トトオです。
今回の「割とレアなアレ」、PIGの『スワイニング』です。
前回の記事はこちら。
今回の記事のポイントはこちらです。

ポイント
単なる同姓同名でしょうか?
結論
先に結論です。
では、いきましょう。
テクノはアルファ、メタルはトイズ
いわゆるレーベル買い
ネットがない時代は、基本的に音源を買って聴いてみないと中身がわからない、というのが当たり前でした。
その状況でハズレを避ける一つの手段が、レーベル買いでした。
レーベル買い、つまり、アーティストではなく、所属しているレコード会社を判断基準として、作品を買うことです。
私は、メタルとテクノに関しては、この基準で音源を買うことが度々ありました。
信頼と実績の「アルファ」
YMOやソフトバレエなど、日本のエレクトロ系グループの老舗レーベルに、アルファレコード(すでに撤退)がありました。
当時私はこのレーベルに格好良さを感じていて、その作品のクオリティも信頼していました。
20数年前、アルファから出ているという理由だけで購入した作品が、今回紹介するPIGの『The Swining』です。
PIG『The Swining』(1993)
(結果的に)日本限定発売
PIGはレイモンド・ワッツのソロプロジェクトですが、本作は三作目に当たります。
なんと本作は、当時日本向けのみの発売となっていました。
(イギリスやヨーロッパでは契約できなかったらしい)
フルアルバムで日本のみの発売は、かなり珍しいケースではないでしょうか。
アルファから発表されているという点も、レア感を増しています。
ちなみにその数年後、アメリカでリイシューされました。
(但し、ジャケ変・改編済み)
インダストリアル「ポップ」メタル
本作はいわゆる「インダストリアルメタル」にカテゴライズされますが、注目すべきはそのポップさです。
インダストリアル系のバンドは、ハードコアスタイルでゴリゴリ押しまくるタイプも多いのですが、本作はポップ且つキャッチーな楽曲をベースに、「仕上げ」のみ仰々しくインダストリアルメタルを施しています。
このバランスが絶妙で、とっつきやすくも奥行きがあるアレンジは、幅広く受け入れられる間口の広さです。
前作の『Praise the Lard』は、よりハードで、ある種てんこ盛り的な作品だったため、この方向転換はかなり意識的に行われています。
(売れ線を考えた模様)
ちなみに、前作は前作で格好良くて、この曲なんかはスレイヤーをサンプリングしてたりして、かなり攻めてます。
話を戻して、本作は初期のナイン・インチ・ネイルズなんかが好きな人には、確実にオススメできます。
英独ゴシックフュージョン
もう一つの特徴が、本作全体に漂うゴシックな香りです。
ボーカルの歌唱法によるところが大きいのですが、どこかドイツ人の発声による英語のように聴こえます。
PIGの中身(?)であるレイモンド・ワッツは英国人ですが、ドイツに拠点を移していたというのが理由でしょう。
アルバムジャケット(オリジナル盤)も含めて、イギリスとドイツのフュージョン的な雰囲気も、本作のポイントです。
この雰囲気が好きな人は、レイモンドがボーカル参加しているKMFDMの『Nihil』もオススメです。
気になる二人のギタリスト
本作には多数のアーティストが参加しています。
注目がギターで、クレジットにカール・ハイドの名前があります。
「まさかあのカール・ハイド?」というところですが、トレヴァー・ホーンがプロデュースしたグループ、プロパガンダのツアーギタリストのようです。
(あのカール・ハイド本人かどうかは未確認)
ちなみに、あのカール・ハイドの曲だと、これが好きです。
また、KMFDMのスティーブ・ホワイトもギター参加ですが、こちらは関係性を考えるとしっくりきます。
前作よりも引き締まったアレンジにも関わらず、参加メンバーが増加しているところは興味深いです。
この曲のような洗練されたアレンジを聴くと、外部ミュージシャンの血を入れることで、一段作品のステージが上がったように感じます。
トトオのオススメランキング

オススメ
ランキング
1位『The Fountain of Miracles』
2位『Symphony for the Devil』
3位『Black Mambo』
終わりに
PIGは90年代までしか追いかけていませんが、2020年代まで地道に活動しています。
(Spotifyでほぼ聴けます)
ジャンル的には、やはりNINやマリリン・マンソン、ラムシュタインなどが目立つところではありますが、彼のような渋いベテラン勢も、もっと注目されても良いはずです。
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