です。
(ソロでバリバリやっていたため当然)

演奏に関しても、

イントロのシンプルなギターリフは、

『悪夢の最終兵器』っぽいですし、

中間のハンマリング・プリングの部分は、

『ウエイステッド・イヤーズ』のようで、

まさにエイドリアン曲と言った感じです。

サビ後ろのドラムのバスドラが、

16分で刻んでおり、

ツーバスっぽく聴こえます。

ニコはワンバスと思っていたので、

アレっと思いましたが、

これ、ワンバスでやっています。

ビデオで確認しました。

3:14あたりで確認できます。

しかも裸足です。化け物ですね。

PVもなかなか格好良く、

ぼやかしたような映像は、

『フィア・オブ・ザ・ダーク』の頃のようです。

特に印象的だったのが、

ブルースの袖なしGジャンです。

何かこう、袖の破れた感じが生々しく、

ワイルドさを感じますね。
(今や、某芸人しか思い出されませんが)

ソロ時代に短髪にした彼ですが、

やはりロン毛よりもこちらの方が、

断然格好良いです。

この曲は歌詞も、

ポジティブで力強いです。

全体的に、かなり褒めちぎりましたが、

当時この曲を初めて聴いた時、

感動に打ち震えたことを、

今でも覚えています。

#2 死界への誘い/Ghost Of The Navigator (Gers,Dickinson,Harris)[6:50]

続く二曲目は、さっきの組み合わせから、

エイドリアンが抜け、ヤニックが加わっています。

メロディックなイントロは、

いかにもヤニックっぽいです。

この曲は、ギターエフェクトが格好良く、

一曲目の勢いを削ぐことなく、

うまく繋いでいます。

ギターソロがインプロっぽくて、

あまり印象に残らない点は残念ですが、

二曲目にピッタリではないでしょうか。

しかし、邦題の古臭さは、

なかなかのものですね。

#3 ブレイヴ・ニュー・ワールド/Brave New World(Murray,Harris,Dickinson)[6:18]

ここに来て、タイトル曲です。

先程のヤニックに代わり、

我らがデイヴの登場です。

デイヴの曲がタイトルトラックですよ。

こんなことかつてあったでしょうか?
(確認してませんが、ないでしょう、たぶん)

しかし(?)、これが格好良いんです。

このロック・イン・リオでのライブは、

客のノリが良くて最高ですね。

やっぱり、ライブビデオは南米に限ります。

ギターソロも、デイヴっぽいフレーズから、

流れるようにツインリードに繋がり、

とても気持ち良いです。

タイトルトラックにふさわしい出来と言って、

良いのではないでしょうか。

今回の気づきとして、

二曲目よりもこちらの方が短いのは、

少々意外でした。

#4 ブラッド・ブラザーズ/Blood Brothers(Harris)[7:14]

四曲目は、スティーヴ単独曲です。

このアルバムのハイライトは、

間違いなくこの曲です。

前作『ヴァーチャル・イレブン』でも、

四曲目が『ザ・クランスマン』でしたが、

四曲目に勝負曲を置くクセがあるのでしょうか?
(実は、ない)

本アルバム発表後も、

比較的ライブで演奏されている曲ですが、

2000年代メイデンの新しいクラシックと言える、

素晴らしい完成度です。

これはさすがに、

ブレイズが歌うには厳しかっただろう、

と勝手に想像します。

スティーヴらしい、

やや内省的な歌詞ですが、

『Xファクター』の時のような、

ネガティヴな感じはありません。

世界中のファンに向けた、

メッセージソングでもあり、

ライブでの盛り上がりも最高です。

#5 ザ・マーシネリー/The Mercenary(Gers,Harris)[4:42]

ヤニックとスティーヴの共作です。

ヤニックが書いた疾走曲が、
中盤に挟まれがち

というのが、

2000年代メイデンの、

一つのあるあるかもしれません。

このタイプの曲のギターリフが、

物凄くダサく聴こえてしまう私です。

この曲は、サビが結構格好良いし、

ギターソロも悪くないのですが・・・。

ヤニックファンの皆さん、

ヤニックにはいつも辛めですいません。

ライブの彼のパフォーマンスとか、

本当に大好きなんですけどね・・・。

#6 ドリーム・オブ・ミラーズ/Dream Of Mirrors(Gers,Harris)[9:21]

引き続き、ヤニック・スティーヴ共作です。

どちらかというと、

スティーヴのカラーが濃い曲です。

やはり、ブルースの歌唱が素晴らしく、

かなり聴き応えあります。

しかし、長い、
9分強は長すぎる

というのが率直な感想です。

中盤の疾走パートが、

ヤニックっぽいフレーズで、

これも悪くないですが、

とにかくリフレインが多すぎます。

ちょっともったいない曲ですね。

#7 ザ・フォールン・エンジェル/The Fallen Angel(Smith,Harris)[4:00]

