トトオです。
今回は、神聖かまってちゃんの『つまんね』をレビューします。
今回の記事のポイントはこちらです。
ポイント
2010年代日本ロックのリアリティ
日本のパンクとかまってちゃん
アメリカと日本のオルタナ
オルタナティヴロックの歴史的なバンドの代表格といえば、90年代に活躍したアメリカのニルヴァーナです。
彼らはパンクをアップデートし、90年代のオルタナムーブメントを巻き起こしました。
では、ニルヴァーナのように、日本のパンクをアップデートさせたバンドは誰でしょう?
私には、神聖かまってちゃんが、思い浮かびます。
ニルヴァーナ「型」ではないけれど
ニルヴァーナ登場後、日本でもニルヴァーナのスタイルを模倣したバンドは数多く登場しました。
私は、神聖かまってちゃんが、音楽面においてニルヴァーナの亜流だとは感じません。
しかし、彼らの音楽を聴いていると、ニルヴァーナと似た「何か」を強烈に感じます。
デビュー年の奇跡
神聖かまってちゃんは、2010年にメジャーデビューしています。
まず、3月にミニアルバム『友だちを殺してまで。』を発表します。
このPVを夏に見ると、この歳になっても切ないんですよね・・・。
そして、同年12月に初のフルアルバムとして、『つまんね』と『みんな死ね』の二作を同時発売しています。
(物騒なタイトルばかりでSEOやや心配)
この三枚すべて2010年に発表されましたが、どれも強烈な作品です。
私はこの三枚のなかでも、『つまんね』には特に衝撃を受けました。
神聖かまってちゃん『つまんね』
本作の三つの特徴
本作の特徴は、下記の三点です。
名曲『夜空の虫とどこまでも』
「生々しく刺さる」歌詞
彼ら「らしさ」のベストバランス
前作EPの『友達を – 』にも、格好良い曲はたくさんありました。
かまってちゃんを未聴の人には、やはりまずこれを聴いて欲しいですね。
(『ぺんてる』なんかも凄い曲)
しかし、一枚の作品として見ると、EPということもあり、やや物足りません。
同時発売された『みんな – 』は、ローファイなサウンドが徹底されており、かなり人を選ぶ印象です。
比較して、この『つまんね』ですが、
楽曲の魅力を最大限引き出している
という点において、他二作よりもオススメです。
どんなバンドにも、マジックがかかる時期があります。
彼らにとっては、この作品がまさにそれだったように思います。
名曲『夜空の虫とどこまでも』
本作には、素晴らしい楽曲がいくつも収録されています。
中でも、『夜空の虫とどこまでも』は、驚異的な完成度です。
初のオリジナルフルアルバムで、これほどの楽曲が収録されたということに、衝撃を覚えます。
こちらは2008年バージョンで、アルバムよりさらに前のアレンジです。
エレクトロニカのような、繊細なメロディと空間の表現が素晴らしく、曲タイトルもマッチして、情景が思い浮かびます。
一時のスクエアプッシャーばりの、抜群に叙情的なメロディーです。
ライブでは定番の楽曲のようで、ファン人気も高く、近作では再録されていました。
私は彼らの曲で一曲だけ選ぶなら、間違いなくこれを選びます。
「生々しく刺さる」歌詞
90年代以降の海外オルタナのトレンドとして、
が流行りました。
この歌詞のおかげで、楽曲をよりヘヴィにできる、というところです。
しかし、このスタイルを日本語で採用するのは、かなり難しいです。
なぜなら、どうしても「嘘っぽく」なってしまうからです。
神聖かまってちゃんは、この「生々しく刺さる」歌詞を、まさに2010年代のアプローチで表現しています。
彼らがこの歌詞の面において突出しているのは、そのリアリティです。
演じているようにはとても思えない、強烈にリアルを感じさせる表現力です。
結局のところ、このリアリティが、彼らにニルヴァーナと似たものを感じる、その理由かもしれません。
オススメ
ランキング
1位『夜空の虫とどこまでも』
2位『いかれたNeet』
3位『美ちなる方へ』
終わりに
神聖かまってちゃんは、大人がハマるには、ちょっと重すぎるかもしれません。
かと言って、その過激な内容から、未成年にもちょっとオススメしにくいですが、聴くとハマってしまうでしょうね。
もし私が高校生の時に聴いていたら、影響は凄まじかっただろうと、想像します。
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