トトオです。
今回は、ニューエスト・モデルの第三作目であり、メジャーデビュー作となる『ソウル・サバイバー』をレビューします。
前回の記事はこちらです。
この記事のポイントはこちら。
ポイント
聴かずに死ぬは一生の後悔!
結論
結論から述べます。
本作は、
です。
邦楽ロックの最高峰
本作を初めて聴いてから、もう20年以上経過しています。
当時でも、発表からすでに10年近く経過していました。
私が音楽を趣味にして30年近く経ちますが、日本人のロック作品では、本作が私の中ではナンバーワンです。
NEWEST MODEL 『SOUL SURVIVOR』(1989年)
概要
ニューエストは、インディーでEPをいくつか出した後、総括的に前作の『プリティ・ラジエーション』を1988年に発表しました。
彼らはその勢いのまま、本作『ソウル・サバイバー』をキングレコードから1989年に発表します。
メンバーは前作から同じです。
本作を含むメジャー三作は、このラインナップで発表します。
日本語でも期待できる「ロック」
私は英語をそれなりに理解できるので、洋楽を聴いてもだいたいの意味はわかります。
しかし、ネイティブではないので、そこに流れる文脈や、土着的なカルチャーに根差したニュアンスまではわかりません。
当然ですが、日本人なので、日本語の歌詞の方がより深く理解できるわけです。
しかし、欧米のアーティストのような歌詞を、邦楽ロックにはあまり期待できません。
そもそも、日本人リスナーがそれを求めていないということもあるでしょう。
しかし、他の日本のバンドとは、中川敬の歌詞はステージが違います。
わかってるって嘘なしさ おまえさんは
羽目外し無理しても悩みふやすだけ
我慢強いって噂だろ?腹も立たないで
わかってるって言葉なんてどうにでもなるもんさ
当時、中川敬23歳ですが、どんな人生を歩めばこんな歌詞が書けてしまうのか、不思議で仕方ありません。
風刺を利かせながらも、表現は平易で誰にでも伝わる歌詞です。
さみしいから ウソでかためたもちをつくのさ
さみしいから 酒の肴はうわさ
望みありそうな おだやかな午後に
かるくはねてみても 空気がおもいよ
本作からもう30年以上が経過していますが、古びるどころか、今の時代にこそ、彼の歌が求められるのではないでしょうか。
楽曲の相性とボ・ガンボス
ニューエストの最高傑作は、一般的には次作の『クロスブリード・パーク』が選ばれることが多いです。
『クロス – 』は、ミクスチャーロックをさらに強烈に押し進めており、バンドのパフォーマンスが最も充実した作品であることは明らかです。
しかし、バンド本来の持ち味と楽曲の相性という点では、私は本作に軍配を上げます。
前作までで明らかなとおり、彼らはビートパンクスタイルをベースとしています。
本作では、あくまでその軽快なビートは保ちつつ、それにマッチする多彩なアレンジを施しています。
次作以降は、歌詞のレベルもさらに上がり、その結果、バンドの演奏や音は気迫に満ちています。
その反面本作は、どこかまだリラックスしたムードがあります。
フォーキーな楽曲、ブルージーな楽曲、どれも自然体に見える彼らの姿が心地良いです。
尾根行く旅
SEASON
このあたりは当時の彼らの新境地でしょう。
本作はBO GUMBOSからKYONが参加しています。
その影響もあってか、ボ・ガンボス楽曲のような、独特の「まどろんだ」空気が漂っています。
ニューエスト作品の中でも、本作を一番よく聴きたくなるのは、この辺りが理由だと思います。
メジャーな音質と「肝の」ベース
本作から彼らは舞台をメジャーに移します。
インディーとメジャーの差は、前作と本作を聴き比べると一目瞭然です。
音質はクリアで、各楽器の音は分離され、バンドアンサンブルが劇的に強化されています。
まず、本作でその存在感を最も示したのは奥野真哉のキーボートです。
前作までは、轟音ビートパンクに、ピアノやキーボードを上乗せするような楽曲がメインでした。
本作では、楽曲のど真ん中に鍵盤が鎮座しており、ディストーションギターはあえて引いています。
このバランスが絶妙で、ヘヴィさは減ったのに、軟弱になるどころか迫力が増しています。
もう一つの注目点は鈴木友之のベースです。
この『エンプティ・ノーション』はアルバム未収録ですが、メジャーデビュー後の再録バージョンです。
前作でもテクニカルなベースプレイは特筆すべきものがありましたが、本作では更に進化しています。
とにかく動きまくるベースラインですが、ファンキーでもビートを削ぐことなく、バンドと楽曲を引っ張っています。
良いロックバンドはベーシストが重要だと思いますが、ニューエストのかっこよさの肝は、実はこのベースだと思います。
オススメ名曲ランキング
オススメ
ランキング
1位『ソウルサバイバーの逆襲』
2位『こたつ内紛争』
3位『IN THE HOLIDAY MOOD』
終わりに
本作を含め、ニューエスト作品はサブスク対応していません。
オリジナル作品は全て廃盤です(再発盤も)。
本作を聴きたい場合、中古品を探して買うしかありません。
この状況は、全日本のロックファンにとって、大変な損失だと真剣に思います。
しかし、本作は、お手軽にサブスクなんかで消費されるべき作品でも無い、とも思います。
本作を高価な中古でも手に入れたい、そう思うほどの音楽好きなら、確実にその金額でもおつりが来るはずです。
ニューエスト全般に知りたい場合は、近年のリマスターベストが、唯一新品を手に入れる方法なので、これを選びましょう。
あまり言いたく無い言葉ですが、コスパは至上です。
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