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【一旦解散】SOFT BALLET 全アルバムレビュー④『FORM』(ビクター時代)

ソフトバレエ FORM 写真 ブログ用 音楽

トトオです。

今回は、ソフトバレエ、

ビクター時代の三枚目であり、

一時解散前の最終作、

『FORM』のレビューです。

前回はこちらです。

【ソフバの最高傑作】SOFT BALLET 全アルバムレビュー③『INCUBATE』(ビクター時代)
トトオです。 今回は、 ソフトバレエ、 ビクター時代の二作目、 『INCUBATE』のレビューです。 前回はこちらです。 この記事は、 以下の方にオススメです。 SOFT BALLETの最高傑作を聴きたい 邦楽のエレポ...

この記事は、

以下の方にオススメです。

90年代のソフバを締めくくりたい

FORM概要

メンバー三人の過去最高の一体感
最終作とは思えぬ突き抜けた清々しさ

1995年発表の本作は、

メジャーデビュー後の通算六枚目であり、

ビクター時代の三枚目となり、

一時解散前の最後の作品です。

前作『INCUBATE』から一年半ほど経過しています。

メンバーはお馴染み三人ですが、

ゲストに布袋寅泰が参加しています。

作曲者の割合は、

藤井麻輝    :1
森岡賢       :4
藤井・森岡共作 :2
藤井・遠藤共作 :1
藤井・森岡・遠藤共作 :1

となっており、全9曲です。

特筆すべき点は、

五曲目『U』と、

七曲目『LAST SONG』を除けば、

他全ての楽曲に、三人全員の名前が、

クレジットされていることでしょう。
(作詞・作曲・編曲で)

過去最高に、

共作が多かったということです。

ジャケットにはメンバーの姿はなく、

何やら荘厳な風景写真です。

私には深い意味はわかりませんが、

かつてなく抽象的なデザインです。

ちなみに、当ブログの写真には、

二枚のアルバムが写っているとおり、

私は二枚持っています。
(間違えて二枚買いました)

それはともかく、今作を最後に、

一時的に解散してしまうわけですが、

最終作とは思えない、

清々しい雰囲気が印象的な作品です。

これまでの作品は、

どれも作品のカラーがはっきりしており、

実験的・挑戦的なものが多かったですが、

本作はそれらを通過して到達した、

無我の境地のような、

不思議な透明感があります。

時代背景

前作『INCUBATE』の発表は1993年で、

本作『FORM』は1995年です。

ソフバの音楽ジャンルに近い、

他のミュージシャンは、

以下のような作品を発表していました。

1993:Depeche Mode / Songs of Faith and Devotion
1994:Nine Inch Nails / The Downward Spiral
1994:The Prodigy / Music for the Jilted Generation
1995 : KMFDM / Nihil
1995 : Aphex Twin / ..I Care Because You Do

1994年のNine Inch Nails『The Downward Spiral』ぐらいが、

完全に時代の分岐点ですね。

これ、当時ビルボードで2位だったそうです。

Nirvanaのカート・コバーンが亡くなる直前の時期ですが、

音楽業界(主にロック)が、

シリアスな雰囲気に、一転したように思います。

こういった世の中のムードの中で、

『FORM』は生まれ、

そしてソフバは(一旦)解散することとなります。

それでは、全曲レビューです。

楽曲レビュー

YOU (詞・遠藤遼一 / 曲・森岡賢 / 編・藤井麻輝)

一曲目にして、

本アルバム唯一のシングルカットです。

森岡賢らしい、ポップな曲ですが、

アレンジはかなりロックっぽいです。

ドラムとギターが生っぽくて、

ライブ感あふれるアレンジです。

後味があまり残らない、

さっぱりした感じの、

不思議なバランスの曲です。

このアルバムを象徴する一曲とも、

言えるでしょう。

PVからもわかるように、

彼らの自然体っぽい雰囲気が、

曲調にも表れています。

PHOENIX (詩・遠藤遼一 / 曲・森岡賢, 藤井麻輝 / 編・藤井麻輝, 森岡賢)

続く二曲目は、森岡氏・藤井氏共作の、

ダンザブルな一曲です。

これを二曲目に持ってきたことで、

とてもアルバムの流れが良いです。

ギターのノイジーな、

カッティングが格好良いです。

音使いのセンスが抜群で、

25年前の曲なんて信じられないですね。

当時の邦楽との比較ではなく、

やはり洋楽と比較すべきですね。

グローバルでも十分通用しそうな、

ハイクオリティです。

これまでの作品は、どれも冒頭二曲くらいで、

カラーが定まった感じがあったのですが、

今作はど真ん中というか、

ニュートラルな感じです。

PERFECTION (詩・遠藤遼一 / 曲・森岡賢 / 編・森岡賢, 藤井麻輝)

森岡賢の一曲です。

個人的には、

本作で一番好きなのはこれでしょうか。

ここ数作で定番だった、

アジアンチックなあやしげなメロディに、

キャッチーな歌メロが乗ります。

これまた、遠藤遼一の歌詞が、

めちゃハマってます。

やや宗教チックな雰囲気もあり、

普通に考えたら、

とっつきにくいはずなんですか、

絶妙にポップなメロディなので、

自然と聴けてしまいます。

RIDE (詩・遠藤遼一, 藤井麻輝 / 曲・森岡賢, 藤井麻輝, 遠藤遼一 / 編・藤井麻輝, 森岡賢)

