トトオです。
『好きなんなんなん』、今回はマリリン・マンソンの『ホーリー・ウッド』を紹介します。
前回の記事はこちら。
今回の記事のポイントはこちらです。
ポイント
アーティスト魂に痺れる
結論
先に結論です。
では、レビューいってみましょう。
恐ろしく「割り食った」名盤
三部作どれが一番好き?論争
マンソンの人気のピークは、90年代後半~2000年でした。
この時期に発表した三部作は、キャリア上最も売れた作品になります。
Mechanical Animals (1998)
Holy Wood (2000)
私は運良く全てタイムリーに体験しました。
だいたい、一番人気があるのは『Anti – 』か、『Mechanical – 』で、かなり落ちて『Holy – 』という印象です。
マンソン氏の慧眼
今振り返ってみて、マンソンの凄さを改めて感じるのは、『Anti – 』の次の作品として、『Mechanical – 』を制作した点です。
これ↓
の後に、
これ↓
です。
大成功した『Anti – 』の続編に、作風の異なる『Mechanical – 』を発表することは、かなりチャレンジングな試みだったはずですが、見事に成功しました。
しかし、この二作の流れがあまりにも完璧すぎて、結果的に割を食ったのが、続く『Holy Wood』です。
Marilyn Manson『Holy Wood』 (2000)
「インダストリアル」回帰、ではない
『Anti – 』はトレント・レズナープロデュースということもあり、音楽的にはわかりやすいインダストリアル・メタルでした。
続く『Mechanical – 』はグラムロック路線で、インダストリアルからもメタルからも、やや離れています。
続く本作は、当時は『Anti – 』の作風への回帰(つまりインダストリアルメタル)と評されました。
確かに本作は、『Mechanical – 』よりは、『Anti – 』に近いサウンドプロダクションです。
しかし、同じではありません。
本作のプロデューサーはデイヴ・サーディーです。
ヘルメット、システム・オブ・ア・ダウン、ヴィジョン・オブ・ディスオーダーなんかのプロデューサーです。
久しぶりに聴きましたが、脳天直撃ですね・・・。
この人選からわかることは、本作はハードコア寄りのヘヴィロックを志向して制作された、ということです。
(個人的見解です)
本作には、確かにインダストリアルと言えるような、ハードな打ち込みも一部には見られます。
しかしそれ以上に、楽器本来の音にかなりこだわっています。
当時は、前二作と比較するとやや地味な音に感じましたが、今改めて聴くと、大変丁寧に作り込まれていることがわかります。
ジョン5という怪物
過去二作と比較して、本作はギターサウンドに重きを置いています。
これまで同様、SEやキーボードも多用していますが、よりストレートなディストーションギターを中心に構成していきます。
ギタリストは本作で初のスタジオアルバム参加となる、ジョン5です。
(最近、モトリーでミックの後釜に決定)
彼は、『Mechanical – 』の後に発表したライブアルバム『The Last Tour on Earth』収録の新曲で、その超絶プレイをお披露目していました。
このギターソロは衝撃でした、当時。
その実力を買われてか、本作では全編において大活躍です。
緻密でストレートなギターサウンドが重厚で、マンソンの歌に深みを与えています。
聴かせる構成とその完成度「ゆえ」
本作は満を辞して、三部作の最終作として発表しました。
(但し設定上は三部作の一枚目)
既述のとおり、『Anti – 』から『Mechanical – 』の流れが上手く、そのため本作への期待値は相当なものでした。
しかし、わかりやすさに振り切った『Mechanical – 』とは、本作は対照的な作風でした。
本作の作り込まれた世界観と作風は、リスナーに対し、しっかりとその音楽と向き合うことを求めています。
結果、本作は前二作と比較して、商業的にも人気の面でも苦戦します。
その後、マンソンは次の『The Golden Age of Grotesque』では、反省を生かし(?)、より戦略的に売れる作品を作り上げました。
そして、しっかり結果を残しています。
これは売れますよね。いや、これは売れますよ。
これを『Mechanical – 』の後にやっても良かったと思うんです。でも、やらなかった。
三部作の最後に、これほど嗜好性の高い作品を作り上げた、マンソンのアーティスト魂には痺れます。
その後の盤石の地位は、このような音楽に向き合う真摯な姿勢が、「信頼に足りる」とリスナーにしっかりと伝わったからではないでしょうか。
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ランキング
1位『Valentine’s Day』
2位『The Nobodies』
3位『Disposable Teens』
終わりに
マンソンは『The Golden – 』以降は円熟期に入ったようで、さらに趣味性の高い作品にシフトしていきます。
自分の青春を彩った、ヘヴィロックというムーブメントの一端という意味においても、本作を含む三部作は、私にとってはいまだに特別な作品です。
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