トトオです。
ついにメタリカの新作『72シーズンズ』が発売されました!
今回は、先日発売されたばかりの本作の「一週間聴いてみた」最速レビューになります。
以前のメタリカの記事はこちらです。
この記事のポイントはこちらです。
ポイント
賛否両論分かれるでしょう!
結論
本作を一週間聴き込んでの結論です。
では、レビューいきましょう。
まず初めに
メタリカを初めて聴く人に
まず、本作をきっかけにメタリカを聴き始める人もいらっしゃるかと思います。
もしこの作品をきっかけにメタリカに興味を持ったなら、今すぐに『Master of Puppets』(アルバム)を聴くことをオススメします。
とにかく、この作品が好きか嫌いかは置いておいて、バンドに興味を持ったのであれば、その興味が失われないうちに、『Master of Puppets』を今すぐに聴いてください。
今からファンになっても、たぶんバンドはこれから先しばらく続くと思われるので、まだ間に合います。
オールドメタリカファンに
では、メタリカを長く聴いているファン向けにレビュー、というか、ただ思うことを書きます。
Metallica『72 Seasons』(2023)
『Reload』から約25年
過去記事でも少し書きましたが、私がメタリカのファンになったのは96年ごろで、『Load』を出した直後でした。
その一年後、『Reload』は発売日に買った記憶があります。
発売日に買ったメタリカの新作という意味では、そこから数えて本作は五枚目です。
ちなみに『Reload』を買った時は高校生でした。
当時はBurrn!で発売日をチェックして、発売日は学校帰りにCDショップに行きました。
帰宅してすぐ、ちゃちいラジカセにCDを突っ込んで聴いた時の感動は、今も鮮明に覚えています。
それから約25年。すっかり中年になった私は、今回も発売日を心待ちにしていました。
『Hardwired』から約6年半
ちなみに、前作の『Hardwired… to Self-Destruct』って、つい最近という感じじゃないですか?
(そうでもない?)
あれ、2016年11月発売で、なんと6年半も前なんです。
インターバルがもうドラクエ並みになってますね。
(ちなみに『Death Magnetic』から『Hardwired』は約8年)
この6年半は、バンドにも色々なことがありました。
ジェイムズのコンディション
『Hardwired』発表後も精力的に活動したバンドですが、2019年にジェイムズがコンディションを崩し、治療のために施設に入ることになります。
依存症としか報じられておらず、詳細は計り知れませんが、過去数十年のハードワークに加齢など、簡単に解決できない問題であることは容易に想像が付きました。
バンドの終了すら予期させる、かなり深刻な状況に思えましたが、世の中はそのままコロナ禍に突入します。
その後、バンドはリモートでのセッションなど、少しずつ活動を再開させていき、ライブ活動も復活させました。
本作の制作にあたっては、コロナ直前の時期からセッションを開始したようですので、ジェイムズのコンディションの回復に合わせて、少しずつ進められたようです。
プロダクション
本作はCD一枚に全12曲収録で、合計77分14秒です。
前作も全12曲で77分42秒と、ほぼ同じ収録時間でしたが、二枚組でした。
「じゃあ前作も一枚にできたやん?」と思いますが、そこは「二枚組」にすべき理由が、当時はあったのでしょう。
(ちなみに私が買ったデラックス盤は三枚組)
プロデューサーは前作同様、ジェイムズとラーズ、そしてグレッグ・フィデルマンです。
ここから想像されるとおり、前作から大きな路線変更はありません。
しかし、本作はソングライティングにおいて、前作と違いがあります。
それは、
という点です。
ソングライティング
作曲者の構成で見ると、
ジェイムズ・ラーズ・カーク :4曲
ジェイムズ・ラーズ・ロバート:3曲
となります。
カークとロバート、それぞれの参加曲がはっきり分かれていて、全員参加という曲が全くないところは興味深いです。
ちなみに前作は、ジェイムズとラーズによる作曲が11曲で、一曲のみロバートも参加していました。
曲アイディアが入ったスマホを無くした結果、前作では自作曲ゼロという不遇のカークでしたが、本作では4曲参加と、汚名返上(?)の大貢献です。
また、ロバートも3曲参加で存在感がアップしています。
「NWOBHMっぽい」か?
