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【リマスター盤比較!MEGADETH/全アルバムレビュー】メガデス『So Far, So Good… So What!(ソー・ファー、ソー・グッド…ソー・ホワット!)』

メガデス ソー・ファー、ソー・グッド…ソー・ホワット!写真 1 ブログ 音楽

トトオです。

前回はメガデスのメジャーデビュー作、

『ピース・セルズ』の、

リマスター盤のレビューでした。

前回記事はコチラです。

【リマスター盤比較!MEGADETH/全アルバムレビュー】メガデス『Peace Sells... But Who's Buying?(ピース・セルズ…バット・フーズ・バイイング?)』
トトオです。 前回は、メガデスのインディーズデビュー作、 『キリング・イズ・マイ・ビジネス』の、 リミックス・リマスター盤のレビューでした。 前回記事はコチラです。 今回は、メジャーデビュー作、 『ピース・セルズ…バット・フ...

今回は、メジャー二作目にして、

過渡期的作品である、

『ソー・ファー、ソー・グッド…ソー・ホワット!』

をレビューします。

この記事は、

以下の方にオススメです。

ジェフとチャックの唯一の作品を知りたい
メガデスの有名カバー曲を聴きたい

【ノー・モア・ミスター・ナイスな私③】

高校時代にメタルを聴き始めた私。

メガデスも、当時出ている作品は、

あらかた聴いてしまったところ、

新作が発売されるとBURRN!で知り、

心待ちにしていました。
(ちなみに、当時は、高校の通学カバンに、
 BURRN!のおまけのバンドステッカーを、
 貼りまくっていました・・・)

新作のタイトルは、

『クリプティック・ライティングス』とのこと。

意味は全くわかりませんが、

なにやら凄そうな響きです。

ちなみに、『ユースアネイジア』が、

その時点で一番新しい作品でした。

『ユースアネイジア』よりも、

その一つ前の、

『破滅へのカウントダウン』の方が好みだったので、

メガデスがどのような方向に進むか、

少々不安でした。

概要『So Far, So Good… So What!(ソー・ファー、ソー・グッド…ソー・ホワット!)』(1988年発表)

概要

1988年に発表された、メジャー二作目、

通算三作目のアルバムです。

タイトルに『…』が入るのは、三作連続ですね。

セルフボケツッコミタイトル、

とでもいいましょうか。

前ニ作との大きな違いは、

ギターとドラムが変更になったことです。

前任のクリスガルは、

とんでもなくうまかったので、

次に入るメンバーは相当重責だったと思います。

新メンバーは、

ギターがジェフ・ヤング

ドラムはチャック・ビーラーになりました。

この二人は、結局本作のみの参加となり、

次作からは、新たにマーティニックが加入し、

メガデス黄金時代の幕が上がります。

ちなみに、ジェフの加入前に、

一瞬ジェイ・レイノルズが加入しています。

ジェイは元々、マリスというバンドをやっていて、

そこを抜けてメガデスに入ったのに、

演奏レベルがおっつかず、

結局やめさせられました。

その代わりに入ったのが、

ジェイのギターの先生だったジェフとのことです。

やはり、ムステインの理想は高く、

求めるクオリティに達しない場合は、容赦ないですね。

かつて、

スマパン(スマッシング・パンプキンズ)のビリーが、

バンドを良くするためなら、

仲間をクビにすることも厭わない、

と発言していましたが、

やはりバンマスの影響力が強いバンドは、

馴れ合いなど不要なのでしょう。

しかし、ジェイはこんな感じで

マリスを辞めてよかったのでしょうか。

俺メガデスに入るねん、と周りに自慢して(?)、

自分のバンドを辞めて、

結果そのメガデスに拒否されるという…。
(結局、メガデスをあとでクビになるチャックと
 別のバンドをやり、
 後々はメタル・チャーチに入ります)

