【ARTIST INDEX】アーティスト名記事検索はコチラ
スポンサーリンク

【名曲ランキング!IRON MAIDEN/全アルバムレビュー】アイアン・ メイデン『The X Factor(X ファクター)』

IRON MAIDEN X ファクター 写真 ブログ用 音楽

トトオです。

メイデンレビュー第10弾です。

記念すべき10枚目ですが、

世間的には暗黒時代と見られます。

本作から、

ボーカルが、

ブレイズ・ベイリーに変わります。

前回記事はこちらです。

この記事は、

以下の方にオススメです。

メイデンの黒歴史を知りたい
ゴシックメタルやプログレが好き
トトオの一番の愛聴盤を知りたい

概要『The X Factor(X ファクター)』(1995年発表)

95年発表の10作目です。

前作でブルースが去り、

新しくブレイズ・ベイリーが加入しました。

私は、リアルタイムには、

この作品を聴いていませんでした。
(この翌年くらいに聴き始めた)

スーパーシンガー・ブルースの後任として、

ブレイズの評判はすこぶる悪かったようです。

私はブルースが現役だった時代を、

リアルタイムで知りませんでした。

最初にハマったのは、

『Best of the Beast』というベストです。

そういうこともあって、

ボーカルの変更に関して、

メイデンを聴き始めた当初は、

あまり気になりませんでした。

楽曲構成

このアルバムの楽曲は、全11曲です。

スティーヴ単独:4
スティーヴ・ヤニック共作:2
スティーヴ・ヤニック・ブレイズ共作:4
ブレイズ・ヤニック共作:1

上記、全11曲となっています。

ヤニックの貢献が目立ちます。

7曲でクレジットされています。

また、新メンバーのブレイズも、

5曲にクレジットしており、

新人にしては大貢献です。

それに引き換え、

我らがデイヴは出番なしです。
(弾いてるけど)

国内盤ボーナスディスク

しかし、ご安心ください(?)。

私が持っている国内盤には、

三曲入りのボーナスディスクが付属しており、

その中にデイヴ曲が含まれます。

Justice of the Peace (Harris,Murray)
I Live My Way (Harris,Bayley,Gers)
Judgement Day (Bayley,Gers)

本作のために用意された楽曲は、

元々は、これら三曲を含めた、

14曲だったようです。

しかし、結果的に未収録となりました。

メイデンにとってこのようなことは、

当時かなり珍しかったようです。

なぜ本編から外されたのでしょうか・・・。

収録時間

本作の注目すべき点は、

収録曲の時間です。

11分:1曲
8分  :1曲
7分  :1曲
6分  :2曲
5分  :5曲

となっています。

3分台・4分台の曲が皆無です。

このあたりが、この作品の評価にも、

影響を与えているように感じます。

アルバムジャケット

アルバムジャケットは、

ダークな作風にピッタリの、

立体造形エディーです。

まるでH・R・ギーガーのようで、

ELPを思い出します。

メンバーのジャケ写も、

なにか陰鬱な雰囲気漂います。

当時スティーヴは、

家庭の問題を抱えていたり、

色々な要素が重なった結果のようです。

それでは、全曲レビューです。

全曲レビュー

国内盤本編

#1 サイン・オブ・ザ・クロス/Sign Of The Cross(Harris)[11:17]

いきなり一曲目から、

本アルバムのハイライトです。

荘厳なコーラスに続き、

語りのようなブレイズの歌唱に入ります。

そのあとの展開が、長い。

盛り上がるまで、溜めに溜めます。

シンセサイザーの使い方や、

ギターのエフェクトなど、

世界観の構築に、相当手が込んでいます。

このアルバムの音質面での最大の特徴は、

ギターの音がかなり抑えられていることと、

ドラムの音が大きすぎることでしょう。

個人的には、この曲の展開や構成、

メロディなど、とても気に入っています。

前作の『Fear of the Dark』路線を、

更に進めたように感じられます。

私はこの曲を聴くと、

ゲーム『悪魔城ドラキュラ』のメロディが、

勝手に思い出されます。

1:02くらいから聴いてください。

ネオクラシカルゴシックメタル(?)みたいでしょう??

