トトオです。
今回は、私がリアルタイムで初めて購入した
ワイルドハーツ作品を紹介します。
前回は記事はこちらです。
この記事は、
以下の方にオススメです。
いわゆるメロコア的な作品が好き
『Riff After Riff After Motherfucking Riff』(2002年発表)
2002年に発売された日本向けのEPです。
『Vanilla Radio』のシングルのB面に収録された、
楽曲を一枚にまとめた上で、新曲である、
『Stormy in the North, Karma in the South』を、
加えたコンピレーションです。
メンバー
CJ
Andrew “Stidi” Stidolph
Danny McCormack
この作品の直前のオリジナルアルバムは
『Endless, Nameless』になります。
当時はギターがジェフで、
ドラムがリッチでしたが、
本作ではギターがCJで、
ドラムがスティディになっています。
これはファーストアルバムである、
『Earth Vs The Wildhearts』時期の、
ラインナップです。
個人的には、これこそ
「クラシックラインナップ」という気もしますが、
通常言われている「クラシックラインナップ」は、
ドラムがスティディではなく、リッチですね。
メンバーのルックスは、
以前とかなり変わっています。
ジンジャーは、
かなり長めのドレッドヘアーになりました。
ダニーは髪型は変わりませんが、
かなり肥えました。
(ズボンのホックがしまっていない)
CJは短髪になって、かなり似合ってます。
(前はちょっとスラッシュぽかった)
スティディだけは、あまり変化ないです。
90年代までは、
割とカジュアルなファッションが多かったですが、
この時期から、
ライダースに黒のパンツといったように、
伝統的なロックンロールファッションに、
やや統一されます。
(実は『Endless Nameless』から?)
この時期から、
ジンジャーはつば広のハットをよくかぶりますが、
レミーのような雰囲気です。
ちょうどこの時期に、
モータヘッドのライブに参加している、
ジンジャーの動画がありました。
存在感がめちゃくちゃ自然ですねー。
ちなみにモーターヘッドなら、
この曲とか大好きです。
メロディックなギターのアルペジオが最高です。
音質
前作の『Endless, Nameless』は、
異質な作品だったため、それ以前と比較します。
それまでは、
ギターのエッジの効いたサウンドに対して、
ベースとドラムは割とシンプルな音作りで、
そこまで太い音ではなかったのすが、
本作からかなり全体的に、
整合性の取れたミックスになっています。
ギターもディストーションが整った、
メタルっぽい音になり、
ベースとドラムは重低音重視になりました。
スティディは、
高速タムロールが得意で手数も多く、
リッチよりも打音が軽めの印象です。
私はどちからというと、
リッチのドラムの方が好きですが、
スティディはものすごく器用なプレイヤーで、
どの時期の曲も完璧に叩く、
まさにプロフェッショナルという印象です。
(ライブパフォーマンスが素晴らしかった)
また本作では、
ボーカルハーモニーが強調されており、
ある種メロコアっぽく聴こえるパートすらあり、
これは好き嫌いが分かれるところかと思います。
全曲レビュー(日本盤)
#1 Stormy in the North, Karma in the South (The Wildhearts)[2:48]
新生ワイルドハーツの看板曲です。
このEP用に追加された唯一の曲ですね。
既述の通りですが、メンバーのルックスが
ロックンロール風になって、
このイメージにぴったりのPVです。
(モーターヘッドのTシャツ着てますね)
本EPのタイトル通り、
この作品はギターリフに力が入れられており、
展開はややストレートながら、
ギターリフとリズム隊の
フックの効いたコンビネーションに、
甘いボーカルハーモニーが乗る、
というのがこの時期の基本スタイルです。
この曲はこのスタイルで、
一番格好良い曲といえる出来で、
一曲目に持ってくるのは大正解でしょう。
#2 Putting it On (The Wildhearts)[4:20]
