トトオです。
31回目となる今回のオールタイムベストは、北欧メタルバンドTNTの『インテュイション』です。
前回の記事はコチラです。
今回の記事のポイントはこちらです。

北欧イメージを具現化した傑作メタル
「北欧」という甘美な響き
「洋楽」と言えども
私が聴く音楽を、「邦楽」と「洋楽」で分けて比較すると、圧倒的に洋楽を聴く割合の方が高いです。
しかし「洋楽」と一括りに言っても、「洋」のカバーするエリアは広大です。
パッと思いつくのが、アメリカとイギリスですが、この次に続くのはやはり欧州(イギリス除く)です。
この、欧州の中でも、特に北側の地域を「北欧」と呼びます。
スカンジナビアはメタルの産地
いわゆる北欧の国々の中でも、スカンジナビア諸国と呼ばれるのが、
ノルウェー
デンマーク
の三国です。
これらの国々は、メタルとの相性が良いことで知られます。
今回はこのスカンジナビア諸国の一つ、ノルウェー出身のメタルバンド、TNTの名盤『Intuition』を紹介します。
TNT 『Intuition』(1989年)
天才ギタリスト ロニー・ル・テクロ
私はメタラーには珍しく(?)、あまりギタリストがフィーチャーされた作品は好きではありません。
例えば、メタル界で最も有名なギタリストの一人は、インギーことイングヴェイ・マルムスティーンでしょう。
彼のようなスーパーギタリストの作品を、私もそれなりには聴いてきました。
しかし、マニアのように楽曲のスケールを分析したり、ライブに行って双眼鏡で機材や運指をチェックするような気は起こりません。
(と言いつつも、やはり見入ってしまう・・・)
しかし、そんな私にも特に好きなギタリストはいます。
その一人が、TNTのロニー・ル・テクロです。
彼のプレイの特徴は、
超人マシンガン奏法
の二つです。
トリッキーなギターリフ
前作『Tell No Tales』でも素晴らしいギタープレイがフィーチャーされました。
しかし、本作ではさらにトリッキーなギターリフが満載です。
前作『Tell No – 』は、作品のコンセプトが「スピード・アンド・ヘヴィ」だったため、比較的ストレートなリフが多い印象でした。
しかし、本作『Intuition』では緩急をつけた展開に合う、トリッキーなギターリフが増え、ロニーのギタープレイのオリジナリティが更に高まりました。
超人マシンガン奏法
彼はギターソロにも特徴があり、「マシンガン奏法」と呼ばれます。
その名の通り、マシンガンのように超高速でピッキングするスタイルです。
3:05あたりからウルトラ格好良いソロが始まります。
ピッキングが非常にシャープなため、一つ一つの音がきめ細やかです。
まるで土鍋で炊いた米のようにピカピカしています。
(伝わりますでしょうか・・・)
彼にしか出せない唯一無二のトーンですが、無理に引っ張りすぎないバランスも絶妙です。
奇跡の二大名盤比較
世間的なTNTの名盤は、この『Intuition』と、一作前の『Tell No Tales』です。
私の中ではこの二作はほぼ同点ですが、僅差で『Intuition』に軍配が上がります。
『Tell No Tales』
『Tell No Tales』は、その前の『Knights of the New Thunder』から劇的にクオリティアップした傑作です。
スピーディー且つシャープなギターリフやロニーの独特のソロフレーズは冴え渡ります。
何よりサウンドプロダクションが完璧で、色褪せません。
『Intuition』
ポップな楽曲とボーカルハーモニー
そんな素晴らしい前作『Tell No – 』ですが、本作『Intuition』では、楽曲のポップさを向上させて、完成度を上げています。
表題曲『Intuition』や、『Take Me Down (Fallen Angel)』など、ヘヴィさは適度に残しながら、キャッチーに仕上げることで、さらに間口を広げています。
またポップな楽曲の中にも、ピリッと小技が効いたロニーの天才的ギターフレーズが加わり、このバンドのカラーはきっちり保っています。
ボーカルハーモニーが凄まじい本作ですが、バッキング・ボーカルにはジョー・リン・ターナーも参加しています。
(最初のインギーからたまたま繋がりました)
北欧イメージの具現化
さらに凄いのが、「北欧」というイメージを完璧に具現化しているところです。
「北欧」という言葉のイメージを、これ以上表現し尽くした楽曲はないでしょう。
ジャケットも素敵です。
「荘厳な教会風の何か」くらいしかよくわかりませんが、高貴な雰囲気だけはやたら伝わります。
裏ジャケはこんな感じです。
「北欧といえば湖」という固定観念そのままに、メンバーがスタイリッシュに湖畔と城の前で立ち並びます。
そしてボーカルのトニー・ハーネルのふっさふさのヘアー、これぞまさに「北欧」の「洋物」と言った感じです。
(但しトニーはアメリカ人)
終わりに
彼らは、これほどの作品を作り出したにも関わらず、大きな成功を収められなかったこともあり、その後作風を変えることになります。
その後の作品は一般的には失敗作というイメージが定着していますが、決してそんなことはありません。
しかし、今回紹介した二作の完成度が別格であることは事実で、今後も北欧メタルの決定版として、愛され続けるでしょう。
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