トトオです。
今回のオールタイムベストは、スクエアプッシャーの『Ultravisitor』を紹介します。
前回の記事はコチラです。
この記事は、以下の方にオススメです。
スクエアプッシャーの最高傑作を知りたい
メタラーがスクエアプッシャーを聴くまで
私がスクエアプッシャーを聴き始めたのは、2002年頃でした。元々メタラーだった私がスクエアプッシャーにハマったのには、訳があります。
インダストリアル・メタルからエレクトロニカへ
メタラーの世界は体育会系で、非常にわかりやすいです。
「速い」とか、「重たい」とか、そういう尺度で凄さを測るわけです。
メタルばかり聴いていて、そのうち私は思うようになりました。
「これ、機械でもよくない?」
そして、インダストリアル・メタルの世界にハマりました。
そして私はさらに思いました。
「これ、メタルでなくてもよくない?」
そんな流れで、テクノ・エレクトロニカも聴くようになりました。
(元々TM NETWORK/小室哲哉で音楽にハマったクチではありますが)
オルタナティヴ・ロックも大好きだった私には、エレクトロニカの中でも、オルタナとは人脈的に近い、スクエアプッシャーを聴き始めるのは、ある種当然ともいえる成り行きでした。
エレクトロニカ系で、最もロックと相性が良く、メタル的尺度からも、その凄さがわかりやすい、というのがスクエアプッシャーではないでしょうか。
今回紹介する『Ultarvisitor』は、彼の初期の最高傑作です。
Squarepusher 『Ultravisitor』
レディオヘッドとの高シンクロ率
ビビッドで繊細なメロディ
超人ベーシスト トム・ジェンキンソン
ノイズからアコースティックまで
スクエアプッシャーは、活動時期によって音楽のスタイルを大きく変えてきました。
本作は、それまでの作品の一つの集大成といえる作風となっていて、彼がそれまで築き上げた数々のスタイルの楽曲が、バランス良く配されています。
大きくは下記の四種類に大別されます。
打ち込みなしのオルタナロック
ノイジーなフリージャズ
アコースティックのみに振り切った小曲
これ聴ける人は結構限られると思いますね。
そうかと思うと、穏やかなアコースティック楽曲も配されています。
一つの作品でこれだけ振り幅が大きい作品も珍しいでしょう。しかし本作では、各所に疑似ライブの演出を施しているおかげで、全体の流れに違和感がありません。
スクエアプッシャーの作品の中でも、本作は楽曲のバラエティと、構成の巧さは突出しています。
レディオヘッドとの高シンクロ率
本作の楽曲の中でも、生演奏と打ち込みが絶妙にマッチした、人力エレクトロニカともいえる楽曲が、ロックのリスナーとはもっとも相性がいいでしょう。
時代的には、レディオヘッドが『Kid A』を出した後に、『Hail To The Thief』を発表したタイミングと重なります。
『Hail To The Thief』は、エレクトロとバンドサウンドのバランスが良い名盤です。
この辺りが好きなオルタナロックファンなら、本作は必聴です。
一曲目の表題曲『Ultravisitor』は、ロックのダイナミズムとエレクトロのクールさが、抜群にマッチしています。
2000年代前半というのは、1990年代のオルタナティヴロックブームも終わり、ロック系のアーティストが新しいスタイルを模索した時代だったように思います。
この時代に求められたのが、まさにスクエアプッシャーだったのではないでしょうか。
ビビッドで繊細なメロディ
スクエアプッシャーの楽曲全てに通ずるのは、ビビッドで、繊細なメロディです。2000年前後に彼が発表した、生演奏を主体とした作品では、特に顕著にその傾向が現れました。
その中でも、特に人気のある曲がこれです。
2003年の本作『Ultravisitor』には、この楽曲の続編とも言える、メロディと技巧のレベルが凄まじい名曲『Iambic 9 Poetry』があります。
ジャンル問わず、音楽好き全員に聴いてもらいたい素晴らしい楽曲です。
美しいメロディと、テクニカルでありながらあくまでシンプルな演奏は素晴らしく、聴いているとじわじわと感動が押し寄せてきます。
超人ベーシスト トム・ジェンキンソン
本作は、全楽器自演なので、スクエアプッシャー(トム・ジェンキンソン)のプレイヤーとしての魅力が存分に楽しめます。
どの楽器も半端ではなく上手いですか、やはり彼はベーシストなので、ベースプレイは特に超人級です。
ベースプレイをフィーチャーした楽曲がいくつかあるなか、プレイヤーとしてのトムの真価を発揮した楽曲に、『Tetra-Sync』があります。
2:00あたりからの盛り上がりは鳥肌ものです。
まさにこれぞ人力エレクトロニカと言える、尋常ではない演奏です。一聴しただけではベースの奏でる音に思えないようなフレーズが山盛りです。
この楽曲はエレクトロの差し込み方も特に絶妙です。後半で得られるカタルシスは、長いロックミュージックの歴史でも、最高到達点ではないでしょうか。
トトオのオススメ名曲ランキング
1位『Tetra-Sync』
2位『Iambic 9 Poetry』
3位『Ultravisitor』
終わりに
本作を作り終えたことで、一旦それまでの作風に満足したのか、次作の『Hello Everything』で方向性がまた大きく変わります。
当時、『Ultravisitor』の次は、どれくらいヤバいのが来るのかと期待していましたが、次作は人が変わったように(?)ポジティブなバイブがあふれる作品で驚きました。
その後も本当に色々な作品を発表しているスクエアプッシャーですが、やはり彼の凄さを一枚で語るなら、本作を選びます。
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