【ARTIST INDEX】アーティスト名記事検索はコチラ
スポンサーリンク

【地味でもスルメです】イン・フレイムス/In Flames『Siren Charms』(2014)

イン・フレイムス アルバム 写真 5 ブログ用 音楽

トトオです。

今回は、イン・フレイムスの通算11枚目の作品『Siren Charms』をレビューします。

前回の記事はこちらです。

今回の記事のポイントはこちらです。

トトオ
この記事の
ポイント

スルー厳禁!地味でも聴くべき超スルメ盤!

白状と『Battles』

結論

本作は、ニューイン・フレイムスとしてのスタイルが確立された作品です。

全体的に地味な作りのため、キャリア上あまり目立たないかも知れませんが、聴いて損なしのスルメ盤です。

トトオの白状

前回の記事でも書きましたが、私は本作の一枚前の『Sounds of a Playground Fading』で、当時大変失望しました。

その衝撃は相当なもので、完全に心がバンドから離れました。

それもあって、実はこの『Siren Charms』は、発売当初購入しませんでした。

しばらくしてから、やはり気になったので手に入れましたが、数回聴いて、無言で棚に仕舞い込みました。

『Battles』で「気づく」

その数年後、さらに次の作品『Battles』が発表されました。

すでにイン・フレイムスには期待していませんでした。

しかし、ふと気になって、この作品はすぐに購入しました。

この『Battles』を聴いたところ、

「あれ?これは、もしかして・・・」と思い、

慌てて『Siren Charms』を聴き直しました。

そこで初めて、本作品の凄さに気付きました。

『Siren Charms』(2014)

メンバー

前作『Sounds of – 』は、イェスパー・ストロムブラードが抜けた後を埋めずに、四人体制で制作されました。

本作では、旧バンドメイトのニクラス・エンゲリンを新たにメンバーに加えて、通常のツインギタースタイルとなっています。

また、長年バンドを支えたドラマーであるダニエル・スヴェンソンは、本作を最後にバンドを後にします。

ジャケット

本作のジャケットデザインはこれです。

イン・フレイムス アルバム 写真 5 ブログ用

以前から書いていますが、どうも彼らのジャケットデザインがあまり好きではなくて・・・。

「お、これはちょっと聴いてやろうか」

と思わせるようなジャケにして欲しいのですが。

ちなみにこの作品だけ、ロゴがデザインされたイカツイやつではありません。

楽曲レビュー

脱イェスパー完了

いわゆるオールドイン・フレイムスの特徴は、

ゴリゴリのディストーションツインギターを前面に出したスタイル

ですが、

本作では影を潜めています。
(フレーズとしては残しています)

これは、バンド創始者である、イェスパーが作ったバンドスタイルからの脱却と言えます。

過去最高の「サビメロ」

ではその代わりに、何に注力したかというと、それはです。

本作は過去作中、最もボーカルメロディが充実した一枚となっています。

本作随一の名曲『Through Oblivion』です。

サビのボーカルメロディを目立たせるために、ヴァース部分は絶妙に控えめのアレンジです。

結果、楽曲のスケール感が増しています。

彼らは昔からデペッシュ・モードのカバーなんかもしていますので、ダークなエレポップもルーツの一つでしょう。

本作では、メランコリックな歌に加えて、キーボードが多用されている点からも、その影響は垣間見得ます。

それにしても素晴らしいサビのメロディです。

この『Rusted Nail』は特に手が混んでいて、

90年代のメロデス的フレーズ
2000年代のソリッドなグルーヴ
2010年代のキャッチーなサビ

と、バンドの歴史を感じさせる一曲です。

最大の弱点「地味」

しかしながら、歌に特化した反動が、他の要素に出ています。

歌をメインにし、楽曲もなるべく聴きやすくコンパクトにした結果、前面に出るギターリフの割合が前作より更に減っています。

且つ、初期の得意技である、必殺の叙情メロディはほぼ皆無です。

この結果、曲毎の違いが薄く、メリハリに欠けます。

一聴しただけだと、淡々と聴き流してしまう危険性大です。

一曲目『In Plain View』は象徴的な楽曲で、イントロが弱いです。

曲全体として見るとやはり良い曲ですが、アルバム一発目には地味すぎます。

タイトルトラック『Siren Charms』も、本作を端的に表しています。

まずは歌があって、それにあわせたリフがあって、それをコンパクトにまとめています。

繰り返し聴くと良さがわかりますが、パンチは弱いです。

コンパクトな曲と練られた構成

前作はアルバムの流れが悪く、聴き通すのがしんどく感じられました。

本作は、一曲一曲なるべくコンパクトにした上で、曲順も練られているので、何度も繰り返し聴きたくなる構成になっています。

『Paralyzed』は、シングルカットなので、一番聴かれている曲でしょうか。

サビが2段階ブーストするような面白い楽曲です。

『Filtered Truth』は、3分半の楽曲の中に数多くの要素を詰め込みながらも、キャッチーな歌があくまで中心なので、耳に残ります。

地味でも奥行きのある音

本作は音にも特徴があります。

ドラムのスネアが丸く柔らかい音です。

そして、ギターやキーボードが分厚く重層的です。

このおかげで、音に空間的な奥行きが感じられます。

『With Eyes Wide Open』は、本作で特に好きな楽曲です。

やや溜めたリズム隊のグルーヴに、適材適所のシャープなリフを重ね、素晴らしい歌が乗ります。

『Dead Eyes』は後半の一曲で、シングルでも何でもないですが、傑作と言っていい出来です。

アンダース・フリーデンはとてつもないレベルアップを果たしています。

KORNのジョナサン・デイヴィスに似てきた感じもしますが、とにかく上手いです。

トトオのオススメ名曲ランキング

トトオ
トトオの
オススメ名曲
ランキング

1位『Through Oblivion』
2位『Dead Eyes』
3位『With Eyes Wide Open』

総評

捨て曲なしの傑作

本作は、イェスパー脱退後のニューイン・フレイムス完全確立と言える一枚です。

前作の(私が感じた)反省点を、確実に解消しています。

楽曲は練りに練られていて、アルバム構成も工夫しています。

特筆すべきはボーカルメロディで、捨て曲なしと言えるほどの充実度です。

ランダム再生でわかる真価

本作にあまりハマらなかったファンには、本作をランダム再生で聴く方法をお勧めします。

曲順を無視して繰り返し聴けば、確実に新たな発見があるはずです。

オールドファン脱落と思われるが・・・

本作の惜しい点は、これぞイン・フレイムスという必殺のギターメロディがないことです。

そのため、一聴して良さが伝わるような作品ではありません。

結果、前作で大半脱落したであろうオールドファンの残党も、ここで残さず篩い落とされたのではないでしょうか。

加えて心配なのが、

「新規ファンをどれだけ掴めたのか?」

という点です。

私は元々イン・フレイムスのファンだからこそ、本作を手に取ったわけです。

ファンだからこそ、時間を掛けて聴き込んで、その良さもわかりました。

本作の楽曲がラジオで流れて、これに飛びつく新規ファンはどの程度いるでしょうか?

チャートはそれほど悪くなかったようですが、そこからコアなファンがどれくらい生まれたのかは、やや疑問です。

終わりに

冒頭白状しました通り、私は本作を飛ばしました。

この次の『Battles』で引っかかって、改めて聴き直して、やっと初めて良さがわかりました。

本作は聴けば聴くほど素晴らしい作品で、これを私のように飛ばしてしまうのは、あまりにももったいないです。

次作は、本作からさらに歩を進めて、超絶振り切った作品となります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました