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【最大の問題作!THE WiLDHEARTS/全作品レビュー#7】ザ・ワイルドハーツ『Endless, Nameless』

ワイルドハーツ ENDLESS, NAMELESS 写真 ブログ用 音楽

トトオです。

7回目のワイルドハーツレビューです。

今回は彼らのキャリア上、

最大の問題作と言われる

『Endless, Nameless』のレビューです。

前回は記事はこちらです。

【とりあえずコレ聴いて!THE WiLDHEARTS/全作品レビュー#6】ザ・ワイルドハーツ『The Best of The Wildhearts』
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この記事は、

以下の方にオススメです。

ワイルドハーツの最も尖った作品を聴きたい
「格好良い」ワイルドハーツの頂点的作品

Earth vs The Wildhearts vs 私⑦

前回書いた通り、2009年に

『¡Chutzpah!』のツアーに参加しました。

その後、私の記憶が曖昧なのですが、

『Renaissance Men』の来日公演を、

2019年に観に行くまでに、

一度は観に行った記憶があります。

2010年以降は、

オリジナルフルアルバムがない中でも、

アルバムの周年イベントでのツアーや、

『Hey! Hello!』やソロのツアーなど、

ジンジャーはかなり頻繁に来日していました。

しかし「バンドのオリジナルアルバムがない」

という状況は、

バンド・ワイルドハーツのファンの私には

結構辛いものがありました。

ソロアルバムもだいたい持っていますが、

どうしてもバンドの作品と比較すると、

聴く頻度は落ちてしまいます。

キャリアの長いバンドになってくると、

致し方のないことではあるのですが、

やはりニューアルバムがないと、

新しいファンが増えるきっかけも少なくなります。

この辺うまくやってるのは、

やはりアイアン・メイデンでしょうか。

【名曲ランキング!IRON MAIDEN/全アルバムレビュー】アイアン・メイデン『Iron Maiden(鋼鉄の処女)』
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『Endless, Nameless』(1997年発表)

97年発表のサードオリジナルアルバムです。

『Fishing for Luckies』

アルバム扱いではないので、

まだこれが三枚目なんですね。

タイトルは、

ご存知ニルヴァーナ『ネバーマインド』

シークレットトラックから取られたようです。

この曲、格好良いですよね。

全10曲の作品ですが、日本盤には、

エルヴィス・コステロのカバー曲が

付いて、全11曲になっています。

結局、このアルバムを出した後に

彼らは解散してしまいますが、

本作は、彼らの最大の問題作と言われます。

問題作の理由

「問題作」というか、

意図的して作った結果が、

異質な作品に仕上がったので、

そもそも、「問題」というのも

本来おかしい話ですが。

音量のバランス

全10曲(ボーナス除く)の、

音量のピークが敢えて揃っていません。

例えば、1曲目は頭の音量が小さく設定されており、

徐々に大きくなるようになっています。

2曲目は頭から大きくなっていますが、

それでも後半の方が音が大きいです。

その後も冒頭は音が小さく、

後半大きくなる曲や、

そもそも通しで音量が小さめの曲など、

意図的にバランスを崩しています。

そのため、楽曲の中身を楽しむには、

かなり集中して聴く必要があります。

メロディ

また、これまでとの違いとして、

楽曲がポップではないということです。

これまでは、一発で覚えられるような、

キャッチーなメロディが楽曲の核にありましたが、

本作は敢えてそれを打ち消すかのような、

ノイズを被せています。

ドラムはキンキンで、

インダストリアルメタルのようです。

またギターアンサンブルも、

ノイズサウンドでかぶせているため、

これまでのような

ツインギターのハーモニーも激減しています。

この作品前に

『If Life Is Like a Lovebank I Want an Overdraft』

という曲がありました。

敢えて歌をメロディックにしないアレンジでしたが、

本作は、この曲に近いところがあります。

ジンジャーは「ドイツ人っぽいだろ?」

とかいってましたが、そうでしょうか?

・・・。

とにかく、

意図的に彼らがこれまで売りにしていたところを

打ち消すような構成になっています。

私は、再結成後にこの作品に触れましたが、

やはり一番聴かないアルバムでした。

今回、レビュー用ということもあり、

20回以上改めて聴きましたが、

聴けば聴くほど不思議なアルバムです。

全曲レビュー(日本盤)

#1 Junkenstein(Ginger)[2:00]

初めてこの曲を聴いた人は、

オーディオが壊れたと思う可能性ありです。

ボリュームが、

段階的に上がっていく設定になっています。

肝心の曲自体は、ギターリフ・演奏共に格好良く、

歌もハマっていて格好いいです。

ノイズも聴き込むと、ハマる心地よさです。

但し、旧来ファンは度肝を抜かれたはずです。

#2 Nurse Maximum(Ginger)[4:24]

一点して甘いサビコーラスから始まり、

ほっとしたのも束の間、

続く爆音ギターリフが、驚くほど前曲とそっくりです。

今まで聴いたことのないような独特の構成で、

最後はノイズでかき消されるほどのバランスです。

後半は、ほぼ爆発音に聴こえるほどです。

#3 Anthem(Ginger)[3:20]

ダニーがメインのメロディを書いた一曲です。

シングルカットにもなっています。

ジンジャーが、クラッシュの『Janie Jones』

そのままのメロディと言っていました。

うーん、まんまですね。

それはさておき、キャッチーな一曲です。

但し、これまでのワイルドハーツの定番曲と、

肩を並べるほど、とまでは言えないでしょう。

ビデオは、めちゃくちゃ格好良いですけどね。

#4 Urge(Ginger)[4:54]

続く一曲は、ギターのジェフがボーカルです。

ジェフ、歌上手いですねー。

こちらもサビから入りますが、

ややダウナーなメロディが格好良いです。

このアルバムで一番好きですね。

バンドもこの曲は気に入っているようで、

のちのちまでライブで演奏します。

途中の展開も、ノイズを除けば、

以前のアルバムに近いような、凝った展開です。

しかし、なにか物悲しさを感じる雰囲気の一曲で、

バンドの終わりを感じさせます。

#5 Pissjoy    (Ginger)[5:00]

コーラスがキャッチーな一曲です。

ノイズで隠れ気味ですが、

これぞまさにジンジャーな一曲です。

この曲からノイズをとったら、

Silver Ginger 5でやっても、自然だったでしょうか。

ジョン・プールがスリムでビックリです。

#6 Soundog Babylon(Ginger)[5:09]

思いっきりボリュームが狂いまくった一曲です。

しかし、キャッチーなロックンロール曲で、

プラスアルファの展開があって、格好良いです。

『P.H.U.Q.』あたりに入ってても、

おかしくない曲ですね。

ただし、ここまでボリュームが狂っていると、

相当意識して聴かないと、

なにをやっているかすらわからないでしょう。

#7 Now is the Colour(Ginger)[4:22]

インダストリアルメタルばりの

キンキンドラムの一曲です。

この曲あたりで、

余程ワイルドハーツが好きな人でも、

もうおなかいっぱいになるような気がします。

というか、ワイルドハーツファンこそ、

この作品はちょっとしんどいかもしれません。

そもそも、彼らの一番の強みである、

キャッチーでメロディックな要素が、

かなり伝わりにくい作りです。

このアルバム、冷静に考えて、

たくさん売ろうという気がないですよね・・・。

#8 Heroin(Ginger)[5:22]

このアルバムの後半のハイライトがこの曲です。

非常にダウナーなコーラスと、

岩の塊のようなゴツゴツした

ノイズのアンサンブルです。

楽器というよりも、何かを叩きつけるような、

打撃音のようです。

これは実はカバー曲で、

The Dogs D’Amourの曲だそうです。

一時期ワイルドハーツに参加したドラマー、

バムがいたバンドですね。

この選曲の意図はなんでしょうか。

しかし、原曲も格好良いです。

まさに、バッドボーイズ・ロックンロールですね。

#9 Why You Lie(Ginger)[4:34]

インダストリアルメタルというより、

インダストリアルパンクとでもいえる一曲です。

かなり打ち込みアレンジも加わっていますが、

とにかくノイズと爆音です。

歌はキャッチーで、

ブリティッシュパンクっぽいのですが、

煩すぎて、聴いているのがしんどいくらいです。

#10 Thunderfuck(Ginger)[5:27]

本編最終曲は、

一転してメロウ且つダウナーな、

バラードと言っても良さそうな一曲です。

しかし、これまでのバラードと異なり、

インダストリアルなアレンジが重視されて、

仮にこの曲の中盤だけ聴いても、

彼らの曲とはまずわからないでしょう。

ワイルドハーツが

キャリア上最も尖っていたのはこの時期ですね。

ソフトバレエ藤井麻輝が、

実は参加していたと言われても、

全く驚きません。

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それくらい、やりたい放題曲をいじくってます。

#11 Pump It Up(Ginger)[1:40]

エルヴィス・コステロのカバー曲です。

これは文句なく格好良いですね。

この時期のスタイルで、

ブリティッシュロックのカバー集なんか出したら、

絶対ハマると思います。

というか、日本向けの、

『Anthem』のカップリング曲企画盤が、

まさにそんな感じでした。

企画盤『ANTHEM THE SINGLE TRACKS』

当時、本国では『Anthem』のシングルが、

いくつかのフォーマットで発売されました。
『Urge』も含む)

そのシングルのカップリング曲を集めて、

日本向けに発売されたのが、この企画盤です。

ちなみに、後年発売された、

『Endless, Nameless』のリイシュー盤には、

このCDが、おまけでそのまま付いています。

こちらのCDには、

本編に勝る楽曲がいくつかあります。

White Lies(Perry Baggs-Larry Napier)[3:05]

Jason And The Scorchersの曲のカバーです。

超格好良いです。

完全に原曲超えしてます。

ジンジャーも気に入っているのか、

たまに、ライブでもやるようです。

原曲も格好良いですねー。センス抜群です。

Zomboid(Ginger)[3:53]

こちらはカバーではないですが、

本編に入ったら間違いなくハイライトでした。

タイミングが悪く入れられなかったそうですが、

今の時代聴いても、

ここまでハードでキャッチーな曲は

なかなかないでしょう。

ロブ・ゾンビもビックリです。

完全ファン向けですが、おすすめです。

採点

『Endless, Nameless』 / 未採点
トトオ
トトオの
オススメ曲

Junkenstein
Urge
Soundog Babylon
Heroin

総括

既述のとおり、このレビュー用に、

20回くらい聴きましたが、

最終的に「採点する意味があるのか」

というところまで、行き着きました。

個人的な好き嫌いであれば、

やはり他の作品よりは聴かないので、

好きではない、で終わってしまいます。

しかし、聴けば聴くほど、

毎回異なる印象を持つ作品で、

他のワイルドハーツとの比較は、

無意味という結論になりました。

そもそも、彼らは意図的に

こういった作品を作り上げたわけです。

リスナーに受けそうなものに安易に走らず、

こだわり尽くして作り上げたという意味では、

ワイルドハーツのアーティスティックな面が

もっとも発揮された一枚と言えます。

終わりに

この作品で、

90年代のワイルドハーツは幕を閉じました。

2000年代の再結成後の彼らの楽曲も、

相変わらず素晴らしいものが数多くあり、

すべて追いかけていますが、

まず間違いなくジンジャーが天才だったのは、

90年代だったと思います。

その90年代の最終作が本作で、

ここまで突き抜けた結果、彼らは解散します。

次作以降は、

個人的にはリアルタイムで聴いた作品なので、

思い入れが深いものが多くなります。

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コメント

  1. ぼく、ブースカれす より:

    このアルバムもあったので聴いてみました
    「実験作?」と言う感じで、他のワイルドハーツのアルバムに比べて違和感がありますが、何回か聴くと好きになりそうな微妙な危うさが漂います(^^)

  2. トトオ より:

    >ぼく、ブースカれすさん
    この作品は、アーティストとしての彼らの最高傑作の一つだと思います。ここまで格好良い作品はなかなかないですし、やはり90年代の彼らは凄かったですね。

  3. 530andrew より:

    ん?問題作?!他のどのアルバムとも並列に語れる、まごう事なきTHE WILDHEARTSのアルバムなんですが。。。問題やったのは当時のバンド内の状態だけで、作品はどこを切ってもジンジャーらしさ爆発やと思います。

    • トトオ より:

      >530andrewさん
      コメントありがとうございます。
      久しぶりに聴き直しましたが、確かに完璧にワイルドハーツな作品ですね。
      この作品以前・以降で音が結構変わりますが、彼らが地上最強にクールなバンドだったのは、この作品までだったかなと思います。
      (いまだに良いバンドですが)

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