トトオです。
今回のオールタイムベストは、ジーノの『ジーノロジー』です。
前回の記事はこちら。
今回の記事のポイントはこちらです。
ポイント
寄せ集めと侮るなかれ!
結論
本作の結論です。
ハードロック冬の時代の「雄」
いわゆる「レーベル買い」
私はだいたい90年代中頃からハードロック・メタルを聴き始めました。
当時はネットが発達しておらず、情報源は主に雑誌か、CDに付属のライナーノーツです。
そのため、輸入盤よりも、ライナーが付属している国内盤を買う傾向がありました。
(若干高くても)
国内のレーベルには、ハードロック・メタルに力を入れているレーベルがいくつかありました。
個人的に印象深かったのが、
ビクターエンタテインメント
トイズファクトリー
そして、ゼロ・コーポレーションです。
在りし日の「ゼロ・コーポレーション」
ゼロ・コーポレーションは、帯やジャケットデザインの統一感が高く、コレクター心理がくすぐられました。
棚からいくつか出してきました。
また、いわゆる「帯タタキ」も凝ったものが多く、このジャンルを大切にしていることが感じられました。
(B!の広告も多かった印象)
一番最初に買ったゼロ・コーポレーションのCDは、ジューダス・プリーストの『ジャギュレイター』あたりでしょうか。
それ以外にも数多くゼロ・コーポレーションの作品を購入しましたが、特に印象深かった一枚が、ZENOの『Zenology』です。
ZENO『Zenology』(1995)
まさに「不遇の」キャリア
ZENOの詳しいバイオはWikipediaで確認してもらえればと思いますが、このバンドのキャリアは本当に紆余曲折です。
80年代に発表したファーストは伝説的な名盤という評価があったにも関わらず、バンドは解散し、それがフェア・ウォーニングの母体になります。
フェア・ウォーニングは日本での成功を果たし、その後、その母体となったZENOも再評価されるようになりました。
1996年頃にフェア・ウォーニングを好きになった私は、当然ZENOにも興味が出て、当時出た最新作『Zenology』を購入しました。
私の記憶では、ZENOのファーストはこの時点ではCD化されていたものの、ショップでは手に入れづらかった印象があります。
(一方フェア・ウォーニングはどこにでも置いてあった)
「寄せ集め」レベルではない
伝説的なファーストが発表された後、異なる時期に制作された楽曲を集めたコンピレーションが本作です。
録音時期やメンバーが統一されておらず、さすがにフルアルバムの扱いにはできません。
しかし、とても寄せ集めとは思えない、比類なきクオリティの楽曲が、まるでオリジナルアルバムのような構成で並んでいます。
サウンドプロダクションも手がかかっていて、音質に曲毎のばらつきが全くなく、今聴いてもモダンなハードロックに仕上がっています。
ちなみに、私はこれを聴いた後に、遡ってZENOのファーストを聴きました。
本作の音質とのギャップに、かなり衝撃を受けました(悪い意味で)。
どっちの『Heat of Emotion』
私は本作とフェア・ウォーニングのファースト、その両方を同時期に聴きました。
どちらにも収録されている楽曲が一つあります。『Heat of Emotion』です。
アルバム完成度やバンドとしての魅力は、フェア・ウォーニングのファーストに軍配が上がります。
しかし、『Heat of Emotion』は、ZENOバージョンの方が好きです。
フェア・ウォーニングのバージョンは、アルバムの中の一曲としては完璧なアレンジで、これはこれで文句はありません。
しかし、ZENOのバージョンは、このコンピレーションの一曲目に持ってくるほど気合い十分で、もうやりすぎくらいに「エモい」アレンジに仕上がっています。
メロディアスハードを一曲だけ選ぶなら、私はこの楽曲をまず挙げます。
これを格好良いと感じるか、ダサいと感じるかで、このジャンルの適性を一発で測ることができる、そんな試金石的な一曲でしょう。
「職人肌」の天才ギタリスト
他記事でも書いていますが、私はギターオリエンテッドな作品があまり好きではありません。
(簡単に言うと、ソロギタリストのアルバム)
ギターにスポットが当たりすぎて、楽曲そのもののバランスが崩れているように感じることがあるからです。
(私がギタリストではない、というのも理由でしょう)
この点、ZENOの素晴らしいところは、まず良い楽曲ありきで、それに見合ったギタープレイを添える、というスタイルであることです。
本作は、インストの『Crystal Dreams』で幕を閉じます。
インスト曲であっても、ギターでの彩りは必要十分に抑えながら、丁寧にメロディを紡ぎます。
こういったところから、彼がギタリストである前に、職人的なミュージシャンであることが垣間見えます。
ソロプロジェクトの惜しい点
既述の通り、本作はZENOのバンド名義の楽曲が収められていますが、プレイヤーは曲によってバラバラです。
基本的にフェア・ウォーニング関連の人脈ではあるのですが、あくまでZENOというプロジェクトのために集められたメンバーです。
楽曲の寄せ集め感はほぼないのですが、バンドメンバーに統一感がない点は、当時のフェア・ウォーニングと比較すると見劣りします。
(ボーカルが複数いるのに、それを感じさせない点は凄い)
ZENOというギタリストがいるという共通点で、これほどの統一感が生み出せていること自体奇跡だと思いますが、他プレイヤーの存在感や一体感は、やはり安定したバンドには一歩譲るといったところでしょう。
トトオのオススメ名曲ランキング
オススメ
ランキング
1位『Heat of Emotion』
2位『Out in the Night』
3位『Surviving the Night』
終わりに
私はいわゆるメロディアスハードはそれほど好きではありません。
ハードロックスタイルであっても、どちらかというとローファイな音の方が好みで、同時代でもオルタナティヴロックの方がよく聴きます。
しかし、このZENOやフェア・ウォーニングの全盛期の作品は別格です。
私の青春を彩った、タイムレスな名盤です。
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