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【パンデミックとテクノゴッド】Orbital『Optical Delusion』レビュー【2023年新作】

オービタル アルバム 写真 ブログ用 音楽

トトオです。

今回は、先日発表されたオービタルの新作『Optical Delusion』をレビューします。

以前のオービタル記事はこちらです。

今回の記事のポイントはこちらです。

トトオ
この記事の
ポイント

パンデミックとテクノゴッド

結論

まず結論です。

百花繚乱のコンセプチュアルアルバム

では、レビュー行きましょう。

オービタルと私

マイ・フェイバリット・アーティスト

私はだいたい30年くらい音楽を趣味としています。

数多くの作品に触れてきましたし、好きな作品は山のようにあり、本ブログでも数々ご紹介しております。

そんな私でも、本当に特別に好きなアーティストは10くらいに絞られます。

その中でも、トップ3に入る特別なバンドが、UKのテクノユニット・オービタルです。

レビューを書かない理由

当ブログではこれまで250以上の記事を書いてきましたが、オービタルのレビューはわずか一本です。

オービタルと同じくらい好きなアイアン・メイデンに関しては、30本近く記事を書いているのにも関わらず、です。

理由は非常に明快で、「レビューが難しいから」です。

テクノレビューの難しさ

私は元々バンドをやっていましたので、バンド作品のレビューは、やはり書きやすいです。

一方、DJの経験はありませんし、ダンストラックの制作経験もありません。

そのため、テクノ系アーティストをテクニック的な側面からレビューすることが、非常に難しいのです。

ということで、私がオービタルをレビューする場合、抽象的な書き方しかできません。

とにかく聴いてほしいので

そんな理由で、これほど好きにも関わらず、レビューをほとんど書いていないのが現状です。

しかし、既述のとおり、これくらい好きなアーティストは他にはないので、やはり皆さんにその素晴らしさをお伝えしたい気持ちはあります。

ということで、長い前置きですが、意を決して(?)オービタルの新作をレビューしたいと思います。

Orbital『Optical Delusion』

記念すべき10作目

オービタル通算10作目の作品となります。

前作は『Monsters Exist』で、2018年9月の発表でしたので、約4年半ぶりとなります。

アルバムタイトル『Optical Delusion』の意味は、直訳すると「視覚的妄想」でしょうか。

「Optical Illusion」「錯視」という意味なので、おそらくこれを文字ったものと思われます。

そして、この4年半に何があったかというと、やはりコロナです。

パンデミックのその影響

本作は、パンデミックの影響を全面に出しています。

まず一曲目が、『Ringa Ringa (The Old Pandemic Folk Song)』です。

17世紀のパンデミックが由来となっている童謡を、楽曲モチーフにしています。

その後、『Are You Alive?』や、『The New Abnormal』『Dirty Rat』など、まさにコロナを連想させるタイトルが並びます。

百花繚乱 コラボ陣

本作の特徴は、コラボアーティストが多い点でしょう。

Sleaford Modsとのコラボ曲が、先行シングルカット第一弾でした。

全10曲中、オービタル単独クレジットの楽曲はわずか二曲で、残り八曲全て他アーティストとのコラボになります。

コロナ禍は、オンラインでの人との繋がりを強めたという側面があり、その影響かもしれません。

史上初(!)のフィル単独楽曲

また、本作の特筆すべき点として、フィル・ハートノル単独で製作された楽曲が初めて収録されています。
(かなり意外でした)

You Are the Frequency
What a Surprise
Moon Princess

上記三曲は、フィルが作った曲ですが、これらの曲は「コロナを意識せずに作り上げた」とのことです。

ポールが作った楽曲と比較して聴くと、フィルの楽曲の方がオービタルとしては新機軸という印象です。

近作との比較

オービタルの2000年代以降の活動は断続的で、

2000年代
 The Altogether
 Blue Album
2010年代
 Wonky
 Monsters Exist
2020年代
 Optical Delusion

となります。

『Blue Album』で一旦活動は終了し、『Wonky』で復活再始動しています。
(その後も紆余曲折あった様子)

復活以降の作品に絞って見てみましょう。

Wonky(2012)

『Wonky』は、まさに復活に相応しい内容で、オービタルに期待されるものが、時代に合わせてブラッシュアップされていました。

Monsters Exist(2018)

『Monsters Exist』は、コンセプトが特に強めに押し出されており、異色作といえる内容でした。

Optical Delusion(2023)

そして本作は、コロナの影響を全面に押し出したコンセプトアルバムですが、コラボ楽曲が大半で、その内容は百花繚乱です。

一つ一つの楽曲カラーがはっきりしており、とっつきやすい印象です。

しかし、アルバムトータルとしては、やや寄せ集めっぽくて、オムニバスな感じがします。

過去作でも特に密度が高かった90年代の作品、『Snivilisation』から『The Middle of Nowhere』あたりと比較すると、とっつきやすい反面、濃度がやや薄めな点は否めません。

今聴いても、圧倒的にこの辺の楽曲は凄まじいですね。狂気すら感じます。

(トトオの)特筆すべき二曲

本作個別の楽曲で私が一番感動したのは、オービタル単独クレジットの二曲です。

The New Abnormal

まず、タイトルが傑作です。

太めのビートと、アンビエントでもメロディックな音色が美しく、段階的に劇的に発展していきます。

楽曲は『Wonky』あたりに入っててもおかしくない、アンビエントでもビビッドなトーンです。

目新しさこそないものの、これぞオービタルにしか作れない世界観ではないでしょうか。

Requiem for the Pre-Apocalypse

オービタルにしては比較的珍しい、ジャングルっぽいビートがフィーチャーされた楽曲です。

シンプルながらもアタック強めなビートと、幻想的なメロディがアンバランスで、妙に癖になります。

こちらの楽曲は、その「らしくなさ」に痺れました。

まとめ

本作を、とっつきやすい反面、濃度が薄めと書きました。

しかし、それはあくまで「究極」とも言える過去作との比較であり、本作の出来が良くないという意味ではありません。

少なくとも、発表から毎日聴いても、いまだに新しい発見があり、オービタルのクオリティは確実に保たれています。

但し、あくまで個人的な意見ですが、オービタル単独名義の二曲が突出して素晴らしかっただけに、単独曲とコラボ曲の収録数のバランスが逆転していれば、また違う作品に仕上がったのではないかと、想像してしまいます。

トトオのオススメ名曲ランキング

トトオ
トトオの
オススメ
ランキング

1位『The New Abnormal』
2位『Requiem for the Pre-Apocalypse』
3位『Day One』

終わりに

いずれ別記事を書きますが、名盤『Brown Album』を出したその後、90年代の一連の作品群に、彼らの圧倒的な凄まじさを感じます。

本作は、まさにオービタルの作品ですが、そのキャリアと実力ゆえ、やや無難で手堅い作品になってしまうのは、致し方ないことかもしれません。

コメント

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