ジェイムズはインタビューで、先行シングル『Lux Æterna』は「NWOBHMっぽい」と発言したらしいですが、確かにこの曲のリフはそれっぽいです。
(かなりダイアモンドヘッドっぽい)
ちなみに、次の動画はファンメイドのアレンジですが、着目点が面白く、素晴らしい完成度です。
では、他の曲も初期作に近いかというと、実はそんなことはなくて、前作に近い、いわゆるオーガニックサウンドの楽曲が大半です。
メタリカの「モダンメタル」サウンド
メタリカの現在のサウンドの原点は、二作前の『Death Magnetic』だと考えます。
この作品はリック・ルービンのプロデュース(ミックスはグレッグ)ですが、ここで彼らは現代的にクールなメタルサウンドを開発します。
端的にいうと、
という手段です。
(当時は「オーガニック」と表現)
彼らのような年季の入ったバンドになると、きっちり整ったサウンドにミックスするよりも、自分たちの味をあえて残すような、RAWな仕上げこそクールだということです。
これは、彼らには強烈な個性があるからこそ成り立つ技であって、他のメタルバンドにはちょっと真似できません。
メタルはやはり、整合性とテクニックの世界ですので。
『Load』期を想起させるグルーヴ
私が本作で「おっ」と思ったのは、グルーヴを重視した楽曲が増えたように感じたところです。
『You Must Burn!』や『Room of Mirrors』などは、本作の真骨頂ではないでしょうか。
『Load』『Reload』あたりに入っていてもおかしくないうねるようなグルーヴが格好良い楽曲です。
ロバート参加は本作で三作目ですが、これまでで一番良い仕事をしているように感じます。
但し、本作は『Load』期と決定的に違っている点として、当時のように意識的にメタルから遠ざかったりはしていません。
そのため、リフや構成はかなり自由に作られていて、その結果ややとっつきにくいです。
この点は特に後半の楽曲に顕著で、好みは分かれると思いますが、格好良いフレーズ満載です。
カークのギターソロも、どちらかというとスロー・ミディアムテンポの楽曲の方が冴えます。
発売後一週間ですが、先行シングルは全て発表直後からSpotifyで聴いています。
やはりまだ聴き込みが足りない状況ですが、私は前作も気に入ってよく聴きましたので、同路線である本作も十分楽しめそうです。
しかし、前作が気に入らなかった人や、クリフ時代の作品を今も彼らに期待している人には、退屈な作品に感じられるでしょう。
「フィフス・メンバー」
メタリカというバンドの最大の強みは、
彼らのヒストリーを追体験させることができる
という点です。
どの作品も、バンドが置かれた時代や背景が作品に色濃く投影されており、一連のストーリーの中に位置付けられています。
メタリカのファンクラブは「フィフス・メンバー」です。
まさにリスナー自身がメタリカというバンドの五人目のメンバーであるかのように、バンドの歴史を楽しみ、感情移入することができます。
この辺りは、私のようなずっと新作を追い続けているファンと、それほどでもないファンでは、感じ方が大きく異なるでしょう。
一つ明らかなことは、私のようなファンが世界中にいるからこそ、彼らはあれだけ大規模な世界ツアーをいまだに継続できているということです。
尊敬に足る我らのフロントマン
既述の通り、前作と本作の間にジェイムズが一時休止という事件がありました。
その後、彼が復活にいたるまで、バンドメンバーやファンがどのように彼を支えてきたのかを思うと、胸が熱くなります。
これ、見るたびに涙腺がヤバいです。
(1:50くらいから)
このように、本作発表までの背景も知ると、本作の味わいはさらに深まります。
ドキュメンタリーの『Some Kind of Monster』からすでに20年にもなります。
世界一のメタルバンドのフロントマンという重責を背負い続ける、そのマッチョな表向きからは想像がつかない、彼の繊細な内面と、苦しみながらもその人生に立ち向かう姿には、畏敬の念を抱かざるを得ません。
まとめ
やはりメタリカの作品のレビューとなると、楽曲以外にかなり焦点を当てることになりました。
私のように、昔からこのバンドが好きな人は、とにかく彼らの新作をただ楽しんでいることと思います。
『Hardwired』が好きではなかった人には、本作ははっきり言ってオススメできません。スルーでOKです。
仮にこれをきっかけにメタリカに興味を持った人は、『Master of Puppets』をすぐに聴いてください。
(くどい)
トトオのオススメランキング
オススメ
ランキング
『Chasing Light』
『If Darkness Had a Son』
『Too Far Gone』
『Room of Mirrors』
※まだ順位をつけるほど聴いてませんので、気に入った曲のみ列挙します
終わりに
今メガデスのレビューをぼちぼちやっていますが、これが終わればメタリカも書こうと思っています。
そのレビューを書き終わるまでは、バンドが継続することを祈って。
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