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【とりあえずコレ聴いて!THE WiLDHEARTS/全作品レビュー#6】ザ・ワイルドハーツ『The Best of The Wildhearts』

ワイルドハーツ THE BEST OF THE WiLDHEARTS写真 ブログ用 音楽

トトオです。

六回目のワイルドハーツレビューになります。

今回は彼らのキャリア初となる、

ベストアルバム、

『The Best of The Wildhearts』です。

ちなみに、前回はこちら。

【ホルモン好きな人に!THE WiLDHEARTS/全作品レビュー#5】ザ・ワイルドハーツ『Fishing for More Luckies』
トトオです。 ワイルドハーツレビュー、 今回で五回目です。 個人的には、 彼らの最高傑作だと思う、 『Fishing for More Luckies』 をレビューします。 ちなみに、前回はこちら。 この記事は、 以下...

この記事は、

以下の方にオススメです。

手っ取り早く名曲だけ聴きたい人
ビートルズやブリティッシュロックが好きな人

Earth vs The Wildhearts vs 私⑥

2007年のワイルドハーツ来日に続いて、

来日公演を観に行ったのは、

2009年10月のアメ村BIG CATです。

新作『¡Chutzpah!』の来日公演でした。

私は基本的に、

ライブには一人で行くことが多いのですが、

この時はワイルドハーツ好きな友人と、

珍しく予定が合ったので、

一緒に観に行きました。

大阪の人ならご存知だと思いますが、

BIG CATは、

心斎橋のアメリカ村の中心にあります。

久しぶりに行ったアメ村は、

昔の活気がかなりなくなっていて、

少し寂しげでした。

それはさておき、ライブ本編ですが、

メンバーは二年前と同じく、

ジンジャー
CJ
リッチ
スコット

の四人です。

オープニングは、

アルバム『¡Chutzpah!』の一曲目、

『The Jackson Whites』でした。

ライブ序盤は、

ジンジャーが歌いにくそうにしていたのが、

印象的でした。

その後、

ジンジャーの調子はどんどん上がっていき、

ライブ前半は、新作からの曲を中心に演奏し、

後半は往年の名曲メドレーというr、

二部構成のライブでした。

ライブ全編を通して、

相変わらず素晴らしかったです。

ジンジャーがその日着ていた、

迷彩のシャツが格好良くて、

よく覚えています。

途中、ジンジャーが、

飲んでいたジャックダニエル(たぶん)のボトルを、

客に渡して、客が回し飲みしていましたが、

私にも回ってきたのが思い出です。

(今考えるとかなり不衛生ですが)

『The Best of The Wildhearts』(1996/1997年発表)

