トトオです。
今回のオールタイムベストは、相対性理論の『シンクロニシティーン』です。
前回の記事はこちらです。
この記事のポイントはこちらです。
ゼロ年代発!圧倒的なセンスと才能
スタジオボイスと相対性理論
伝説のカルチャー誌 スタジオ・ボイス
かつて、スタジオ・ボイスという雑誌がありました。
いわゆるカルチャー誌というやつで、様々なジャンルの最先端を紹介する雑誌でした。
私はこの雑誌が大好きで、何年も購読していたのですが、ある時珍しくCDが付属されていました。
このCDの音源と共に特集が組まれたのが、相対性理論でした。
CDショップ大賞とジッタリン・ジン
相対性理論は、2006年に結成されました。
翌年の2007年に発表された、彼らのデビュー作である『シフォン主義』が、第一回CDショップ大賞を受賞しています。
この作品を初めて聴いた時、私はこう思いました。
「これは、ゼロ年代のジッタリン・ジンや・・・」と。
『エヴリデイ』を貼りたかったのですが、見つからず。
ジッタリン・ジンのタイトなバンド演奏と、センス抜群の楽曲、あの唯一無二の存在感を彷彿とさせる会心の出来でした。
今回紹介するのは、そんな彼らのサードアルバム『シンクロニシティーン』です。
相対性理論『シンクロニシティーン』(2010年)
概要
2010年に発表された、彼らのサードアルバムです。
本作の特徴3つ!
やくしまるえつこという個性
「コピー」したくなるバンドの妙技
天才の圧倒的なセンス
初期の相対性理論を支えたメンバーが、ベースの真部脩一です。
このバンドの格好良さの核は、彼の天才的な作曲センスによるものでした。
一聴するだけで、圧倒的な才能が感じられる、凄まじいクオリティの楽曲です。
もう本当に、信じられないくらい格好良いですね。
前作である『ハイファイ新書』も素晴らしい出来でした。
しかし、本作はよりバラエティに富んだ楽曲を、ロックテイストで仕上げており、更に痛快な出来です。
楽曲に乗る歌詞がまたセンス抜群で、他ではお目にかかれないユニークさです。
この曲あたりの、日本語詞の凄さは、はっぴいえんどあたりに通じるような気がします。
残念ながら、真鍋氏はその後バンドを抜けてしまいます。
やくしまるえつこという個性
このバンドを初めて聴いた人がまず注目するのは、そのボーカルでしょう。
これほどの歌詞とメロディーなら、正直なところ、誰が歌っても素晴らしい楽曲になったでしょう。
しかし、やくしまるえつこという、特徴のあるボーカルがいたことで、バンドの個性が大きくブーストされました。
(バンド名も良かった)
あまりにも個性的な声色のため、「かわいいだけ」という烙印を押されかねない危険性もありました。
しかし、実力もしっかり兼ね備えており、特に余韻を残す独特の発声は、最大の魅力と言えます。
この曲はセカンド収録ですが、只者じゃないですね。
ちなみに、数少ないライブ音源を聴くと、この作品の声質とは少し違っていて、そのあたりも印象的です。
その後の作品では、より落ち着いた声質になっていて、この辺りは好き嫌い分かれると思います。
「コピー」したくなるバンドの妙技
ボーカルや曲の存在感が圧倒的なため、そこに注目が行きがちですが、見逃せないのがバンドの演奏です。
ファーストの『シフォン主義』は、スタジオで一発録りしたかのような、ライブ感溢れる作品でした。
装飾がない分、曲と演奏の良さが更に際立ちます。
全部良いんですが、やっぱりベースがずば抜けて良いんですよね。
本作『シンクロニシティーン』は、より洗練されたバンドサウンドですが、ポップな曲はよりポップに、ロックな曲はよりロックに仕上がっています。
演奏の凄まじさも去ることながら、この歌詞を乗せるかという・・・。
構成されている音数は決して多くないにも関わらず、恐ろしく音の密度が濃いです。
打ち込みのような平坦なサウンドではなく、演者のクセまで伝わるような生々しさがクールです。
この格好良さは、ポリスあたりに通じます。
もし、こんなバンドがたくさんいたら、日本のバンド人口は押し上げられたはずです。
しかし、メンバー交代の影響もあってか、その後は路線変更しており、個人的にはやや残念です。
トトオのオススメ名曲ランキング
1位『人工衛星』
2位『ペペロンチーノ・キャンディ』
3位『小学館』
終わりに
元々彼らはライブ活動を中心にしているわけではないため、バンド自体がプロジェクト的なもののようです。
もし初期のメンバーで再び作品が発表されたら、間違いなく傑作に仕上がるでしょう。
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