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【90年代アメリカオルタナの最高峰】The Smashing Pumpkins『Mellon Collie and the Infinite Sadness』/ トトオのオールタイムベスト⑮

スマッシング・パンプキンズ アルバム 写真 ブログ用 オールタイムベスト

トトオです。

今回のオールタイムベストは、

スマッシング・パンプキンズの、

『Mellon Collie and the Infinite Sadness』

紹介します。

前回記事はコチラです。

【オーケンソロ最高傑作】大槻ケンヂ『I STAND HERE FOR YOU』/ トトオのオールタイムベスト⑭
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スマパンについて

1980年代後半から活動する

アメリカのオルタナティヴロックバンドです。

全盛期は90年代ですが、

途切れながらも、現在まで活動を続けています。

90年代スマパン メタラー的分析

既述の通り、ジャンルとしては

オルタナティヴロックに該当します。

90年代を代表する、

オルタナティヴロックバンドとしては、

ニルヴァーナパール・ジャムなどが有名ですが、

数あるオルタナバンドの中でも、

メタル度がかなり高いのがスマパンです。
(サウンドガーデンとかもありますが)

作品毎の振り幅が非常に大きいバンドですが、

ここでは、メタラー目線で、

90年代の作品をメタル度数で評価してみます。

90年代スマパンメタル度数(☆五つで評価)
Gish(1991) ☆☆ サイケハードロック
Siamese Dream(1993) ☆☆☆ 正統進化メタル度アップ
Mellon Collie – (1995) ☆☆ スマパン全部盛り的作品
Adore(1998)  ジミー不在のエレポップ調
Machina(2000) ☆☆☆☆ ヘヴィメタルマシーン

上記が90年代のスマパン作品の、

メタラー的分析です。
(異論は認めます)

ちなみに、2000年代には、

『Zeitgeist』という

メタル度星五つのビックリな作品もあります。

スマパンのメタラー目線の記事は、

別でいつか書くつもりです。

スマッシング・パンプキンズ『Mellon Collie and the Infinite Sadness』

天才ビリー・コーガンのすべて
ジミー・チェンバレンの超絶ドラム
スマパンというバンドのケミストリー

天才ビリー・コーガンのすべて

90年代のロックミュージック界で、

天才と言われて誰が思い浮かびますか?

私が何人かパッと思いつく中に、

ビリー・コーガンがいます。

前作『Siamese Dream』も、

凄まじい完成度のロックアルバムでしたが、

本作はその上を行く驚異的な完成度の作品です。

まず、二枚組全28曲という超ボリュームです。

こんな内容なのに、アメリカだけで

累計500万枚以上売れたようです。

前作と比較すると、アーティストとして、

全く別の次元にステップアップしており、

表現力の幅が格段に広がっています。

オープニングの

『Mellon Collie and the Infinite Sadness』から

続く『Tonight, Tonight』の二曲を聴くだけで、

この作品が傑作だと一発でわかります。
(未聴の人は試してください)

これのあとに、

これです。

ビリーコーガンという人は、

非常に繊細な感性の持ち主ですが、

その彼の才能全てを、

完全に詰め込んだのが本作です。

メタル曲、(エレ)ポップ曲、

アコースティック調バラード、

色々盛り込んで、その全部が超絶クオリティです。

シングルカットは、ロック系の曲が多く、

これとか、

これが、

選ばれていますが、

アルバム全体で見ると、

この辺はあくまで一部分です。

全部通しで聴くと、二時間近くかかりますが、

映画何本も観たような満足感が味わえます。
(あと、真剣に聴くと結構疲れます)

ジミー・チェンバレンの超絶ドラム

ジャンルに限らず、全てのドラマーで、

私がほぼ一番好きなドラマーが

スマパンのジミー・チェンバレンです。
(あと数人、ほぼ一番、な人がいますが)

元々ジャズ系のドラマーで、

スマパンで叩くにあたって、

ロックドラマーに転向したのは有名な話です。

とにかく手数が多くて、

ド派手な手足のコンビネーションが

めちゃくちゃクールです。

(※これはスマパン曲ではありません)

スマパンは本作において、

ロックミュージックのダイナミクスを、

極限まで表現し尽くしたと思いますが、

これはジミーの貢献がかなり大きいです。

ビリーとジェームス・イハの、

異常なまでの重層的なギターは、

音の塊のようなハーモニーを聴かせますが、

これにジミーの変態的なドラムと

ついでにダーシーのベースも合わせて、

唯一無二のグルーヴ感を作り上げます。

彼らの一つの到達点は、

『Jellybelly』という楽曲で、

彼ら自身もロック曲でこの楽曲を超えるものは、

その後も作り得ていないように思います。

曲の最後の方は、

音の津波みたいになっています。

スマパンというバンドのケミストリー

スマパンのオリジナルメンバーが、

全員揃っているのは本作までです。

このあと、ジミーが一旦抜けて、

打ち込み主体の『Adore』を作ります。

さらにはダーシーが抜けて、ジミーを一旦戻して、

『Machina/The Machines of God』を作ります。

その後は、ビリーとジミーだけで作ったり、

新メンバーで作ったり、

トミー・リーが叩いたり(!)、

ジェームスが戻ったり、

紆余曲折ありますが、

やはりオリジナルメンバーでやり切った

本作の輝きに比肩するものはありません。

正直なところ、ビリーさえいれば、

スマパンというバンドは成立しますが、

このバンドの魅力の肝の部分は、

不思議なバンドメンバーの存在でした。

天才ドラマーのジミーはもちろんですが、

アジア系の風貌(日系三世)のジェームスは、

ビリーとは違ったギタースタイルです。

ロック曲ではビリーとタメを張る

ゴリゴリのディストーションを聴かせますが、

オーガニックな楽曲に彼の真髄があります。

紅一点のベースのダーシーは、

バンドのクリエイティビティに、

大いに貢献しています。

誰が言ったか、

「バンド組むならベースは女子」を、

体現したバンドです。

リスナーは、音楽を基本的に耳で楽しみますが、

そのアーティストのルックスや、

雰囲気、発言など、総合的に情報を得ています。

この辺りのバランスが、とてもうまく行ったのが、

この時期のスマパンではないでしょうか。

『1979』のビデオを見ていると、

中年アジア人男性の私でも、

未だにどこか切ない気持ちになります。
(同世代アメリカ人ならなおさらです)

「ああ、これがアメリカなんだなあ」と、

しみじみ感じます。

終わりに

彼らは、2000年代以降も、

精力的に活動を続けています。

2020年代にも、

すでに新作を出しています。

しかし本作以上に、バンドとしての魅力を、

感じられる作品はありません。

ビリーは天才でありながら、

ひたすら挑戦を続ける真のアーティストのため、

本作の続編を作ろう、というような、

保守的な考えは持ち合わせていないでしょう。
(たぶん)

少なくとも、2000年代以降の作品の方向性は、

良い意味でバラバラです。

例えば、ビリーとジミーの二人だけいれば、

良いものができるのは、ZWANあたりを、

聴いてもよくわかります。

しかし、スマッシング・パンプキンズという、

バンド名を冠した作品には、

マジックがかかったような、

どこか不思議なムードが漂います。

そのマジックが、

最大限発揮されたのが本作でした。

90年代に発表されたアメリカ人ロックバンドの、

最高傑作の一つです。

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