トトオです。
今回は、全メタラーが待ちに待った、メタリカの『Metallica』(通称『ブラック・アルバム』)リマスター・デラックスのレビューです。
この記事は、以下の方にオススメです。
『Metallica(リマスター・デラックス)』概要
これまでのリマスター履歴
今回、1991年に発表された『ブラック・アルバム』がリマスターされました。
これまでのリマスター履歴は以下の通りです。
→ (1983) / (2016)
Ride the Lightning
→ (1984) / (2016)
Master of Puppets
→ (1986) / (2017)
…And Justice for All
→ (1988) / (2018)
Metallica
→ (1991) / (2021)
※左側カッコが発表年、
右側カッコがリマスター年
前作の『…And Justice for All』(邦題『メタル・ジャスティス』)まで、アルバム一枚ずつ進んでいます。
一気に全作品リマスターしない、というやり方はなかなか賢くて、購買意欲をそそられます。さすがは、成功者メタリカです。
ちなみに私は、きちんとすべて発売日に買っています。
順番的に、次は『Load』や『Reload』ですが、この辺もリマスターするのでしょうか?私は絶対買いますが・・・。
『リマスター・デラックス』仕様
私がAmazonで購入した『リマスター・デラックス』の仕様はこんな感じです。
『ブラック・アルバム』リマスター
CD2:
ボックスセットから厳選の『デモ音源』
CD3:
ボックスセットから厳選の『ライブ音源』
『リマスター・デラックス・ボックス・セット』仕様
私は買いませんでしたが、『リマスター・デラックス・ボックス・セット』は以下の内容です。
・CD 14枚:『メタリカ』リマスター・アルバム+ライヴ音源、デモ、ラフ・ミックス、インタヴュー(未発表音源含む)
・DVD 6枚:ライヴ、アウトテイク、ビハインド・ザ・シーン、公式ビデオ(未発表映像含む)
・120Pハードカバー・ブック、雑誌表紙リトグラフ3枚、ツアー・ラミネート4枚、ストラップ、歌詞シート入りフォルダー、ギター・ピック3枚
これで、51,700円です。
CD14枚、LP6枚、DVD6枚、ディスクは合計26枚です。ディスク以外の特典を無視すると、だいたい一枚当たり約2,000円です。
私ははっきり言ってメタリカの大ファンですが、これにはさすがに手が出ませんでした。
最近メイデンのボックスを買って、この手のやつに懲りた(?)のもあります。
『Metallica(リマスター・デラックス)』レビュー
メガジャケと共に到着
はい、来ましたAmazonさん。
だから・・・、
メガジャケなんかつけなくて良いから、ちゃんと梱包しろっつうんですよね。
見てください、これ。
リマスターって、その作品に愛情とか思い入れがあるからやるわけじゃないですか?
これ、愛情とかまごころから、一番遠い仕打ちじゃないですか?
(ついでに言うと、CD入っていた封筒も破れていて、中身が外から覗いてました)
まあ、頑張ったら綺麗に剝がせたから、もう許します。
(これ以上不具合ありませんように・・・)
ジャケット鑑賞
1991年当時、『ブラック・アルバム』からのシングルカットのデザインは、アルバムデザインのバリエーション違いが採用されていたと思います。(デフ・レパードの『Hysteria』なんかもそうでした)
今回の『デラックス・リマスター』も、やはりオリジナルのアルバムデザインのバリエーション違いです。ドラムのラーズ・ウルリッヒが選んだデザインのようです。
伝説級のアルバムデザインの別バージョンですから、まあやっぱり格好良いですね。
三枚組み デジパックデザイン
パカッと開きます。
当時のライブでのステージ写真が、見開きでデザインされています。スタジアム級のバンドの風格がしっかりと漂っていて、痺れます。
で、更に開くと、アルバム三枚並んでいます。
三枚も並ぶとなかなか迫力ありますね。
この時期のメンバーは本当に格好良いです。大物の風格漂う上に、『Load』期のような大胆なイメチェン前で、スラッシュ時代のストイックさがまだ感じられます。
この時期のジェイムズ・ヘットフィールドは、ちょっと怖いくらい鋭い目つきですね。
では、ディスクの中身も確認しましょう。
ディスク1:メタリカ(リマスター)
メタリカの「一般的な」最高傑作
『ブラック・アルバム』のリマスター盤です。
メタリカの最高傑作といえば、一般的には『Master of Puppets』(邦題『メタル・マスター』)か、この『ブラック・アルバム』のどちらかが、選ばれることかと思います。
私は、『…And Justice for All』や、『Load』なんかも好きな人間なのですが、作品の内容に関しては、今後個別レビューで記載します。
まあ、『ブラック・アルバム』の楽曲については、今更何も言うことないような名盤ですね。
リマスター効果
これまでのリマスターも全て持っている私の意見としては、本作のリマスター効果は、過去作中最も薄いです。