1996年に本国イギリスで、

1997年に日本で発表された、

彼らのキャリア初のベストアルバムです。

このイギリス盤と日本盤、

実は中身が全く異なります。

私が本格的に、

ワイルドハーツのファンになったのは、

この日本盤にハマったからです。

日本盤は、単なるコンピレーションではなく、

バンドとしての彼らの素晴らしさが、

ぎゅっと濃縮された、

一つの作品と言えるクオリティです。

一方のイギリス盤は、

当時のレーベルとバンドの関係が、

決裂してしまった結果、

レーベルがバンドの許可を得ずに、

勝手に出したという、曰く付きの作品です。

そのため、

バンドの素晴らしさが伝わるような、

丁寧な作りになっておらず、

断然日本盤をオススメします。

イギリス盤

既述のとおり、

当時契約していたイーストウエストと、

バンドの関係が悪化した後に、

イーストウエストが、

勝手に出したベスト盤です。

まずジャケットが酷い。

心臓に矢が刺さっているデザインですが、

工夫や愛情が全く感じられません。

インナーにも、

メンバーの写真一枚すらありません。

収録曲は、全16曲です。

彼らの代表曲でも、

特に一般的に受け入れられやすいものは、

ある程度網羅されています。

目玉は、

『29x the Pain』の96年バージョンと

『Beautiful Me, Beautiful You』の初収録です。

この二曲は良い曲なので、

この点は評価できます。

最後の曲が、

なぜか地味な『Splattermania』です。

個人的には大好きな曲ですが、

ベストの最後にふさわしい曲ではないでしょう。

色々と書きましたが、

素晴らしい楽曲ばかりのバンドなので、

適当に作っても、

それなりのベスト盤になっているのが、

逆に凄さを感じる結果となっています。

日本盤

日本盤は二枚組で、全30曲です。

イギリス盤の約二倍です。

ジャケットデザインも素晴らしいです。

過去作品のスクラップですが、

猥雑なバンドの雰囲気、

まさに『The Wildhearts』が感じられる、

秀逸なデザインです。

構成としては、

一枚目が王道のグレイテスト・ヒッツ、

二枚目は、シングルのカップリングを集めた、

ファン向けの裏ベストアルバム、

といった感じで、

特に二枚目の充実度が素晴らしいです。

初心者は、

まずとっつきやすい一枚目を聴いて、

バンドにハマった頃に、

二枚目を聴いて更に深みにハマる、

そんな感じで楽しめます。

かく言う私が、

まさにそんな感じで大ファンになりました。

全曲レビュー(日本盤・Disc 2)

今回は日本盤のレビューになります。

一枚目は、

元の楽曲が収録されている、

オリジナルアルバムのレビューで、

それぞれ既に紹介しているので、

今回は二枚目のレビューのみとします。

それでは、全曲レビューです。

#1 Do Anything(Ginger)[7:10]

ギターのアルペジオで始まります。

このアルペジオがかなり長い。

二分以上も続きます。

これから裏ベストが始まるぞ、

という意気込みが感じられます。

ここでタメに貯めたあと、

いきなりポップな本編に突入します。

ギターリフも、歌も最高にキャッチーで、

これぞワイルドハーツな一曲です。

この曲はかなりビートルズっぽいです。

2000年代のワイルドハーツは、

音質が全体的にソリッドになり、

低音がかなり分厚くなりますが、

この時代の曲は、低音も割と緩めで、

全体的にジャギーな音作りが、

バンドの雰囲気にピッタリです。

個人的には、

この時代の方が断然クールに感じます。

#2 Mindslide(Ginger)[3:55]

続く二曲目もキャッチーな一曲です。

この曲を聴いていると、

やはりドラムの音なんかは、

顕著に2000年代との違いを感じます。

ある種、

ブリティッシュロックバンドらしい音、

とでも、言いましょうか。

途中コーラスハーモニーで遊びを入れたり、

天才ジンジャーならではの、

飽きさせないアレンジがあります。

もっと引っ張れそうな、

素晴らしいメロディですが、

短時間であっさり終わるところも、

潔くて良いですね。

#3 Beautiful Thing You(Ginger)[4:43]

三曲目は、ホーンも入って、

ややゴージャスな音作りです。

こんな素晴らしい曲ばかり、

冒頭から三曲続いたら、

誰だってファンになると思うんですけどね。

これまたビートルズっぽいナンバーで、

この二枚目の中でも、

最もキャッチーなコーラスを持つ一曲です。

ギターのエフェクトも神がかっています。

これはBIG MUFFでしょうか?

凄まじい歪みにも関わらず、

全体的にキャッチーに仕上げた、

奇跡的なバランスです。

この曲はジンジャーもお気に入りなのか、

後のライブでも比較的演奏されます。

この曲を、ハードロック・メタルに分類するのは、

完全に間違いで、ややハードな味付けの、

ポップソングといったほうが、

よっぽどしっくりきます。

#4 Got it on Tuesday(Ginger)[3:54]

素晴らしい曲が三曲続きましたが、

ここでやや地味な、繋ぎっぽい曲です。

この曲はまさに、

シングルのカップリングといった感じです。

そこまで捻りすぎず、

比較的ストレートで聴きやすい一曲です。

#5 Friend for 5 Minutes(Ginger)[5:00]