ヘヴィ且つキャッチーな、
コーラスが印象的な一曲です。
ギターのメロディが重層的で、
聴いていて大変心地よいです。
SEもふんだんに使い、アレンジも多彩です。
この時期の曲は、再開後初期の曲のためか、
かなり練られているものが多いですね。
#3 Looking for the One (The Wildhearts)[3:47]
本作で一番好きな曲はこれでしょうか。
先に言ってしまうと、
次作のアルバム
『The Wildhearts Must Be Destroyed』で、
一番好きなのも三曲目です。
(『Someone That Won’t Let Me Go』)
曲順も歌詞も曲調も、
本作と次作はどこか似ています。
(まあ時期がほぼ同じですけどね)
歌詞もちょっと切ない感じで、
ファンには響くのではないでしょうか。
コーラスワークが本当に分厚いのですが、
これはおそらくCJの存在感の賜物でしょう。
#4 Vanilla Radio (The Wildhearts)[3:17]
再開ワイルドハーツのシングルですね。
曲構成は非常にシンプルで、
キャッチーなサビが引き立つように作られていて、
オーディエンスも合唱できる、
ちょっとパンクっぽいナンバーです。
これまでのキャリアでも、
一番とっつきやすい楽曲ではないでしょうか。
次作でも四曲目に収録されますが、
本作とはややアレンジが異なっています。
どちらかというと、
このシングルバージョンの方が好きですね。
#5 O.C.D (The Wildhearts)[4:55]
ノリが軽快な、
ライブでの客のコーラスも想定した一曲です。
この曲は、中間パートがかなり凝っていて、
プログレメタルのような盛り上がりを見せます。
ただ『Sky Babies』で見せたような、
奇想天外・予測不能な展開ではなく、
あくまで、曲の延長で転がしていく感じです。
この曲あたり、特に顕著に感じますが、
2000年代のワイルドハーツは、
ギターもリズム隊も、
ややこの時代の流行に近い音、
ヘヴィロックっぽい音作りです。
(ギターはもろレスポールという感じの音ですが)
#6 Better Than Cable (The Wildhearts)[3:16]
高速ポップナンバーで、
三曲目と同様に特に好きな一曲です。
コーラスが気持ちよく、
この曲ではスティディの高速エイトビートが、
ばっちりハマってます。
こういう前のめりの速い曲は、
リッチよりもスティディの方が、
得意なように見えます。
#7 Let’s Go (The Wildhearts)[3:57]
最後の一曲ですが、このEPで一番地味な曲です。
メンバーの楽しそうな感じが伝わってくる一曲で、
再開したての高いテンションが伝わります。
アルバムの幕を閉じるにしては、
ちょっと物足りなさを感じますが、
そこはEPだから仕方ないでしょうか。
採点
Stormy in the North, Karma in the South
Looking for the One
Better Than Cable
総括
2000年代のワイルドハーツの一枚目になりますが、
ブランクを感じさせない素晴らしい出来です。
但し、フルアルバムではないことと、
勢いやノリに重きを置いた作品のため、
個別の曲の個性で見ると、
やはり少し弱い点は否めません。
しかし、相変わらず捨て曲が一切なく、
中でも数曲は、
名曲と言って良いクオリティです。
終わりに
ジンジャーはかねてから、
複数のフォーマットでシングルを出す場合、
それを全部買わないと曲が網羅できないのは、
ファンの経済的な負担だと公言していたので、
日本のファン向けに、
このコンピレーションを発売したのだと思います。
アルバムほどのボリュームはありませんが、
十分聞き応えがあり、中弛みもないので、
復活ワイルドハーツの一枚目としては、
かなり良い印象ではないでしょうか。
この時期のラインナップで作った楽曲は
相当な数になっていたようで、
本作の後にすぐにアルバムを発売し、
さらにコンピレーションも出すなど、
バンドとしてのワイルドハーツの充実度は、
相当なもののようでした。
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