メガデス・メタリカ年表

1983/7 Kill ‘Em All (METALLICA)
1984/7 Ride the Lightning (METALLICA)
1985/6 Killing Is My Business (MEGADETH)
1986/3 Master of Puppets (METALLICA)
1986/9 Peace Sells (MEGADETH)
1988/1 So Far, So Good (MEGADETH)
1988/7 …And Justice For All (METALLICA)

『ソー・ファー~』は、

前作から正確には1年と3ヶ月で出されています。

メンバーが変わった割には、

インターバル短いですね。

同じ時期のメタリカは、

1986年9月にベースのクリフが亡くなったので、

より長いインターバル(2年4ヶ月)がありました。
(この間、『メタル・ガレージ』がありましたが、
 あれはカバー集なので、カウントせず)

『ソー・ファー~』には、

クリフにまつわる(と言われる)曲も

収録されています。

メタリカはこの年に、

超絶ストイックな名盤

『メタル・ジャスティス』を発表しますが、

『ソー・ファー~』はどちらかと言うと、

その反対の方向性のような作品です。

オリジナル盤・2004年リマスター盤 比較

1988年のオリジナル盤は、

プロデューサーはポール・レイニ

ミックスはマイケル・ワグナーによるものです。

このミックスにも色々経緯があったようで、

最初は前作『ピース・セルズ』

プロデューサー兼ミックス担当だった、

ポール・レイニが、

プロデュース兼ミックスも担当していたようです。

しかし、ミックス途中で

ムステインがポール・レイニの仕事を気に食わず、

突然解雇し、結果的にマイケル・ワグナーが、

ミックス担当することになったようです。

しかし、そのマイケル・ワグナーのミックスも、

長年ムステインは気に入っておらず、

2004年のリマスター時に

ミックスしなおしています。

ジャケット

オリジナルもリマスターも同じデザインです。

彼らのマスコットであるラトルヘッドが武装して、

モニター越しに映っています。

その背後には地球が見えるので、

ここはどこでしょうという感じのジャケットです。

個人的には、

このアルバムのやや曇った音質と同様に、

ジャケットも何か曇ってるな、

みたいなイメージでした。

今回も、リマスター盤のインナーには、

当時の秘蔵写真が収められています。

ジェフとチャックの写真は、

この時期だけですね。

メガデス ソー・ファー、ソー・グッド…ソー・ホワット!写真 2 ブログ

音質比較

元々のオリジナル盤は、

前作『ピース・セルズ』が、

割とシンプルでエッジの効いた、

ストレートな音質だったことと比較すると、

かなり厚化粧な音質になっています。

全体的に

リバーヴが強めにかかっているような感じで、

そのため一つ一つの楽器の分離が悪く、

随所に挟まれているSEも埋もれ気味です。

個人的には、これはこれで、この時代の音だな、

という感じで結構好きでした。

2004年リマスター盤は、

比較すると劇的に変化しています。

音の分離が良くなっているのもそうですが、

メリハリを最大限効かせており、

こんな音入ってたかな?

というような驚きが随所にあります。

ギターのバランスも改善していますが、

ベースが聴きやすくなったのがとても良いです。

詳細は各曲で述べますが、

単なるミキシングのやり直しだけではなく、

明らかに曲自体再編集されているものもあり、

これは賛否両論あるでしょう。

個人的には、

ここまでやると別の作品になっちゃうかな、

と思います。

収録曲比較

2004年リマスター盤特典

ちなみに2004年リマスター盤には、

ポール・レイニのミックスバージョン曲が、

合計四曲入ってます。

全曲レビュー

#1 イントゥ・ザ・ラングス・オブ・ヘル – Into the Lungs of Hell – 3:22

一曲目はインスト曲です。

これがめちゃくちゃ格好良いです。

リマスター効果の恩恵をかなり受けている曲で、

イントロのSEの鳴り方が全然違います。

クリーントーンのギターも

かなりクリアになっていて、

曇りガラス越しに見えていたものが、

透明なガラスになったような感じです。

次作はかなりストイックな方向に舵を切り、

その後は、

脱スラッシュメタル路線に彼らは進みますが、

本作は、キャッチーなスラッシュメタル

といった感じの作りで、

個人的には好きな方向性です。

演奏は相変わらず、とんでもなく鋭いです。

#2 セット・ザ・ワールド・アファイア – Set the World Afire – 5:48

前曲がインスト曲にも関わらず、

二曲目も頭のインスト部分が長いです。

歌い出しまで2分くらいかかります。

こういう構成はレアではないでしょうか。

ギターの音はエッジが立っていますが、

全体的にエフェクト厚めで、時代を感じます。

冒頭からリフに次ぐリフですが、

さすがは天才ムステイン、

格好良いリフしかありません。

前作よりも、歌に力を入れており、

ボーカルの迫力が増しています。

但し、あんまりサビが残らない曲ですね。

この辺は、全体のバランスをどちらに振るか、

というところですが、

この時期は、

その辺の方向性が定まりきってない感じがします。

比較的テンポが遅めの曲の分、

ギターソロは弾きまくっていますが、

次作以降のマーティのような、

印象的なソロフレーズはありません。

#3 アナーキー・イン・ザ・U.K. – Anarchy in the U.K. – 3:01

来ました。

初期メガデスお約束のカバー曲。

なんピストルズです。
(メガデス版は、
 なぜか日本では再生不可になっていたので、
 本家を貼り付けておきます)

モトリーも数年後に、

この曲をカバーしていましたね。

ちなみに、メガデスのこのカバーには、

ピストルズのギタリスト、

スティーヴ・ジョーンズが参加しています。

当時、

メタラーではない友人に聴かせたところ、

ダサっと言われました。

たしかに、

ピストルズの格好良さとは対極にいますが、

これはこれでありでしょう。

途中のギターソロのアレンジが

バブリーな感じがして、好きです。

メガデスは、

パブリックイメージがダークな方だと思いますが、

実はカバー曲は結構楽しいやつが多くて、

この辺はやはりアメリカ人の気質を感じます。
(サバスの『パラノイド』のカバーとか、
 アリス・クーパーのカバーとか)

#4 メリー・ジェーン – Mary Jane – 4:24

キャッチーなサビに、練られた構成ですが、

どちらもやや中途半端なので、

地味に感じられます。

アレンジは相当凝っていて、

リマスター盤だと、

ギターの重層的なハーモニーがわかりやすくて、

なかなか痺れます。

しかし、本当に曲をこねくり回すのが好きですね、

この人たち。

覚えて演奏するのが難しそうです。

#5 502 – 502 – 3:29

この曲も、やや地味です。

冒頭のギターが、

『キリング・イズ~』の曲のようですが、

あちらの方が千倍くらい鋭かったです。

しかし、この曲は歌が格好良く、

なにやら癖になります。

初期のムステインはどちらかというと

ギターリフや演奏に目が行きがちですが、

中期以降開花するキャッチーな

サビのメロディーラインの萌芽が垣間見えます。

途中大胆なSEアレンジで遊びを入れたりしていて、

この作品は、

チャレンジしようという心意気が感じられます。

#6 イン・マイ・ダーケスト・アワー – In My Darkest Hour – 6:26

リマスター盤最大の問題曲がこれです。

イントロが編集されて、長くなっています。

この部分の必要性が私にはわかりませんが、

正直なところ、

原曲のアレンジで良かったと思います。

イントロのクリーントーンが重要な曲なので、

少し強調したのかもしれません。

曲自体は、このアルバムで唯一、

後々まで演奏される曲なだけはあり、

素晴らしい出来です。

これはもうバラードですね。

歌詞は、自分のキャリアに関してのものですが、

この時期、

メタリカはクリフが亡くなったこともあり、

ムステインは意味深な発言もしていました。
(クリフが亡くなったのに、
 メタリカメンバーから連絡すら来なかったのは、
 相当ショックだったようです)