ノイズばりの強烈なギターから始まります。

その後のディストーションも強烈ですが、

低音が細いので、

意外とそこまでうるさくありません。

Aメロ・Bメロがダウナーな歌い方で、

サビでいきなりポップに振り切るあたりは、

もうセンスの塊、

天才としか言いようがないですね。

たしかこの曲は、

マーク・ケッズが参加していた時期の、

数少ない一曲だったはずですが、

彼のマジックが、

かかっていたのかもしれません。

比較的ギターソロが長めの曲ですが、

ツインギターの掛け合いも流麗です。

文句のつけようがない一曲ですね。

#6 29x the Pain (Original Version)(Ginger)[3:52]

来ました。

彼らの一番の人気曲であり超名曲。

このベストのイギリス盤と、

『Fishing for Luckies』の日本盤には、

この曲の、

96年バージョンが入っていました。

私は断然、このオリジナル版が好きです。

96年版はシンプル且つストレートな、

ギターロック風でしたが、

オリジナル版は鍵盤が入っていて、

全体的によりポップな作りです。

ジンジャーの歌唱は、

この時期、最高に脂が乗っており、

ポップながらも、

まさにバンド名を体現した、

ワイルドさを醸し出しています。

歌詞が泣ける一曲です。

#7 And the Bullshit Goes On(Ginger)[5:22]

ギターリフが凝りまくった、

作り込まれた一曲です。

展開が物凄くて、

普通のバンドなら、二・三曲に分けて、

小出しにしそうな良メロディが、

これでもかと一曲にぶち込まれています。

コピーすることすら、

難しそうな複雑な一曲です。

よく少ない楽器だけで、

ここまでバラエティに富んだものが、

出せるものだなと感心します。

ブートレグで、

この曲のデモを聴いたことがありますが、

ここまで練り上げられてはいなかったです。

やはり天才でも、

いきなり素晴らしい曲を作れるわけではなく、

相当な努力があるのだなと思い、

改めて感動しましたね。

#8 Bad Time to Be Having a Bad Time(Ginger)[4:55]

クリーントーンのギターから、

穏やかに始まるバラードです。

こういった、

歪ませないバラードは結構珍しいです。

特に演奏が素晴らしい一曲です。

ジンジャーのギタープレイ、

ダニーのベース、リッチのドラム、

全てが輝いています。

このバラードを聴いてもわかりますが、

やはりハードロックバンドというよりは、

ブリティッシュロックバンド、

それもかなりポップ寄り、

といったほうがしっくり来ますね。

アメリカンハードロックバンドには、

絶対マネできない、

ウエットなセンスが最高です。

#9 Can’t Do Right for Doing Wrong(Ginger)[5:20]

バラードに続くのは、

遊び心溢れる、

キャッチー且つポップでヘヴィな一曲です。

この時期のワイルドハーツは、

曲構成も最高ですが、

サウンドプロダクションも最高で、

いわゆる音のメリハリが凄まじいです。

プロデューサーが非常に良い仕事してます。

ギターを極端に歪ませることで、

全体のバランスを取っているようです。

1990年代のワイルドハーツマジックですね。

2000年代ワイルドハーツは、

一つ一つの音の粒が揃いすぎて、

正直なところ、この点の魅力は落ちました。

#10 Two Way Idiot Mirror(Ginger)[5:27]

イントロが、

インダストリアルっぽいアレンジですが、

中身は完全にワイルドハーツ節の一曲です。

『Earth vs the Wildhearts』に入っていそうな、

キャッチーなコーラスが素敵な

ポップな一曲です。

#11 S.I.N (In Sin)(Ginger)[1:40]

短めのパンクソングです。

『Fishing for Luckies』にもいくつかありましたが、

アルバムの中では、繋ぎ的な一曲です。

#12 Give the Girl a Gun(Ginger)[4:13]

ワイルドハーツ流ハードバラード、

といった感じです。

メロディが牧歌的で、

この辺は彼らのルーツを感じさせます

この曲では、ダニーのベースプレイが、

バンドの土台になっていることがわかります

#13 Girlfriend Clothes(Ginger)[5:45]

コンパクト・キャッチーなロック曲です。

『And the Bullshit Goes On』

あたりとリフが似ていて、

当時のジンジャーの作曲の傾向が見られます。

それでも、サビのメロディなんかは、

しっかり個性的です。

展開やアレンジに工夫が凝らされていて、

のちのジンジャーのソロで見られるような、

ポップ色が散りばめられています

#14 Sky Chaser High(Ginger)[2:14]

ややブルージーなバラードです

この曲は他のバラードとも趣が異なり、

ウェットになりすぎない爽やかな曲です。

もし歌声がジンジャーでなければ

ワイルドハーツの曲と、

気づかないかもしれません

#15 Geordie in Wonderland(Ginger)[2:49]

『If Life Is Like a Lovebank I Want an Overdraft』

のカップリングだった、

このバラードが最後の一曲です。

マンドリンを使った、

これも牧歌的な雰囲気のあるバラードです

ジンジャーのしゃがれ声が、

最高にマッチしています

天性の英国人のセンスですね。

彼らはギターリフが天才的に格好良く、

一番の魅力と言えますが、

歌のメロディだけでも、

これだけ素晴らしいものが書けるのは、

驚異的ですね。

採点

『The Best of The Wildhearts』 /98点
トトオ
トトオの
オススメ曲

Do Anything
Beautiful Thing You
29x the Pain (Original Version)
Geordie in Wonderland

総括

今回のレビューは、褒めてばっかりで、

客観性が保たれてないような文章に、

感じられるかもしれません。

何千枚とCDを聴いてきた中で、

上位の十枚くらいに入る作品なので、

致し方ないです。

『Fishing for Luckies』より一点低いですが、

『Fishing for Luckies』は、

突き抜けたバランス感覚を持った作品であり、

そのうえで、一枚の作品としても素晴らしいため、

ごくわずかに上としました。

このベスト盤の二枚目は、

驚異の完成度ですが、

やはりコンピレーションであるため、

アルバム一作として見た場合は、

やはり少しだけ弱いと思います。

終わりに

改めて聴き直しましたが、

この時期のワイルドハーツの素晴らしさは

全く色褪せることなく、

改めて、彼らと出会えて良かったと、

心から思いました。

次作は、解散前に発表された、

彼らの最大の問題作です。

 

【最大の問題作!THE WiLDHEARTS/全作品レビュー#7】ザ・ワイルドハーツ『Endless, Nameless』
トトオです。 7回目のワイルドハーツレビューです。 今回は彼らのキャリア上、 最大の問題作と言われる 『Endless, Nameless』のレビューです。 前回は記事はこちらです。 この記事は、 以下の方にオススメです。...

コメント

  1. 中村 誠吾 より:

    初めてブログ拝見しました!ワイルドハーツ好きとしては、ニヤリとさせられる内容で楽しませていただきました!先月の配信ライブ見ましたか?最高でしたね!僭越ながらワタシもブログでレヴューしてますので、よかったら見てください!http://seigomuchy.blog.fc2.com

    • トトオ より:

      中村様

      コメントありがとうございます。ブログ拝見しました。ビックリするくらい私と嗜好が似ていますね(笑)。
      これから私も書こうと思っている作品をレビューされていたので、楽しんで読ませていただきました。
      ワイルドハーツ配信ライブは知りませんでした(笑)。アーカイブ用のチケット購入できるみたいなので、買ってみます。

  2. ぼく、ブースカれす より:

    いつもの通り、図書館でワイルドハーツ(ザ・〜と入れるとヒットしなく、抜かすと出てきました…しかし、この名前だと佐野元春さんの曲までヒットしてしまいます^ ^)を調べたら、このベストアルバムと初期の2〜4作目までの3枚があったので、まずはこちらと、ジェフ・ベックの『ブロウ・バイ・ブロウ(旧邦題:ギター殺人者の凱旋)』にゾンビーズの『オデッセイ・アンド・オラクル』を借りて来ましたよ\(^o^)/

  3. トトオ より:

    >ぼく、ブースカれすさん
    ワイハまで図書館にあるんですね・・・驚きです。
    ジェフ・ベック良いですねー。ベタですが『Scatterbrain』が好きです。

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