トトオです。
今回のオールタイムベストは、筋肉少女帯の『仏陀L』を紹介します。
前回記事はコチラです。
今回の記事は、コチラの方にオススメです。
リマスター盤を買おうか迷っている
昭和のサブカルに興味あり
筋少の最高傑作はどれ?
筋肉少女帯(以下筋少)に関する細かい説明は置いておきますが、彼らは熱心なファンが多いことで有名です。私もそれなりに聴いてきたつもりですが、一枚だけ彼らの作品を選ぶのは、かなり難しいです。
90年代までの作品と、凍結から再始動した2000年代以降の作品も合わせると、現時点でオリジナルアルバムは合計20枚もあります。
メタルバンドとしての筋少なら『月光蟲』が最高傑作で、大槻ケンヂ(以下オーケン)の世界観が最も尖っていたのは『レティクル座妄想』でしょうか。
個別の楽曲で見ると、『エリーゼのために』や『キラキラと輝くもの』も好きな曲が多いです。
メタル筋少楽曲でいうと『機械』あたりは別格です。
この曲をメタラーで嫌いな人はいないでしょう。
などなど、私自身一人で考えてもこれだけ色々出てくるので、長年ファンやられている方だと、それぞれさらに色々な思いがあると思います。
悩みに悩んで私が一枚だけ選ぶなら、今回紹介するメジャーデビュー作の『仏陀L』です。
筋肉少女帯 『仏陀L』
奇跡の名曲『釈迦』
釈迦は本アルバムのシングルカットで、初期筋少の代表曲です。とにかくこれがハチャメチャに格好良いです。
パッと聴いて、なんというジャンルで表現したら良いかわかりませんが、やはりパンクでしょうか。ジャケットに「SUBMISSION HARD PUNK」と書かれてありますが、これはなるほどと思わせる言い回しです。
新人離れした演奏力ですが、特にこの曲はギターが格好良いです。メタルギターのような整ったディストーションというより、オーバードライブっぽいロックンロール調のギターサウンドで、いかにも80年代っぽいです。
裏声オーケンの迫力満点のボーカルですが、インディー時代と比較すると、声が太くなっていて、不気味さより格好良さが勝ります。
個人的に、筋少の楽曲の好きなところは野太いコーラスなのですが、この楽曲でも「シャララシャカシャカ」と、最高に男臭いコーラスが聴けます。
この楽曲にこの演奏で、そしてタイトルが『釈迦』です。歌詞は記載しませんが、これぞまさに芸術と言える内容で、これである程度商業的に成功していたわけですから、如何に当時の日本の音楽シーンが分厚かったか推し量れます。
この楽曲は、バージョン違いが多いのですが、原曲以外ならお祭りバージョンの『大釈迦』が楽しいですね。
日本のキース・エマーソン 三柴江戸蔵
初期筋少の立役者と言って良いのが、キーボード担当のエディこと三柴江戸蔵です。彼は次作まで参加して脱退してしまいます。彼が抜けた後の筋少は、ツインギター体制となったこともあり、完全にメタルに舵を切りました。
エディが参加した初期二作は、既述の通りパンク寄りの路線ですが、このエディの天才的なピアノ及びキーボードが、バンドを引っ張りました。鍵盤フィーチャーの格好良い楽曲満載の本作ですが、特に格好良い楽曲が『サンフランシスコ』です。
いやもう、ヤバいですね。とにかく格好良いフレーズ満載で、エディの圧倒的な才能に魅せられます。歌詞に「サーカス」というフレーズが出てきますが、歌詞がなくても「サーカス」が思い浮かぶような楽曲です。
エディのこの頃の演奏は、個人的には90年代ELPのキース・エマーソンを思い出します。
ほかにも、『ペテン師、新月の夜に死す!』なんかはプログレ度が高く、楽曲の濃さと相まって、他では味わえない魅力です。
その後、エディーは特撮という別バンドでオーケンと合流しますが、こちらはギターのNARASAKIの影響が濃いヘヴィロック路線で、彼のピアノとの相性が抜群でした。
最近また新作を発表しています。
KIN-SHOWと昭和日本のサブカル
『仏陀L』は88年発表で昭和末期に発表されています。この時代の日本のサブカル文化は奥深く、このような濃いバンドが誕生しました。
平成に入り、筋少もメタル化し、メジャー化していくと、急激にプロフェッショナルになっていって、初期のインディー感が薄れます。それでも、サブカルエッセンスをキープしつつ、さらに人気者になったバランス感覚は、彼らが本物の天才だったことの証でしょう。
私は初期のおどろおどろしい雰囲気に、強烈に惹かれるところがあるのですが、初期のままだと、メジャーで売れ続けることはなかったでしょう。
しかし、初期のスタイルがあったお陰で、メタルファン以外にも、筋少というバンドの格好良さが認知されていた面があります。
私の周りの非メタラーな音楽好きは、やはり初期の筋少の別格的な格好良さに影響を受けている人が多かったです。
個人的にも、未だについつい聴きたくなるのは初期の二枚ですが、音楽だけではなく、この時代の空気感にも触れたくなるからでしょうか。
おまけ リマスター盤『仏陀L』
ちなみに今回はリマスター盤で聴き直しました。
オリジナルとリマスターを比較すると、やはり明らかにリマスターの方が音が鮮明で、迫力があります。原盤を聴き込んだ人なら、買う価値ありです。
しかしながら、オリジナル盤のあのちょっと曇ったというか、あまりクリアでない、ぼやっとしたプロダクションは、それはそれで作品の雰囲気とマッチしていて好きなんですけどね。
トトオのオススメ名曲ランキング
1位『釈迦』
2位『サンフランシスコ』
3位『孤島の鬼』
終わりに
オーケン復活後の2000年代以降の作品も、まあだいたい聴いているくらいにはファンな私ですが、ちょいちょい聴きたくなるのはやはり80年代から90年代の作品です。
オーケンのこの時代のソロも好きでよく聴きます。
エディ脱退後、メタル化したと言っても、作品毎でカラーが異なっていて、本当にユニークなバンドだと思います。
メタラー向けにオススメなのは、名盤と名高い『月光蟲』なので、そちらは別の機会にまた書きます。
コメント
この『仏陀L』はリアルタイムで聴きまくりましたよ。
メタル,プログレ,パンクに文学青年と言えるオーケンさんの独特な歌詞と歌声、そしてこのアルバムはエディさんのピアノやキーボードが独特な魅力を与えていますね。
著書も多いオーケンさんですが、確か『のほほん雑記帳』を書いた時、私の勤務先の印刷会社に本人が校正に来たのに会えず、残念だった25年程前の思い出があります…(ノ_<)
追記:久々に聴きたくなり、iPhoneに入れてある本作を久々に今日の会社帰りに聴いてみました。
『オレンヂ・エビス』に出てくるかつてのプロレスラーの皆様の名前を聞いて、「もう御存命しているのが、マキ上田さんとラジャ・ライオンさん位なんだなぁ…(T ^ T)」と思ってしまいました。
「音がこんなに小さかったっけ?」と思ったら、ヴォリュームを下げるボタンをいつの間にか押していたみたいで、上げたら大丈夫でしたし、すぐに慣れましたが、本作を聴き終わった直後にリマスターされている『究極ベスト“大公式”[Disc 2]』のヴァージョンを聴いたら明らかに音の分離が良くなっていますね(^^)
>ぼく、ブースカれす
オーケンはサービス精神旺盛ですし、会えたらサインもらえたかもですね。
確かに、旧音源は音量のバランスが悪いのですが、『仏陀L』もリマスター盤は改善されていました。
結局、初期のエディ時代ばかりついつい聴いちゃうんですよね。