相当ネガティブな歌詞ですが、

ムステインのメタリカに対する執着も、

それだけ強いようです。

#7 ライアー – Liar – 3:20

ピストルズのカバーかと間違えるような、

ややこしいタイトルの曲です。

全然ピストルズ関係ないです。

全八曲入りで、

二曲もピストルズのカバー入れたりしませんよね、

さすがに。

せっかくなんでライブビデオ貼り付けとります。

メガデスの『Liar』は、

大胆にギターエフェクトを入れている、

こちらもキャッチーな曲です。

コーラスの挟み方が独特で、

これはこれでライブで盛り上がりそうです。

しかし、肝心のメロディーがあまりパッとせず、

結果的にメガデスの作品群では埋れましたね。

#8 フック・イン・マウス – Hook in Mouth – 4:40

本編ラストの一曲ですが、

本作で一番好きなのはこの曲です。

『ピース・セルズ』から本作で培った、

スラッシュメタルとキャッチーな歌の融合という

スタイルの完成形のような、素晴らしい曲です。

サビのキャッチーさや、

演奏のタイトさもさることながら、

歌詞も素晴らしいです。

ギターソロも、本作では一番格好良いです。

よくこんなスケール弾きこなせるなと感心します。

メガデスが後に発売した『ハンガー18』のEPに、

ライブバージョンが収録されていますが、

恐ろしく格好良いです。

原曲の1.2倍速くらいで演奏していますが、

抜群の安定感です。

ボーナストラック

ポール・レイニ・ミックス

リマスター盤のオマケは、

ポール・レイニのミックスした四曲です。

Into the Lungs of Hell (Paul Lani mix) – 3:32
Set the World Afire (Paul Lani mix) – 5:53
Mary Jane (Paul Lani mix) – 4:08
In My Darkest Hour (Paul Lani mix) – 6:11

元々のマイケル・ワグナーのミックスも、

かなり厚化粧な作りでしたが、

ポール・レイニのミックスも同じ方向性です。

ドラムのスネアやタムに、

かなり強めのリヴァーブがかかっているのと、

シンバルの鳴りがかなり派手です。

やはりこの時代の音という感じですね。

個人的には、こういうエフェクト強めの

スラッシュメタル時代のメガデスを楽しめるのが、

この作品の醍醐味だと思っているため、

聴きごたえありました。

但し、敢えてこのボーナスのために

リマスターを買うべきかと言われると、

正直そこまでではないかな、という感じです。

採点

『So Far, So Good… So What!(ソー・ファー、ソー・グッド…ソー・ホワット!)』/ 89点
トトオ
トトオの
オススメ名曲ランキング

1位『Hook in Mouth』
2位『In My Darkest Hour』
3位『Set the World Afire』
4位『Mary Jane』

リマスターお買い得度 / ☆☆

総評

はっきり言って、

メガデスに駄作はありません
(若干一枚を除いて…)。

本作も、

凡百のメタルバンドとは

比較にならないクオリティで、

格好良いリフ満載です。

しかし、曲自体それぞれ見ると、

『In My Darkest Hour』

『Hook in Mouth』以外は

パッとするところがないのが正直なところです。

彼らとしても、メジャー二作目で、

方向性が定め切らずに、

手探りだった部分もあったのだろうと想像します。

『Hook in Mouth』のような、

歌と演奏がばっちりハマった曲がもっとあれば、

彼らの名盤ラインナップに

充分残りえた作品ですが、

やはり過渡期的な一枚なのは間違いないでしょう。

終わりに

本作を最後に、

ギターのクリスとドラムのガルは、

バンドを去ります。

そして、いよいよ次作からは、

マーティとニックが加わり、

メガデスの黄金の90年代が始まります。

【リマスター盤比較!MEGADETH/全アルバムレビュー】メガデス『Rust In Peace(ラスト・イン・ピース)』
トトオです。 今回は、メジャー三作目にして、 メガデスの最高傑作とも称される、 『Rust In Peace(ラスト・イン・ピース)』 をレビューします。 前回記事はコチラです。 この記事は、 以下の方にオススメです。 ...

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