【ARTIST INDEX】アーティスト名記事検索はコチラ
スポンサーリンク

【等身大のカート・コバーン】Nirvana『Incesticide』/なぜか好きなアルバムなんなん⑩

ニルヴァーナ インセスティサイド 写真 ブログ用 好きなんなんなん

トトオです。

今回の「好きなんなん」は、ニルヴァーナ『インセスティサイド』です。

前回の記事はこちらです。

この記事のポイントはこちらです。

トトオ
この記事の
ポイント

ニルヴァーナの本質とは

「最高傑作はどれか?」論争

ニルヴァーナは、人気の割には作品数が少ないバンドです。
(理由はご存知の通り)

フルアルバムはわずか三枚で、

Bleach
Nevermind
In Utero

のみです。

ニルヴァーナの最高傑作は、『ネバーマインド』『イン・ユーテロ』のどちらかとされることが多いです。

 

最高傑作に関する私の意見は、ここでは述べません。

しかし、見逃されがちな名盤が、『ネバーマインド』と『イン・ユーテロ』の間に発表されたEP『インセスティサイド』です。

Nirvana『Incesticide』(1992)

トトオ
トトオ

本作の特徴3つ!

バンドの本質がわかる企画盤
まさに「サブポップ」な楽曲
ブッチとデイヴが変えたもの

バンドの本質がわかる企画盤

最高傑作の間の作品

ニルヴァーナの最高傑作で票が割れるのは、『ネバーマインド』と『イン・ユーテロ』の作風が、あまりにも異なるからでしょう。

『ネバーマインド』は、前作の『ブリーチ』と比較すると、別バンドのようなクオリティアップを果たしました。

『イン・ユーテロ』は、楽曲は前作『ネバーマインド』の延長線上にありますが、究極にラフな音作りです。

また、元々ニルヴァーナにあった「ニヒルでもどこかファニー」なムードが、雲散霧消しています。

今回紹介する『インセスティサイド』は、『ネバーマインド』期の楽曲の単なる寄せ集めです。

しかし、ニルヴァーナというバンドの、等身大の姿がわかる好盤になっています。

リスペクト伝わるカバー曲

特徴的なのが、三曲収録されたカバーです。

彼らは自分たちが好きなバンドを強くリスペクトし、その先達のスタイルを模倣しました。

本作のカバー曲は、極力シンプルなアレンジで、元々の楽曲の良さにフォーカスした仕上がりです。

また、選曲はマニアックなものが多く、自分達のリスナーに広げたいという意図が見えます。

これらのことから、彼らが本当に自分達の好きな音楽を大切にしていたことが、痛いほどよくわかります。

残念ながら、この数年後にバンドはなくなります。

急激に成功し過ぎてしまったため、自分達の初心とのギャップに苦しんだのかもしれません。

まさに「サブ・ポップ」な楽曲

本作には、アルバム未収録のオリジナル曲も多数収録されています。

中でも『Aneurysm』は、ニルヴァーナの全楽曲中でも、トップの格好良さです。

「トリオ編成でいかに格好良く仕上げるか」という、彼らのアレンジには舌を巻きます。

激しい展開にも埋もれないキャッチーなメロディーは、やはり天才的です。

『Hairspray Queen』『Aero Zeppelin』は、彼らの遊び心が伝わる初期の楽曲です。

荒削りながらも、色々なアイディアを盛り込んで、ポップな歌で仕上げるスタイルは完成されています。

『Been a Son』はオリジナルですが、カバー曲と酷似しています。

シンプルでも病みつきになるキャッチーなサビが、耳を離れません。

どの曲にも共通しているのは、楽曲のポップさです。

彼らはSUB POPというレーベルからデビューしましたが、まさに名は体を表していたわけです。

ブッチとデイヴが変えたもの

本作には、88年から91年に録音された楽曲が収録されています。

ここで注目したいのが、ブッチ・ヴィグがプロデュースした楽曲と、デイヴ・グロール加入後の楽曲です。

ブッチ・ヴィグ プロデュース

Dive

ブッチがプロデュースしたのは、本作ではこの一曲のみです。
(ドラムはチャド・チャニング

ブッチは『ネバーマインド』のプロデューサーであり、同作を究極にポップに仕上げた才人です。

この曲における、キャッチーなボーカルや、シンプルで迫力のあるサウンド作りはさすがです。

しかし、インディー臭は多分に残されています。

もし『ネバーマインド』に収録されていたら、違和感があったでしょう。

デイヴ・グロール 加入後

Been a Son
Turnaround
Molly’s Lips
Son of a Gun
(New Wave) Polly
Aneurysm

これらは、すべてドラムがデイヴ・グロールになってからの収録です。

どれもラジオ向けのセッションで、プロデューサーはブッチではありません。

前任のチャドと比較して、デイヴのシャープなドラムプレイは圧倒的です。

しかし、どれもラフな音質で、『ネバーマインド』のような、整合性の高い作りとは一線を画します。

ここからわかることは、

デイヴがドラムを叩き
ブッチがプロデュースした

この二つの条件が両方揃うことで初めて、『ネバーマインド』はあの作品になったということです。

もし、デイヴとブッチのどちらかが欠けていたら、どのようになっていたでしょうか?

私の想像では、アメリカオルタナの中堅バンドとして、ニルヴァーナは今でも活動していたと思います。

終わりに

ニルヴァーナは、あまりにも取り巻く情報が多すぎて、その音楽だけを楽しむことが難しい面があります。

好きな音楽をただ自分達でやりたい、そんな気持ちが伝わる本作は、彼らの本質を最も端的に表しているように感じます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました