トトオです。
今回の「好きなんなんなん」は、808ステイトのアルバム『ゴージャス』です。
前回の記事はこちらです。
今回の記事のポイントはこちら。

ポイント
名は体を表す!
結論
では、本作の結論を先に述べます。
では行きましょう。
808 StateとZTTレコード
私が808 Stateを聴き始めたのは、2000年代です。とっくに彼らは過去のグループになっていました。
私は2000年代に本格的にテクノ・エレクトロニカを聴くようになったのですが、そこでどハマりしたのがトレヴァー・ホーンです。
トレヴァー・ホーンの記事はまた別に書きますが、彼が設立したZTTレコードのアーティストも好きになりました。
やはりこの辺が一番メジャーでしょうか。
色々聴き漁りましたが、その代表格の一つが808 Stateでした。
今回紹介する『Gorgeous』は、1993年に発表された、彼らの四枚目のアルバムです。
808 State『Gorgeous』 (1993)
洗練度こそ劣るものの
808 Stateの最高傑作は、『ex:el』もしくはその前の『90』が選ばれるでしょう。
非常に洗練されていて、今聴いても古臭さを感じさせません。
『ex:el』の次作に当たる本作は、商業的な成功を収められず、世間的には地味な作品の扱いです。
時流に乗らなかったという点が、本作一番の敗因だと思いますが、中身は決して悪くないです。
『90』や『ex:el』ほどは洗練されていませんが、意欲的に様々な要素を取り込んでいます。
オルタナロック色の強化
本作最大の特徴はオルタナティヴロック色の強化です。
特筆すべきは、Echo & the BunnymenのボーカルIan McCulloch参加の『Moses』です。
メランコリックな曲調とボーカルは抜群にマッチしており、そこにのるダンザブルなビートはエキセントリックです。
また、三曲目『Contrique』では、Joy Divisionの『She’s Lost Control』のベースラインを楽曲に取り入れてます。
非常に印象的なフレーズですが、完全に自分たちの曲として昇華させていて、わかる人にはわかる的なアレンジはさすがです。
80年代のオルタナはいまだに根強い人気がありますが、その延長で本作を手に取れば、80-90年代テクノの世界に自然と入り込めるのではないでしょうか。
まさに「ゴージャス」な作風
本作タイトルは『Gorgeous』ですが、名は体を表すと言わんばかりに、派手な楽曲が多い点も特徴です。
シングルカット『10 X 10』はゲストボーカルをフィーチャーしたアゲアゲな楽曲で、ややバブルな香りも感じますが、アルバムのハイライトです。
『One in Ten』はUB40の楽曲のリミックスですが、こちらも本作の目玉の一つです。
アルバムカラーにバチっとハマって、元のレゲエっぽさが消えて、これまたオルタナロック風に聴こえてきます。
本作で一番好きな楽曲は、その次の『Europa』です。
前半押しの強い楽曲が続いたあとの中盤の一曲ですが、メランコリックなボーカルときめ細やかな音色が美しい、技量を見せつけた一曲です。
この曲は『ex:el』に収録されていても違和感なかったのではないでしょうか。
「統一感のなさ」が仇に
本作が客観的に見てやや弱い点は、
でしょう。
『Europa』あたりまでは、新機軸を前に出して、強烈にアルバムカラーを打ち出していますが、後半はややまとまりにかけます。
(個別曲は格好良いのも多いのですが)
正直なところ、後半の、いわゆる本来の彼ららしい楽曲を中心に本作が構成されていれば、それはそれでまた趣の違う名盤になったと思います。
しかし、前半と後半の印象が大きく異なる影響で、アルバム全体のカラーがやや鈍く感じられる点は少々残念です。
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オススメ
ランキング
1位『Europa』
2位『Moses』
3位『10 X 10』
終わりに
808は活動時期が比較的短く、残した作品もそれほど多くないのがもったいないグループです。
貪欲に作風を変えて、幅広い層にアピールしていった結果、短命になってしまったように思える節もあります。
成功したアーティストでも、成功し続けるのはやはり一段と難しいのでしょう。
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