トトオです。
今回の「好きなんなんなん」は、ガンマ・レイの『サムホエア・アウト・イン・スペース』です。
前回の記事はこちら。
今回の記事のポイントはこちらです。
ポイント
天才は常に求められる
結論
先に結論です。
では、レビュー行きましょう。
伊藤か、和田か
「ザ・業界人」 Masa-Ito
私は高校生の時にメタラーになりました。当時はBurrn!が一番の楽しみで、レビューを参考に新作を買いました。
B!には有名なライターがたくさん所属していて、やはり伊藤政則がその筆頭でした。
洋楽でメタルを聴く人間で、Masa-Itoの名前を知らない人はいないでしょう。
サングラスで長髪の出立ちは、業界人っぽさが漂っていて強烈なインパクトでした。
ある日、夜中にテレビの音楽番組で彼を見かけました。
しかしよく見ると、Masa-Itoではなく、キャプテン和田と名乗っています。
『ロック・ザ・ルーツ』という番組でした。
ジャーマンメタルは俺に任せろ
キャプテン和田こと、和田誠。
B!のレビュアーではありませんが、CDのライナーで良く見かけた名前でした。
彼のリコメンドはMasa-Itoに近いものを感じましたが、よりメロディック、且つ、様式美のものが多いようでした。
今回紹介するのは、キャプテン和田もおすすめだった、当時のガンマ・レイの最新作、『Somewhere Out in Space』です。
Gamma Ray『Somewhere Out in Space』(1997)
「運動会」メタル
ガンマレイ通算5作目のフルアルバムです。
当時本作を聴いた私の感想は、「なんか運動会みたいやな」でした。
パワフルな疾走曲が中心で、メロディもわかりやすく、運動会の徒競走で流れても違和感がないほどです(誇張)。
オープニングの『Beyond the Black Hole』と、タイトル曲の『Somewhere Out in Space』が強烈で、16分で高速で刻みまくります。
特に前作からメンバーとなったドラムのダン・ツィマーマン のパフォーマンスは凄まじく、最大の聴きどころです。(顔が香取慎吾に似ていると思っていました)
ドラムの音がでかすぎて、全体的にややバランスを崩しているところが格好良く、スラッシュメタルのようなエッジが効いています。
次作『Power Plant』も同方向の作品ですが、音のバランスがより整っていて、結果的にこじんまりしているように感じられたのは、残念でした。
悪くないカイのボーカル
当時のB!のレビューは、カイ・ハンセンのボーカルに批判が集中していた記憶があります。
前作ですでにラルフ・シーパーズからカイにボーカルは変わっていましたが、歌唱力で比較されるのは仕方のないところです。
ハロウィン時代もマイケル・キスクと比較されて渋いことを言われていましたが、個人的にはカイのボーカルはラルフのボーカルより好きです。
確かにハイトーンや声量、テクニックはラルフが上です。
しかし、「ボーカルはバンドの顔」という意味において、個性的なのはカイだと思います。
カイはその後ボーカルの技量を格段に上げていますが、本作くらいのヘタウマ(?)ボーカル時代が一番好きです。
天才に期待されるもの
天才は辛いよ
B!のレビューでは、カイのボーカル以外にも批判されている点がありました。
それは、「前作と変わり映えしない」、つまりマンネリである、という指摘です。
正直なところ、このB!の指摘は正しいです。
カイはジャーマンメタルの始祖であり、過去の楽曲を見ても、間違いなく天才です。
だからこそ、安牌的な、前作の続編的な作品ではなく、革新的な作品を期待してしまう、というところでしょう。
但し、そもそもメタルバンドは、メタルというカテゴリーで、メタル好きに向けたニッチな商売を行っているため、どのバンドもマンネリになるの仕方がないと言えます。
ハロウィンという特殊事例
その「メタル」というカテゴリーでどれだけチャレンジできるかという点ですが、メタルから離れすぎると、それはそれで既存客から叩かれます。
死ぬほど格好良いですけどね、これとか。
メタルにおける、こういう微妙な条件の中で、奇跡的に成功しているバンドは、ハロウィンでしょう。
ハロウィンの凄いところは、「メンバーを入れ替えながら、新しい要素も取り入れつつ、ハロウィンらしい楽曲も残している」点です。
最近の楽曲も、絶妙なんですよね。
「脳みそゼロ」で楽しめる
ガンマ・レイの本作に関して、彼らの過去のカタログと比較されるのは仕方のないことですが、この作品を純粋に楽しめないのは違うような気がします。
とにかく、誰が聴いても楽しくノれるメタル、気張らずに楽しめるメタル、その点において、本作は文句なしのクオリティと言えるでしょう。
一点だけ気になる点があるとすれば、曲数が多すぎるくらいです。
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オススメ
ランキング
1位『Valley of the Kings』
2位『Beyond the Black Hole』
3位『Somewhere Out in Space』
終わりに
当時のB!で、喜国雅彦は連載漫画で、本作のジャケット絵を酷評していました。
特に指摘されるまで気にならなかったのですが、確かに粗が目立つイラストで、メイデンあたりと比較すると雲泥の差ですね。
次作はCGで綺麗にはなったのですが、やや味気なく感じてしまいます。
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