それはともかく、ブレイズの歌唱は、

ブルースとの比較になると厳しいですが、

本作の雰囲気にはハマっていると思います。

#2 ロード・オブ・ザ・フライズ/Lord Of The Flies(Harris,Gers)[5:03]

シングルカットもされた二曲目です。

スティーヴとヤニックの共作ですが、

ヤニック作曲であろうギターリフが、

とても格好良いです。

サビのメロディも良く、

個人的にお気に入りですが、

これはやはり売れないでしょう。

各楽器の音量のアンバランスさや、

ブレイズの歌唱力の低さが露呈しています。

ブルースが歌うライブ版を聴くと、

完全に彼の曲に仕上がっていて驚きます。

比喩的な歌詞ですが、相当ネガティヴですね。

#3 マン・オン・ジ・エッジ – Man On the Edge(Harris)[4:13]

こちらもシングルカットの三曲目です。

本作でほぼ唯一の疾走曲です。

ブレイズとヤニックの曲ですが、

この二人でも驚くほどメイデンしています。

しかし個人的には、

このアルバムの中では一番退屈な曲です。

また、曲順もよろしくないと思います。

これが三曲目ですが、

このあとのラスト11曲目まで、

ダーク・ダウナーな長尺曲だけの構成です。

この三曲目だけ完全に浮いています。

#4 フォーチュンズ・オブ・ウォー/Fortunes Of War(Harris)[7:23]

スティーヴ単独曲です。

すでに書きましたが、

ここから11曲目まで、

8曲連続で陰鬱・長尺曲が続きます。

構成が全て似通っており、

ギターのアルペジオで暗く始まり、
途中からディストーションサウンドに入り、
長めの中間パートがあって、
サビからギターソロに入ります。

全てこんな感じです。

戦争テーマの曲ですが、

前作の『Afraid To Shoot Strangers』

通じるものがあります。

#5 ルック・フォー・ザ・トゥルース/Look For The Truth(Harris,Gers,Bayley)[5:10]

スティーヴ・ヤニック・ブレイズ、

三人の共作です。

陰鬱・長尺曲の二曲目です。

冒頭のアルペジオの繊細な響きは、

聴き込まないと良さがわからないでしょう。

途中から、アンバランスな音量のドラムで、

ディストーションパートに入ります。

コーラスが印象的な曲で、

ライブで客も盛り上がったはずです。
(やっていればの話ですが)

#6 ジ・アフターマス/The Aftermath(Harris,Bayley)[6:20]

スティーヴとブレイズの共作です。

これまたギターのアルペジオから始まります。

パッと一瞬聴いただけでは、

ここまでの三曲なんかは、

それぞれ区別がつかない人も、

多いのではないでしょうか。

これも戦争テーマで、

かなり重たい歌詞ですね。

#7 ジャッジメント・オブ・ヘヴン/Judgement Of Heaven(Harris) [5:12]

スティーヴ単独の曲です。

比較的速めの楽曲です。

この曲のサビは、

ここ数曲よりもキャッチーで、

リフもギターソロも格好良いです。

この前の数曲で退屈していても、

この曲でハッとする人も、

多いのではないでしょうか。

歌詞は、これまでの自分の人生を、

複雑な心境で振り返るもので、

スティーヴのプライベートの環境を、

思わずにはいられません。

#8 ブラッド・オン・ザ・ワールズ・ハンズ/Blood On The World’s Hands(Harris)[5:57]

