トトオです。
今回のオールタイムベストは、ピクシーズの『ドリトル』です。
前回の記事はこちら。
今回の記事のポイントはこちらです。
ポイント
史上最高にクールなオルタナ名盤
結論
先に結論です
では、レビュー行きましょう。
ニルヴァーナとピクシーズ
ニルヴァーナ ギリ体験世代
今私は四十代ですが、ニルヴァーナをリアルタイムに体験したギリギリ最後の世代でしょう。
カートがなくなったのが94年なので、だいたい私の世代だと中学から高校くらいの時まで、彼らは活動していたことになります。
私は高校時代すでにメタラーでしたが、『ネヴァーマインド』は同級生に借りて聴きました。
ただし、その時すでにカートは亡くなっていましたし、Burrn!で見る名前ではなかったので、それほどハマることはありませんでした。
「その筋」の先輩
その後、十代後半でオルタナにどハマりした時に、ようやくニルヴァーナに目覚めました。
当時バンドをやっていたので、初心者がコピーしても格好良いバンドの代表格でした。
そのニルヴァーナが影響を受けたバンドの一つに、ピクシーズがありました。
数あるピクシーズの名盤でも、個人的に最高傑作だと思うのが、今回紹介する『ドリトル』です。
Pixies『Doolittle』(1989)
元祖的キャッチーなメロディ
ニルヴァーナの先輩格にあたるという意味で、アメリカオルタナの元祖的な存在のピクシーズですが、彼らの最大の魅力はキャッチーなそのメロディです。
ツインギターにベース(女性)とドラムという四人バンドの定番的な構成で、音数が少ないにも関わらず、圧倒的なインパクトを持つメロディーの楽曲ばかりです。
過剰なテクニックや装飾に頼ることなく、シンプルなメロディとアレンジの力だけで、凡百のバンドとは次元の異なるクオリティです。
レコードよりもライブ音源で聴いた方が、いかに天才的な発想で彼らが曲を作り上げているかが、よくわかります。
これとか、ほんと信じられないくらい凄まじいです。
本作で圧巻なのが中盤以降の楽曲で、アバンギャルドな要素の数々を、キャッチーなロックに閉じ込めています。
意味不明でも伝わる絶叫
英語詞のため日本人にはそのまま伝わりにくいですが、歌詞も強烈です。
訳を読んでも意味がわからないものが多いですが、歌と曲が絶妙にシンクロします。
(シュールレアリズムの影響大らしい)
また、特筆すべきはブラック・フランシスのボーカルで、上手い下手を超えた、強烈な個性です。
囁き声から絶叫にスイッチが入った瞬間は、鳥肌ものです。
ライブでのボーカルパフォーマンスも最高にパンクで、オルタナバンドはやはり生演奏でこそ真価を発揮します。
オルタナアイディアの宝庫
ニルヴァーナも公言していますが、ピクシーズの楽曲アレンジは、その後のオルタナバンドに多大な影響を与えました。
ちなみにこのライブはいわゆる『UK Surf』バージョンで、これがまた格好良い。
シンプル且つDIY的な発想に重きを置き、少人数のバンド演奏でクールに聴こえるアレンジを徹底しています。
楽器のアンサンブルを上手く工夫することで、ダイナミックな展開にしたり、ディストーションサウンドとナチュラルトーンのスイッチングで曲をブーストさせたり、後続バンドの元ネタのオンパレードです。
どこかのコメントに、「ザ・スミスとグランジの橋渡し」とありましたが、これはかなり言い得て妙です。
最高にクールなそのルックス
ピクシーズの魅力の一つは、そのルックスです。
実のところ、どう考えても格好良いというタイプではありません(失礼)。
服装も学生の普段着のようで、飾りっ気が皆無です。
メンバー全員、パッとしない外見(失礼)ですが、特にフロントマンのフランシスが強烈です。
小太り(というか太っている)且つ、やや薄毛(当時)の風貌に、Tシャツとジーパンのスタイルは、アジア人が憧れを抱く、いわゆる格好良い欧米人イメージを大きく裏切ります。
バンドは人気商売であるため、音楽だけではなくビジュアル面も重要なはずですが、全く気にする素振りがありません。
彼らのこの飾り気なしのスタイルそのものが、まさにメインストリームに対するアンチテーゼと言えるでしょう。
そんな彼らの音楽が、同時代で正しく評価され、数多くのフォロワーが生まれ、本作は伝説の名盤として、いまだに孤高の扱いです。
このあたり、やはり日本の市場と欧米の市場のレベルの差を感じずにはいられません。
トトオのオススメ名曲ランキング
オススメ
ランキング
1位『Debaser』
2位『Here Comes Your Man』
3位『Wave of Mutilation』
終わりに
ピクシーズは再結成されたあとも作品を複数発表していますが、やはり解散前の作品ばかり聴いてしまいます。
今回紹介した『ドリトル』とほぼ同点の名盤が、デビュー作の『サーファー・ローザ』です。
いずれそちらも紹介したいと思います。
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