トトオです。
世間的な評価は低いけれど(それほど高くないけれど)、個人的には好きな作品を紹介するコーナー「なぜか好きなアルバムなんなん」。
第四回目の今回は、メタルチャーチの『ザ・ヒューマン・ファクター』を紹介します。
ちなみに、前回記事はコチラです。
パワーメタルという響き
私はメタリカをきっかけにメタルのドアを叩きました。そこからアイアン・メイデンが好きになったので、割と王道から入ったと言う感じです。
最初に好きになったバンドがあまりにも格好良くて、これはメタルというジャンル自体が凄いのでは、と思って、色々掘り下げていくことにしました。
調べてみると、あるわあるわ、鬼のように細分化されたサブジャンルがありました。
私はメタル歴25年以上にもなるので、今ではもはや何も感じませんが、最初は本当に驚きました。
私が若い時に買った大切な資料、『ヘヴィ・メタル/ハード・ロック CDガイド』を見てみましょう。
(ネットがない時代は重宝しました)
ジャーマンメタル
プログレッシヴメタル
ブラックメタル
デスメタル
パワーメタル
などなど。とてつもなくたくさんのサブジャンルがありました。
いくつか参考に見てみましょう。
スラッシュメタル
スラッシュを辞書で調べると、斬りつけるとか打ちつけるとか書いてあります。なんかこう、鋭いメタルというか、尖ってる感じがあるんですよね。
ジャーマンメタル
ドイツ人がやってるから、ジャーマンメタル。しかし、これはジャンルなのでしょうか?なぜ急にくくりが国?じゃあイタリアンメタルとかあるのでしょうか?(実はある)
ブラックメタル
これはわかりやすいです。黒魔術的なところから、黒、でブラックメタル。
ピュアメタル
化学的には、単一の元素から構成される金属ですが、音楽ジャンルとしては心が綺麗なやつがやるメタルです。(冗談です)
そして、パワーメタル
色々あるメタルの細分化の中でも、当時一番違和感あったのが、パワーメタルです。
いや、パワーって。なんかこう、知性が感じられません。パワーと聞いて、まず思い出されるのは、某芸人の掛け声です。
好きな女子に「好きな音楽って何?」って聞かれて、「パ、パワーメタルかな?」って言えますか?絶対恋愛に発展しませんよね(偏見)。
そもそも、パワーってなんやねん、と。調べたらでました。
「力」
シンプルに「力」です(カタカナのカではない)。
そう、力なんです。「力メタル」なんです。
ここから想像するに、なんか力を込めて演奏するというか、音に力があるというか、そんなメタルということです。答えになってるのかなってないのか、これ以上なく抽象的ですが、それがパワーメタルです。
そして、パワーメタルという言葉を聞いて、私がまず思い出す作品が、今回紹介する作品です。
(前置き長くてすいません)
Metal Church 『The Human Factor』(1991)
ダークな雰囲気と凝ったリフ
一線級ではなくても
名プロデューサーのパワーメタル
散々パワーメタルをいじったので、パワーメタラー(?)にお叱りを受けそうですが、メタルチャーチの音楽を聴くと、いやこれ、これぞまさにパワーメタルや、と感じます。
タイトル曲のドアタマから、パワー全開です。もうドラムなんか思いっきりしばいてます。ベースがバッキバキです。そして、ギターリフの圧が凄いです。
もうパワーメタルというジャンルの説明する時は、とりあえずコレ聴かせたらいいです。「確かになんか強そう」と感じてもらえるはずです。
この作品は90年発表ですが、大変優れたサウンドプロダクションです。
プロデューサーのMark Dodsonが素晴らしい仕事をしています。彼はアンスラックスやスイサイダル・テンデンシーズなど、どちらかというと通好みの格好良いバンドをプロデュースしています。
こちらがアンスラックス。
歴史的名盤の名曲ですね。
こちらが、スイサイダル・テンデンシーズ。
ロバート・トゥルージロ(現メタリカ)が若いです。
時代もあってか、ミクスチャー色が濃い二枚ですが、これらのアルバムを手放すことはまずないですね。
ダークな雰囲気と凝ったリフ
このバンドは基本的に硬派なんですよね。なんというか、真面目なメタルなんです。真面目で硬派、男臭さ満開です。
終始シリアスなムードが流れていて、楽曲も全体的に渋いです。派手さがないというか。しかし、これがなんともクセになる、彼らの最大の魅力です。
真面目で硬派なので、全体的に雰囲気が暗いのですが、これに合わせた楽曲がどれもハマっていてます。
こういうシリアスムードというのは、時代背景も関係していました。
1991年というのは、80年代の商業的なポップメタル人気が終わってきて、本物思考というか、より本質的なものが音楽に求められ始めた時代でした。
ボーカルはマイク・ハウですが、彼のハイトーンでありながら、力強い声が、バンドのパワフルな演奏に一歩も譲りません。低音から高音までレンジはかなり広いです。
これぞ実力派、パワーメタル職人というところです。
第一線級ではなくても
メタルチャーチというバンドは、メタラー以外はまず知らないし、まず出会うこともないバンドでしょう(断言)。
なんせバンド名にメタルが入ってますし、大して売れてないです(大御所と比較してですが)。おしゃれさも微塵もないです。
しかし、こういうバンドがいることに、このメタルというジャンルの奥深さを感じます。
いわゆる一番の売れ線バンドではなくても、ちゃんと格好いいバンド、底堅く人気を維持しているバンドがあるジャンル、それがメタルです。
メタルはジャンルとしてわかりやすいので、メタルカテゴリーに数えられさえすれば、熱心なメタラーに聴いてもらえるという傾向もあり、それもサブジャンルが多い理由でしょう。
彼らのような、第一線級ではないけど、手堅い仕事をする良いバンドというのは、他にパッと思い浮かぶので言うと、イギリスのプレイング・マンティスあたりでしょうか。
好きな人しかまず知らないけど、好きな人はずっと好き、みたいな良いバンドが多いのが、メタルの奥深さであり、また新たなバンドを聴いてみたくなる理由です。
トトオのオススメ名曲ランキング
1位『Human Factor』
2位『In Mourning』
3位『In Harm’s Way』
終わりに
ちなみに、パワーメタルに関しては本当はもうちょっと正しい定義や歴史があります。
ざっくり書くと、典型的なメタル(70年代から80年代初頭)の派生としてのブラックメタルやデスメタルがあり、これのあとに出てきたのがパワーメタルです。
パワーメタルでも、大きくはアメリカとヨーロッパでスタイルが分かれていて、アメリカスタイルは今回紹介したメタルチャーチのような、まさにパワフルなメタルです。
ヨーロッパスタイルはハロウィンが典型的なパワーメタルバンドとして扱われており、つまりジャーマンメタル的なもの全般にパワーメタルと呼べるようです。
と、だいたいこんな感じでwikiに書いてありました。間違ってたらすいません。
いやーしかし、メタルって、ほんとうに奥深いですね。
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