またまたスティーヴ曲ですが、

やはりアルペジオで始まります。

このアルバムを作っているときに、

メンバーは何も思わなかったのでしょうか。

「どれも似たり寄ったりだぞ」と。

展開が4・5・6曲目あたりとほぼ同じです。

サビは結構印象的なのですが、

ブレイズの歌唱がやや浮いて聴こえます。

比較的ギターソロが長めで、

ソロ後の展開なんかも、

とても良いメロディがあります。

しかし、さすがにこれだけ続くと、

普通の人が集中して聴くのは、

しんどいのではないでしょつか。

#9 ジ・エッジ・オブ・ダークネス/The Edge Of Darkness(Harris,Gers,Bayley)[6:39]

スティーヴ・ヤニック・ブレイズ、

三人の共作です。

SEから曲が始まり、

おっ、ようやく変えてきたな、

と思う間もなくアルペジオです。

冒頭、かなり抑えて歌いますが、

ボーカルレンジの狭さが露呈しており、

「もしこれをブルースが歌うとどうかな?」

などと想像してしまいます。

途中から風変わりなリフで、盛り上げます。

ヤニックのセンスっぽい気がしますね。

ギターソロは格好良く、

細部までよく練られている印象です。

#10 2AM/2 A.M.(Harris,Gers,Bayley)[5:37]

これまた同じ三人の共作です。

ブレイズが彼自身へ向けた、

メッセージソングのようでもあり、

ブレイズのソロでも演奏していました。
(最近のブレイズの変わりようといったら…)

展開に関しては、

他と大きく変わらないので、

もう説明しません。

ギターソロもシンプルながら、

味があり、とても良いです。

サビのメロディ及び歌詞は、

他の曲よりもブレイズにハマっています。

一曲だけ取り出して聴いても、

この曲は好きになれる人も、

多いのではないでしょうか。

#11 ジ・アンビリーヴァー – The Unbeliever(Harris,Gers)[8:10]

ラストは8分の大作で、

スティーヴとヤニックの共作です。

ややラウドなイントロかと思ったあとに、

ギターとベースのユニゾンに合わせて、

ドラムのチンドン屋のようなアレンジで、

膝から崩れ落ちそうになります。

この曲はラストだけあって、

アレンジは相当こだわっています。

途中のベースソロでは、

スティーヴの最高のプレイが聴けます。

こんな格好良いベースラインは、

世界中探しても、彼だけでしょう。

この曲の歌詞もかなり内省的で、

アルバム最後の最後まで、

暗いまま終わりました。

ここまでで、本編は終了です。

国内盤ボーナスディスク

国内盤ボーナスの三曲をレビューします。

IRON MAIDEN X ファクター 写真 2 ブログ用

Bonus Disc #1 ジャスティス・オブ・ザ・ピース/Justice Of The Peace(Murray,Harris)[3:34]

来ました。

我らがデイヴ、唯一のクレジット曲です。

『Man on the Edge』に近いような、

ロックンロールっぽいナンバーです。

ブレイズの歌唱もハマっています。

ボーナス曲であっても、

音質は、本編収録曲と遜色ないです。

『Fear of the Dark』には、

後半、没個性な曲がありましたが、

それらの曲と比べても、

悪くない仕上がりです。

Bonus Disc #2 アイ・リヴ・マイ・ウェイ/I Live My Way(Harris,Bayley,Gers)[3:48]

スティーヴ・ヤニック・ブレイズの共作です。

これも割とロックっぽいナンバーで、

ノリが良いです。

しかし本編の曲と比較すると、

やや作り込みに欠ける気がします。

但し、前曲同様に、

ブレイズにはハマっているように思います。

Bonus Disc #3 ジャッジメント・デイ/Judgement Day(Bayley,Gers)[4:02]

