三度の飯より叙情メロ好きな皆さん。こんにちは、トトオです。
今回の「なぜか好きなアルバムなんなん」は、
今はなきスウェーデンのメロディック・デスメタルバンド、ゲイツ・オブ・イシュターの『The Dawn of Flames』を紹介します。
前回の記事はコチラです。
この記事は、以下の方にオススメです。
メロデスという沼
メロデスとはなんぞや
90年代後半、私がメタラーになってすぐの当時、日本ではメロディック・デスメタル(メロデス)の一大ムーブメントが巻き起こっていました。
「メロディック・デスメタルとはなんぞや?」という説明は、過去イン・フレイムスのレビューで書きました。
端的に言うと、
『ダミ声で歌うシンガーがいる、メロディックなヘヴィメタルバンド』
です。(語弊あり)
このジャンルは、いわゆるヘヴィメタルから派生したサブジャンルです。
メロデスについて語ると長くなるので省きますが、当然私もメロデスに夢中になりました。
専門店激プッシュ
いわゆる当時のメロデス界の三羽ガラス(勝手に命名)、イン・フレイムス、アーク・エネミー(当時はこう呼んだ)、ダーク・トランキュリティから聴き始めました。
彼らのようなメジャーなバンドに飽き足らず、マニアックなバンドに関してもどんどん掘り下げていきました。
バイトで日銭を稼いでは、ヘヴィメタル専門店の輸入盤コーナーに通う日々・・・。
そんなある日、一枚のCDが私の目に止まりました。
「今、アホみたいに売れている!」とその専門店で一大プッシュされていたバンド、それが今回紹介するゲイツ・オブ・イシュターです。
Gates of Ishtar 『The Dawn of Flames』
爆売れにはワケがある
輸入盤チャートで快進撃
HM/HR専門誌BURRN!には、通常のチャートとは別で、輸入盤のセールスチャートが掲載されています。
そのチャートにおいて、このバンドは当時何ヶ月も一位になっていた記憶があります。つまり、その専門店の宣伝は、事実だったわけです。
叙情メロディーの波状攻撃
なぜこのバンドにそこまでの人気があったのか?
それは彼らの作品が、日本人メタラー大好物の、叙情メロディの宝庫だったからです。
表題曲を聴いてください。
冒頭から、ブラストビートとゲキ臭マイナー調のツインリードギターで、音の洪水です。
ドラマーは相当な手練れで、ここまでシャープなブラストビートはなかなかないでしょう。音がチープで、加工が少ないため、その凄さがさらに際立ちます。
さらには、中盤からピアノソロを挟むという変化球まで使って、これでもかとリスナーを泣かせにかかります。
メイデン直系のメロデス
本作では、キーボードも少なからず使われているので、ブラック・メタル的にも聴こえます。しかし、彼らは完全にアイアン・メイデンの亜流のバンドです。
楽曲のコアの部分は、正統派のメタルのリフや構成です。そして、この質がめちゃくちゃ高い。
この音はやはり、90年代の音ですね。初期のイン・フレイムスあたりが好きな人には、もうたまらないはずです。
最も「正統派」なセカンド
彼らは活動期間が短く、わずか三枚しか作品を残していません。
The Dawn Of Flames (1997)
At Dusk And Forever (1998)
本作はセカンドに当たりますが、全三作で一番好みのアレンジです。
ファーストはデビュー作ということもあり、荒削りで音があまり良くないです。
サードは、アット・ザ・ゲイツのような、突進形の楽曲中心で、正統派の構築美がやや薄れました。(しかし、好きな人は多いスタイル)
セカンドである本作は、正統派メロディック・デスメタルとでもいうような、ドラマチック且つ王道ともいえる展開の楽曲ばかりです。
ボーカルは、地声がダミ声タイプのデス声です。(伝わります?)
天使のデス声こと、ダーク・トランキュリティのミカエル・スタンネに近いです。
聴いてると脳内に大量のエンドルフィンが出て、多幸感が半端ないです。(かなり人による)
クセになる北欧メロデスの世界観
ジャケットに見る「エセ勇者御一行」
ジャケット見てください。
どうですか、これ。
いや、ほんと、どんな人生歩んだら、こんなジャケットの作品作ろうと思うんですかね。
ドラクエの間違ったローカライズみたいな、日本人には違和感しかないデザインです。
それにしても、この真ん中のオネーちゃんどうですか?
この装備でこれから戦う気なんですか?油断させて寝首をかく作戦なんでしょうか。
自分の息子がメジャーデビューすると聞いて、そのアルバムジャケットこれだったらどうします?どこで育て方間違えたんかなと、頭抱えますよね?
しかし、このジャケットは、果てしなく壮大な物語を想像させてくれます。
北欧メロデスの世界観に酔いしれる
北欧のメロデスは、世界観が良いんです。
ブラック・メタルまで行くと、私なんかはちょっと引いてしまいます。(それでも当時結構買いました)
ガチ過ぎるんですよね。宗教観が違う東洋人にはハードル高めです。
一方メロデスは、神話とかをモチーフにしていることが多く、ファンタジー要素が強めでワクワクします。
彼ら以外にも、名盤といわれるメロデス作品は、いずれもジャケットが良いです。
音とジャケットのシンクロ率が高くて、その作品の拘りがヒシヒシと伝わってきます。
別バンドですが、これなんか典型的です。
このジャケットだけで、ご飯三杯いけますね。
トトオのオススメ名曲ランキング
1位『Dawn Of Flames』
2位『Perpetual Dawn』
3位『Dreamfields』
終わりに
褒めているのか貶しているのか、自分でもよくわからないレビューですが、私はとにかくこの作品が大好きです。
この作品を聴いていると、何か一つのことにあそこまで夢中になれたのは、やはり若さゆえかと、切ない気持ちになります。
失われた青春を感じて、気付けばメロディの洪水とともに咽び泣いています。
ちなみに、需要があるとは到底思えないのですが(失礼)、本作は2016年にリマスターされています。
残念ながら、あのエセ勇者御一行のジャケは一新されてしまいました。
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