ヤニック曲が二曲続いたあとは、

エイドリアン・スティーヴの共作です。

この曲のような、

エイドリアン作のミドルテンポの楽曲が、

2000年代メイデンの一つの特徴と言えます。

正直なところ、

この曲はやや没個性的ですが、

こういった短めの曲は、

アルバムのメリハリになっていて、

個人的には好きです。

#8 伝説の遊牧民/The Nomad(Murray,Harris)[9:05]

お待たせしました。

デイヴの二曲目です。

一曲目のデイヴ曲は、

彼とは思えない素晴らしい出来でした(失礼)。

この曲は、やはりデイヴと思わせる、

少々退屈な長尺曲です(失礼)。

この曲もサビは結構格好良いんですけどね。

中盤のレイドバックしてから、

盛り返すあたりも、

結構良いフレーズがあるのですが、

やはりちょっと溜めすぎじゃないでしょうか。

まあ『Xファクター』をほめちぎった人間が言っても、

あまり説得力がないかもしれませんが・・・。

しかしこの曲も、

邦題がなかなかパンチが効いています。

普通に使いますかね?このタイトル。

「お前の好きな曲どれ?」

「俺は、『伝説の遊牧民』やな」

とか・・・。

#9  アウト・オブ・ザ・サイレント・プラネット/Out Of The Silent Planet(Gers,Dickinson,Harris)[6:25]

本アルバムの、シングルカット二曲目です。

ちなみにPVバージョンは、

イントロをカットされています。
(もったいないです)

シングルカットにふさわしい、

キャッチー且つ、聴きやすい一曲です。

この曲も中盤から、激しく展開する曲ですが、

ギターソロがアルバムで一番格好良いです。

今のメイデンが、ライブのラインナップに加えても、

違和感ないと思います。

本作は、スケールの大きい歌詞が多いですが、

この曲は宇宙にまで及んでいますね。

#10 ザ・シン・ライン・ビトウィーン・ラヴ・アンド・ヘイト/The Thin Line Between Love & Hate(Murray,Harris)[8:26]

アルバム最後が、これまたデイヴ曲です。

しかし、

これがどうして(?)滅茶苦茶格好良いです。

個人的に、このアルバムで一番好きな曲です。

冒頭のヘヴィなギターリフも格好良いですが、

この曲はサビが抜群に格好良いです。

歌のメロディに合わせて、

リズム隊がシンクロするような演奏ですが、

今までのメイデンにない斬新さです。

新生メイデンのアルバム最後に、

ふさわしいと思います。

後半のメロウなギターソロも渋く、

トリプルギターの持ち味も存分に発揮しています。

地味に見られがちなデイヴですが、

彼のバンドに対する貢献は、

やはり大きいですね。

この時点でも既に、

一度も抜けていないオリジナルメンバーは、

スティーヴとデイヴだけですもんね。

採点 / オススメ名曲ランキング

『Brave New World(ブレイヴ・ニュー・ワールド)』 /91点
トトオのオススメ名曲ランキング
トトオの
オススメ名曲
ランキング

1位『The Thin Line Between Love & Hate』
2位『Blood Brothers』
3位『Out Of The Silent Planet』
4位『The Wicker Man』

総括

ブレイズの脱退、
ブルース・エイドリアンの復帰、
本アルバムの発表

と、全てリアルタイムで体験しました。

そのため、本作はかなり思い入れが強く、

正直なところ、

甘めに見てしまっている部分があります。

オススメ曲も沢山挙げましたが、

曲のクオリティも音質も素晴らしく、

復帰第一弾としては、

十分ファンも納得できる内容だと思います。

但し、中盤はやや退屈な曲もあり、

アルバム全体としてみると、

往年の傑作と肩を並べるまでには、

至らないと思います。

終わりに

私は、本アルバム発表に伴う、

来日公演にも参加しました。

素晴らしいライブで、

満足度はめちゃくちゃ高かったです。

しかし、その後は社会人になり、

時間の融通が難しくなってきたことと、

そもそものメイデン熱が、

一時的に下がってしまったこともあり、

その後のライブには参加していません。

次回以降、

なぜメイデン熱が、一時的にでも、

下がってしまったのかも、

書いていこうと思います。

【おまけコラム/メイデンと私⑫】衝撃

『バーチャル・イレヴン』の来日公演で、

ライブデビューした私。

世間のブレイズ批判も特に気にならず、

次のメイデンの作品を楽しみに待っていたある日、

毎月楽しみに買っていたBurrn!に、

驚愕の記事を見つけます。

「ブレイズ脱退!
 ブルースとエイドリアンが復帰!」

これにはさすがに衝撃を受けました。

ブルースが復帰すること自体、

もちろん驚きましたが、

「エイドリアンがセットで復帰」

という内容です。

このニュースが出てから、

新作『ブレイヴ・ニュー・ワールド』が出るまで、

本当に待ち遠しくて待ち遠しくて・・・。

待望の新作を手にしてから、

絶対に次の来日公演も見に行くと、

心に決めました。

 

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