メタリカのリマスターは、基本的にどれも非常に手堅い仕事ぶりです。もうめちゃくちゃいじりまくるメガデスのリマスターとは全く違います。
メタリカは、原作のバランスは忠実に保ちながら、音の分離や解像度を上げるような印象です。
本作は元のオリジナル盤が素晴らしい音質の作品であり、1991年当時でも、すでに完璧なクオリティでした。
そのため、リマスターを施しても、それほど大きな違いは感じられませんでした。
特筆すべきはリズム隊
本作の音質で特筆すべきは、やはりリズム隊です。ドラムのスネアとシンバルの音が、それまでのメタリカと決定的に違います。
本作は、スピードを殺して、グルーヴやヘヴィネスにフォーカスした作品ですが、ラーズのスネアは驚くほど硬く、シンバルはキンッキンに尖っています。
本作の特徴を一番体現している楽曲は、『Sad But True』ですね。
これくらい凄い楽曲は、2000年代以降のメタリカには正直ないですね。
個人的には、『Enter Sandman』なんかよりも、こっちの方が数倍凄い曲だと思います。
ジェイソンの面目躍如
ベースのジェイソン・ニューステッドが、前作で嫌がらせ(?)を受けたのは、メタラーなら周知の事実です。
勝手にこんなものまで作られています。
『…And Justice For Jason』・・・。(画像も笑えます)
次作であるこの『ブラック・アルバム』は、ジェイソンの面目躍如と言ったところで、ちゃんと聴こえます(笑)。
リマスター化に際し、やはりベースも音がクリアで聴きやすく、オリジナルよりも更にジェイソンの存在感大です。
こちらの音源は、ジェイソンのベースラインのデモテープです。
やはり、素晴らしいベースプレイヤーですね、彼は。
ジェイソンはあんな形でバンドを去りましたが、メタリカのベーシストと言えば、私は彼が一番好きです。
ベースプレイそのものもですが、ライブでのステージングが最高でした。あと、顔(というか表情)が良いですよね。
クリフ・バートンがいた時代のメタリカと、ジェイソンの加入した時代のメタリカは、全く別物です。
この二人を同列で比較するのは、個人的にはナンセンスだと思っています。
ディスク2:リフ、デモ、ラフ・ミックス&イージー・リスニング・ミュージック
完全にマニア向けのデモ
各楽曲のデモが、基本的にオリジナルの曲順で収録されています。
これがなかなか貴重な音源ばかりで、結構楽しめました。鼻歌で仮にメロディーが入れられているものや、まだ練習といっても良いレベルの音源までありました。
但し、これに価値を見出せるのは、よほどのマニアだと思います。
『Nothing Else Matters』エレベーターバージョン
ちょっと面白かったのが、CD最後に収録されている『Nothing Else Matters』のエレベーターバージョンです。
エレキギター抜き、オーケストラ入り、という特殊バージョンです。今回初めて聴きました。実はこれ、当時『Sad But True』のシングルB面だったみたいです。
前作までスラッシュメタル一辺倒だったメタリカが、当時いきなりこれをやったわけですから、いかに衝撃が凄かったかは、想像に難くないですね。
ディスク3:ホェアエヴァー・ウィ・メイ・ローム
1991~1993年のライブ音源
この時代のライブ音源が収録されています。こちらも、オリジナルの曲順に近い曲順で並んでいます。
基本的に、全て違う会場で収録された音源であるため、音質にバラつきがあります。
個人的に一番楽しめたのは『Whiplash』です。
(注:このビデオは『Live Shit: Binge & Purge』バージョンです)
『ブラック・アルバム』では、スローアンドヘヴィに舵を切りましたが、「メタリカはまだまだスラッシュメタルバンドやぞ」、というような気合が入っていて、格好良かったです。
あと、全体的にですが、カーク・ハメットのギターソロが原曲にかなり忠実で、明らかに今より上手かったです(笑)。
総評
良いところ
ジェイソンの仕事振りを再確認
派手さはなくとも堅実なリマスター
悪いところ
デモとライブも完全マニア向け
結論
ジェイソン好きな人なら、買って損なし!
終わりに
別記事で書きましたが、私が一番最初にメタルで買った作品は、メタリカの『Load』でした。
そもそもメタルとは言えないような作品でしたが、そこが入り口になって、メタル道に突き進みました。
『ブラック・アルバム』は、確か『Master of Puppets』を聴いたあとくらいに聴きましたが、当初は緩く感じられて、全く好きになれませんでした。(そもそも『Load』も最初は好きではなかった)
しかし、時間をかけると、スラッシュメタル小僧だった私にも、じわじわとその凄さがわかってくるようになって・・・。
といったあたりは、そのうち全作品レビューを書きますので、その時にまた語ろうと思います。
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