トトオです。
今回の『好きなんなんなん』は、ドリーム・シアターのファーストアルバム『ホエン・ドリーム・アンド・デイ・ユナイト』です。
前回の記事はこちら。
今回の記事のポイントはこちらです。
ポイント
進化途上の超人バンド
結論
では、先に本作の結論を述べます。
レビュー行ってみましょう。
Dream Theater『When Dream and Day Unite』 (1989)
訳あって、やや黒歴史
本作は、ドリーム・シアターのデビューアルバムですが、バンドの歴史上やや微妙な扱いです。
最大の理由は、ボーカルがチャーリー・ドミニシである、という点でしょう。
チャーリーの声質は、ラッシュのゲディー・リーにかなり似ていることもあって、オリジナリティが薄く感じられるのは否めません。
次作『Images and Words』では、唯一無二のボーカル、ジェイムズ・ラブリエに交代しただけではなく、完成度も圧倒的で、格段にクオリティアップしました。
このビデオは、ラブリエボーカルでの初期楽曲ライブですが、やはりバンドの雰囲気がガラッと変わりました。
しかし、次作が凄すぎるだけで、本作のクオリティが低いわけではありません。
ケヴィンが残したのは、わずか三作
キーボードとして、ケヴィン・ムーアが関わったという点において、本作は貴重な一枚です。
ケヴィンはデビュー作である本作を含め、わずか三作しか参加していません。
次作『Images – 』が、単にドリームシアターの名盤というだけでなく、メタルの歴史的名盤たり得た理由の一つは、やはりケヴィンの貢献が大きいです。
そのケヴィンの関わった三作中の一作です。聴き逃すのはあまりにも惜しいです。
(残る一枚『Awake』も当然名盤)
「夜」イメージに萌える
本作はジャケットおよび裏ジャケのデザインから想起されるように、「夜」のムードを全編に漂わせています。
私はこの「夜」イメージの作品が大好きです。
他、「夜」傑作の代表例は、やはりメイデンの『Fear Of The Dark』でしょう。
TOTOの『Hydra』なんかも外せません。
(メタルではないですが)
本作を制作するにあたり、マイク・ポートノイはフェイツ・ウォーニングの影響を受けたと公言しています。
やはり、プログレメタルはダークな雰囲気がハマります。
足りない音質もライブ感でカバー
本作と次作では、音質の面でかなり大きな差があります。
テクニック面においては、本作でもすでにプロフェッショナル然としているのですが、全体的に音がやや篭り気味です。
次作では、このフィルターがいきなり全て取り払われたかのように、驚くほどクリアな音質に改善されています。
しかし、このやや不明瞭なサウンドは、若さ溢れるダイナミックなプレイを生々しく伝えるというプラスの側面もあります。
今や仙人のようになった彼らですが、若い時だけの格好良さは確かにありました。
ドリーム・シアターという超人バンドの、開発途上が楽しめる一枚として、ファンには趣深いのではないでしょうか。
ドラマティックな構成は道半ば
デビュー作である本作でも、すでに変拍子や転調が満載で、プログレメタルバンドの名に恥じない完成度です。
しかし、次作に見られるような、リスナーの予想を大きく上回る劇的な構成の楽曲はありません。
また、次作はコンセプトアルバムのような趣もあり、アルバム一枚としての完成度を高めています。
本作は、この時点における彼らの自信曲の寄せ集めという印象で、次作以降のクオリティには一歩及ばないのは惜しいところです。
オススメランキング
オススメ
ランキング
1位『The Ytse Jam』
2位『The Killing Hand』
3位『Light Fuse and Get Away』
終わりに
本作の最終曲は『Only a Matter of Time』ですが、この曲はややネオクラシカルメタルに聴こえる部分もあって、興味深いです。
次作以降は、完全に方向性が固まっていて隙がありませんが、こういったところも本作の魅力の一つです。
ちなみに、本作でボーカルを務めたチャーリーですが、その後自身の名前を冠したバンドで活動しました。
この時の声質は、かなりラブリエに似ています。
ドリーム・シアターのアウトテイク楽曲と言われたら、信じてしまいません?
コメント