これまた、三曲目も速い曲です。

リフが次作収録の『Futureal』のようです。

ギターソロを弾きまくっていますが、

かなりインプロっぽいですね。

これはボーナス扱いで妥当でしょう。

これでボーナス三曲が終了です。

結果的に外れた三曲ですが、

やはりアルバムの流れからして、

本編収録は難しかったと思います。

採点 / オススメ名曲ランキング

『The X Factor(X ファクター)』 /99点
トトオのオススメ名曲ランキング
トトオの
オススメ名曲
ランキング

1位『Sign Of The Cross』
2位『Lord Of The Flies』
3位『2 A.M.』
4位『Judgement Of Heaven』

総括

普通の人なら70点台

このアルバムに点数をつけるのは、

正直な所、とても難しいです。

ケチのつけようなら、

なんぼでもある作品です。

世間的には厳しい評価なのも、

よく理解できます。

一般の人の評価だと、

70点台かもしれません。

しかし、メイデンの作品の中でも、

私はこの作品を突出して聴き込んでおり、

軽く1,000回は超えていると思うので、

日本一、下手したら世界一、

本作を聴いているかもしれません。

一曲一曲取り出して評価するべきではなく、

アルバム全体で見たほうが、

その素晴らしさが伝わりやすいと思います。

少なくも20年以上、

飽きずに聴き続けられるような、

不思議な魅力のある一枚です。

これまでのメイデンが作り上げた、

数々の名作と比較するのは無意味で、

また全く別の文脈で、

語られるべきだと思います。

過去最高の趣味性の高さ

前作までで、ある種ヘヴィメタルの

教科書を作り上げたような、

天才スティーヴ・ハリスが、

新たに挑んだ新境地が、

この作品だったと思います。

ブルースが抜けたことで、

挑戦せざるを得なかったわけですが、

これまでとは違った作品が、

出来あがりました。

過去最高に趣味性が高く、

別世界に引き込まれる密度の濃さです。

旧来のメイデンファンや、

いわゆるメタラーには、

あまり魅力的に映らないと思います。

ゴシック系ロックが好きな人や、

アンビエントテクノが好きな人、

シューゲイザーが好きな人など、

アルバムの世界観や雰囲気を重視する人に、

聴いてもらいたいです。

一人静かに向き合うべき

点数は99点ですが、

既述の通り、

『Man on the Edge』が、

あの順番で入っていることで、

序盤の流れが悪いので、

満点にはしませんでした。

あの曲は本編よりも、

ボーナスに入れたほうが自然でした。

この作品は夜のイメージが強い作品です。

静かな夜に、

良いステレオでじっくり聴くと、

また違った一面が、

発見できると思います。

終わりに

私が一般のリスナーで、

ある種客観的な感じで点をつけたら、

やはり70点台あたりで、

無難に終わらせたかもしれません。

しかし私にとって、

この作品はやはり特別であり、

他に代わりがないものでした。

もしこのレビューを機に、

世間的に評価が低いという理由で、

この作品を避けていた人に、

興味を持ってもらえたらと嬉しいです。
(日本以外では新しいファンを中心に、
 この作品は評価が高いようです)

次作は、早くもブレイズの最終作です。

【おまけコラム/メイデンと私⑩】仲間

突然客電が落ちたと思った瞬間、

後ろから人塊の波が押し寄せて、

もみくちゃに。

窒息しそうになった瞬間、

ステージから発せられる爆音。

目前5-6mくらいの距離に、

メンバーがいました。

一瞬何の曲かわかりませんでしたが、

数秒してそれが、新作の一曲目、

『Futureal』であることが認識できました。

周りに合わせて無我夢中で、

縦ノリに合わせます。

高校時代、

来る日も来る日も聴いたメイデン。

周りを見ると、

本当にみんな嬉しそうに、

曲に合わせて飛び跳ねています。

この時、初めて気づきました。

そうや、俺ずっと一人で聴いてたな。

誰ともメイデンの話なんかで、

盛り上がったことなかったな。

こんなに好きな人おったんや・・・。

めっちゃええやつらやんか、みんな・・・。

知らんけど。

息つく暇もなく、

立て続けに新作からの曲が、

演奏されていきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました