トトオです。
今回は、ザ・ウィラードの『GOOD EVENING WONDERFUL FIEND』をレビューします。
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この記事のポイントはこちらです。
ポイント
「御三家」の伝説的名盤
結論
先に本作の結論を述べます。
では、レビュー行ってみましょう。
メタラーにもクールな「80’s」
いわゆるインディーズ御三家
私は80年代前半の生まれです。ビジュアル系ムーブメント直撃世代です。
当時ビジュアル系バンドが、よくルーツとして語っていたのが、80年代の日本のインディーズバンドでした。
そのインディーズバンドでも、最も影響が大きかった三バンドを「インディーズ御三家」と呼んだそうです。
有頂天
THE WILLARD
そういえば、最近は「御三家」とかいう呼び方をあまりしませんね。
新御三家だと、この人が一番好きですかね。
ヤフオクのない時代とレア盤
90年代後半、すでに完全にメタラーだった私ですが、80年代の日本のロックにもハマりました。
90年代当時人気があった日本のバンドよりも、80年代のバンドの方が、洋楽と同じようにクールに思えました。
まさに80年代バンドであるインディーズ御三家にも興味を持ちましたが、その音源の入手には苦労しました。
ラフィン・ノーズはまだ手に入りやすかったのですが、ウィラードと有頂天だけは、なかなかお目にかかりませんでした。
(当時はヤフオクもなかった)
しばらく時間が経った2006年、そのウィラードの代表作『GOOD EVENING WONDERFUL FIEND』がリマスター再発されたため、即買いしました。
THE WILLARD『GOOD EVENING WONDERFUL FIEND』
最新型パンク in 80’s
本作は、ギターの音色やドラムのビートからは、The Smithsあたりに近いものを感じます。
しかし、彼らの活動開始時期は、The Smithsとほぼ同じです。
ここからは勝手な推測ですが、どちらも70年代パンクの影響を受けた結果、国境を越えて海外のバンドと自然にシンクロしたのではないでしょうか。
(ボートラにはThe Stoogesのカバーあり)
ライナーに収録されたJunのインタビューには、ビートルズから始まった音楽遍歴が語られていて、興味深いです。
それにしても、本作は絶妙に格好良い音です。
演奏は良い意味でラフな面があって、そこがまたインディーズのパンクバンドらしく生々しいです。
ライブの勢いがレコードから溢れ出ていて、特にタイトル曲の疾走感は格別です。
アルバム後半に進むに連れて、徐々にパンキッシュな楽曲が増えていくあたりも痺れます。
濃密な「海賊」コンセプト
ボーカルは太くて低い声質ですが、なぜか透き通るような清々しさがあります。
コーラスがキャッチーな楽曲が多いですが、このボーカルの声質のおかげで、甘くなくパンキッシュです。
そして、このバンドの最大の特徴が「海賊パンク」というコンセプトです。
そのコンセプトに基づいた、彼らのビジュアルと歌詞に通底する世界は独特です。
パンク特有の猥雑さが表現されつつも、どこか耽美的なムードも漂います。
この濃密な世界観を、80年代にすでに日本人が作り上げていたことに驚きです。
日本人ロックの発明と熱狂
90年代のバンドと80年代のバンドの決定的な違いは、
という点ではないでしょうか。
90年代の日本のバンドにとっては、洋楽よりも、80年代の日本のバンドの影響が大きかったはずです。
自分達がやりたい音楽は、日本の先人たちがすでにある程度網羅していたはずなので、その影響を受けて当然です。
しかし、70年代後半から80年代前半は、まだ日本のロックの歴史も浅く、洋楽の影響はタイムリー且つ多大であったはずです。
その意味において、当時の日本のバンドは、日本人が日本語でやるロックを発明したと言えます。
この点が、彼らの音楽に特別な格好良さを感じる、その理由ではないでしょうか。
そしてそのファンも、自分達と同じ国のアーティストを応援することに、熱狂したのでしょう。
この時代のバンドのライブ映像を見ると、なんとも言えない熱いものが込み上げるのはなんでしょうか。
(このラフィンのライブは泣ける)
バンドだけではなく、ファンも一緒に夢を見られた、貴重な時代だったのかもしれません。
オススメ名曲ランキング
オススメ
ランキング
1位『GOOD EVENING WONDERFUL FIEND』
2位『JOLLY ROGERS』
3位『NIGHTMARE』
終わりに
私は、御三家では圧倒的にラフィンが好きなのですが、ウィラードの本作は定期的に聴きたくなる不思議な魅力があります。
ちなみに、今回ほとんど語らなかった有頂天は、かろうじて『ピース』を聴くくらいで、全然詳しくなかったりします。
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