トトオです。
今回の『好きなんなんなん』は、岡村靖幸の『禁じられた生きがい』です。
前回の記事はこちら。
今回の記事のポイントはこちらです。
ポイント
寄せ集めと言うなかれ!
結論
先に結論です。
では、行きましょう。
岡村ちゃんに撃たれて眠りたい
世代的岡村ちゃん論
私は現在アラフォーですが、私が岡村ちゃんを聴き始めた2000年前後、彼はソロ活動を停止していました。
私の世代的には、彼よりも彼がプロデュースした川本真琴の方が当時有名で、プロデュースした当の本人の知名度はそれほど高くなかったです。
ちなみに、岡村ちゃんと関係の深い吉川晃司ですが、私の世代では『Cloudy Heart』あたりが直撃で、比較的好きな人は多かったです。
このオープニングは痺れましたねえ・・・。
名盤カタログの定番
では、私がなぜ岡村ちゃんを知ったのかと言うと、名盤カタログ的なムック本で『家庭教師』が紹介されていたからです。
聴いてビックリのウルトラ名盤でしたので、すぐにハマりました。
『家庭教師』は完全無欠の名盤ですが、それと同じくらいよく聴いたのが、次作の『禁じられた生きがい』です。
岡村靖幸『禁じられた生きがい』(1995)
岡村ちゃんは時代を知る術
前作『家庭教師』は90年発表ですが、本作は95年の発表となり、五年もブランクがあります。
諸々の事情があったようですが、作詞の面について彼が苦しんだというのは有名な話です。
彼の詞は、その時代のカルチャーに深く根差していて、時代を読み取るそのセンスは圧倒的に天才です。
90年の『家庭教師』発表当時は、バブル景気真っ只中、そして岡村ちゃんも20代半ばと、まだまだ青年と呼べるような年齢でした。
そんな状況だからこそ、あのような圧倒的な世界観を紡ぎ出せる、自信と勢いがあったはずです。
(但し、すでに影の部分も表現はしていた)
前作の90年から本作の95年、この90年代前半の日本はまさに激動でした。
バブルが崩壊し、震災やテロが発生し、そのような世相が、若者文化にも深刻な影響を与えました。
本作の歌詞には、そのような90年代前半の日本の状況がダイレクトに映し出されています。
(『青年14歳』を入れたかったのですが、見つからず)
岡村ちゃんの年齢も30代に差し掛かろうとしており、自身の精神面でも大きな変化があったはずです。
そういった点を考慮して、シングルカット『チャームポイント』を聴くと、とても感慨深いです。
この曲は彼自身を含む、悩める同時代の若者に向けたエールのように感じます。
『Peach X’mas』の違和感
90年の『家庭教師』で描かれた岡村ちゃんの世界観を、95年にそのまま再現することもできたかもしれません。
しかしその場合、同時代のリスナーには、やはり刺さらなかったのではないでしょうか。
本作では、『Peach X’mas』という楽曲が収録されていますが、明らかにこの一曲だけ浮いています。
理由ははっきりしていて、この楽曲は五年ほど前に作曲されたアルバム未収録曲であったためです。
この楽曲を本作に収録したところからも、本作の生みの苦悩が感じられます。
歌唱法の「変化」とその後
『Peach X’mas』だけを見ても、本作は統一感で過去作に一歩譲ります。
しかし、個々楽曲のクオリティを見ていくと、明らかな進歩があります。
前作よりミクスチャー感は増しており、ファンキーでありながらもポップ、そしてダンザブルなビートはより濃厚です。
この曲は、歌詞・曲・アレンジ、すべて本当にぶっ飛んでいます。
また、声質の変化も注目すべき点で、『家庭教師』の頃よりも太くパワフルになっています。
ボーカルだけ見ると、『家庭教師』以前・『禁じられた生きがい』以降とキャリアを分けることが出来るほどの変化です。
この時期に歌唱法を変えた(変えざるを得なかった?)ことが、結果的に長期的なキャリア形成に寄与したのかもしれません。
トトオのオススメ名曲ランキング
オススメ
ランキング
1位『クロロフィル・ラブ』
2位『チャームポイント』
3位『青年14歳』
終わりに
本作から八年後、2003年の石野卓球とのコラボ作品では度肝を抜かれました。
その数年後、まさかの再始動で『Me-imi』を発表し、その後も佳作ながら継続的に活動する姿を見ていると、若い時の苦労がここにきて実ったかのような印象があります。
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