トトオです。
今回の「好きなんなんなん」は、Kornの『シー・ユー・オン・ジ・アザー・サイド』です。
前回の記事はこちら。
今回の記事のポイントはこちらです。
ポイント
予想を裏切る大進化
結論
先に本作の結論を述べます。
では、レビュー行きましょう。
最高傑作と問題作
Kornの最高傑作は?
私はKornが好きです。もう20年以上聴いていますし、ライブを見に行ったこともあります。
Kornの最高傑作はファーストアルバムです。
もうこれは揺るぎない、厳然たる事実です。
変幻自在に進化するバンド
ファーストは「突然変異のニューメタル」とでも言うような、異様で特殊な作品でした。
キャリアも浅く、テクニックに優れるわけでもない、そんな彼らの初めて作った作品が、奇跡的に凄かったわけです。
しかし、このバンドはその後がさらに凄かった。
デビューからすでに30年に差し掛かろうとしていますが、ピンチを乗り切る度に、進化を繰り返します。
問題作『Take a Look in the Mirror』
初期メンバー五人のまま、彼らはトレンドにも乗り、デビュー以降次々とヒット作を生み出します。
彼らの最初のピンチは、『Take a Look in the Mirror』とヘッドの脱退でしょう。
五作目の『Untouchables』までは、作品毎に劇的な進化を遂げていました。
しかし、六作目の『Take a Look – 』で、初めてバンドが停滞したように感じられました。
(あくまで私見)
既存のファンの期待にはしっかり応えている上に、完成度は高いです。
しかし、「次は一体どんな作品になるのか?」というファンの期待と想像を必ず越えてきたバンドが、初めて「置きにいった」作品だと感じました。
最大の危機を迎えて
『Take a Look – 』発表後、ツインギターの傍であるヘッドが脱退します。
一般的にツインギターバンドは、「リードギターとリズムギター」のように、明確に役割分担するケースが多いです。
しかし彼らは、二人がギターという同じ楽器を使ってはいるものの、単純に比較できない個性を持ち合わせており、「二人で一つのパートを担当」しているような、特殊なスタイルでした。
つまり、ヘッドが抜けても、簡単に置き換えはできない、ということです。
Korn『See You on the Other Side』(2005)
プロデューサー選びの慧眼
ヘッドが抜けた厳しい状況において、残るマンキーのシングルギターで乗り切る、という方法をバンドは選びます。
現実的に、これしか取りようがなかったのだとおも思いますし、どう考えてもパワーダウンは避けられない状況です。
しかし、彼らは楽曲のスタイルを多様にするという手段で、逆境を乗り越えます。
乗り越えるどころか、ピンチをバネにして、遥か高みに達します。
本作ではポップ畑の著名なプロデューサーThe Matrixとタッグを組んでおり、これはまさに慧眼だったと言えます。
より幅広く聴かれるアレンジに仕上げた結果、本作は売れに売れました。
ジョナサンの歌さえあれば
初期作から『Take a Look – 』までの六作で、最も進化した点はジョナサンのボーカルでしょう。
初期作は「歌」なのか「うめき」なのか「叫び」なのかよくわからないスタイルで、これが強烈なインパクトでした。
その後、ジョナサンは作品を重ねるごとに劇的に歌唱力を向上させます。
本作では、ギターアンサンブルが後退した反面、ボーカルメロディを前面に押し出しています。
彼は単に上手いだけではなく、声色自体が非常に個性的で、このボーカルさえあれば、Kornに仕上がるといえるほどの存在感です。
真の実力者 マンキー
シングルギターになったことで、マンキーに重圧がのしかかりました。
しかし、彼は想像を超える巧みなプレイで真価を発揮します。
ヘヴィさには拘らず、楽曲にマッチするリフやフレーズに徹底しており、この結果、前作よりも楽曲のクオリティが向上します。
「ヘッドとのコンビでこそ力を発揮するタイプ」だと勝手に思い込んでいましたが、彼はヘヴィロック界のギタリストとして、間違いなくNo.1の実力者でしょう。
フィールディーの”Rap”エッセンス
本作発表直前に、レーベル移籍に伴い発表された「グレイテスト・ヒッツ」には、Cameoのカバーという、フィールディーの趣味丸出しの楽曲がありました。
これは、めちゃくちゃ格好良かったですね。
本作では、フィールディーのヒップホップ趣味が、過去作以上にダイレクトに反映されています。
このビデオだけ見て、Kornは黒人バンドだと勘違いした人が結構いるようです。
おまけ:CCCDとセンサーシップ
本作は2005年発表ですが、当時のトレンド(?)で、CCCDで発表されました。
私は当時、CDをパソコンに突っ込んで、iTunesに取り込み、iPodで聴くというスタイルでした。
残念ながら本作は上手く取り込めず、CDでしか聴けなかった苦い思い出があります。
その後、どうしてもiPodで聴きたいので、iTunesストアでデジタル音源も購入しました。
しかし、この音源は「センサーシップ済みバージョン」で、いわゆる”Fワード”がノイズで上書きされて消されていました。
この消し方にかなり違和感があり、がっかりした記憶があります。
(二枚も買ったのにコレか、と)
今、Spotifyで聴くと、CD音源ママで聴けます。
トトオのオススメランキング
オススメ
ランキング
1位『Twisted Transistor』
2位『Politics』
3位『Love Song』
終わりに
本作が、Kornのバンド史上最大のピンチ及び転換点だったと思います。
このあとさらに、ドラムのデイヴィッドまで抜けて、バンドが三人になってしまいます。
別記事で書きましたが、これもうまく乗り切った時点で、彼らの長期的なキャリアは約束されたようなものだったのではないでしょうか。
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