この曲は、なんと三人で作曲しています。

前半三曲と比べると、

ややディープ路線です。

ダーク・ダウナーな歌ですが、

『YOU』同様に、

乾いたスネアドラムとハイハットによる、

小気味良いリズムがループしていて、

不思議と重たくありません。

U (詩・藤井麻輝 / 曲・藤井麻輝 / 編・藤井麻輝)

藤井氏による一曲です。

さすが、期待を裏切らないと言いますか…。

もし何も知らずに、

ヘッドフォンか何かで聴いていたら、

心臓止まりそうになるでしょう。

この曲を、アルバム中盤のここに、

敢えて配置しています。

最終作でも、ソフトバレエはなんぞや、と、

リスナーに問いかけているようです。

NO-ONE LIVES ON MARS (詩・遠藤遼一 / 曲・藤井麻輝, 遠藤遼一 / 編・藤井麻輝)

藤井氏・遠藤氏による作曲です。

英語詞のムーディーなバラードです。

これを聴いていると、

ピンク・フロイドの『エコーズ』を、

思い出します。

これは布袋寅泰がゲスト参加しているんですね。

ゲスト参加曲とは思えないほど、

渋すぎる一曲です。

LAST SONG (詩・森岡賢 / 曲・森岡賢 / 編・森岡賢, 藤井麻輝)

ここで一転して、

まさに森岡節な一曲です。

歌詞も森岡賢です。

タイトルも、ずばり『LAST SONG』

過去作でも、

こういった透き通るような、

美しい曲はいくつかありましたが、

この曲は力強さが感じられます。

このアルバムの中でも、

特に歌詞が素敵な曲ですね。

女声コーラスとホーンのアレンジが、

とても洗練されています。

タイトルどおり、

しみじみ寂しさを感じさせる一曲です。

JAIL OF FREEDOM (詩・遠藤遼一, 藤井麻輝 / 曲・藤井麻輝, 森岡賢 / 編・藤井麻輝, 森岡賢)

藤井氏・森岡氏共作です。

本アルバム唯一の呪文曲です。

前曲でこの作品の幕を閉じても、

ある種自然な流れでしたが、

この順番でこういう曲を入れてくるあたりが、

やはりソフトバレエですね。

タイトルも意味深です。

しかし、本作はこういった曲でも、

リズムが軽快なため、

ポップな雰囲気もあり、面白いです。

ROMAN (詩・遠藤遼一, 藤井麻輝 / 曲・森岡賢 / 編・藤井麻輝, 森岡賢)

森岡氏曲ですが、

シンプルなドラムと、

ギターのアルペジオが気持ちいい一曲です。

この曲が最後にあることで、

とても清々しい気持ちで、

アルバムの幕を閉じます。

ソフトバレエ初期の、

エレクトロ・ボディ・ミュージック路線からは、

想像できないような、

ストレートなロック曲です。

オススメ曲

これで全9曲が終わりました。

これまでの数回のレビューで、

彼らの作品を、順を追って聴いていました。

中でも、本作は、

過去最高にあっさりした味付けの作品です。

森岡賢の曲は、

明らかに終わりをイメージしたものが多く、

藤井麻輝作品は、

どこか達観したような雰囲気があります。

この作品で特に印象的なのは、

遠藤遼一の詩です。

エレポップ・ダンス・インダストリアルテクノの上に、

日本語(一部英語)の歌詞を乗せるというのが、

ソフトバレエにおける、

彼のチャレンジだったと思います。

今作では、ある種自然体というか、

遠藤遼一の素の部分を感じさせるような、

歌詞と歌唱を披露しました。

ソフトバレエは、

音楽的にはかなり実験的、

挑戦的なことを続けてきたわけですが、

その軸となったのは、

遠藤遼一の詩であり、歌でした。

歌唱は元々上手かったのですが、

作品を重ねるにつれて、

遠藤遼一というアーティスト自身と、

彼の生み出す詩の、

一体感が強くなったように感じます。

トトオ
トトオの
オススメ曲

『YOU
『PHOENIX
『RIDE
『ROMAN

終わりに

この作品が発表されたのは、

1995年の4月です。

邦楽では、音楽番組が全盛期で、

『WOW WAR TONIGHT』がバカ売れしていました。

日本では、音楽を聴くという行為が、

一番ファッションに近い時代だったかもしれません。
(私は小室哲哉の大ファンですが)

しかし、洋楽ロックは、

シリアスな雰囲気に突入した時代であり、

そんな中、ソフトバレエは解散しました。

前作『INCUBATE』で、

自分たちの音楽を突き詰めた彼らが、

どこか浮ついた日本の音楽業界に、

最後の置き土産を残したのでしょうか。

これまでのソフバ作品を聴くと、

「○○っぽい」、

といった感想を持つことが多かったのですが、

この作品は、

「ソフバっぽい」としか言いようがないです。
(ピンク・フロイドを引き合いには出しましたが)

彼らのオリジナリティが、

自然な形で表現されたのが、

この『FORM』だったかもしれません。

本作で、

一旦の終わりを見るソフトバレエですが、

数年後、期間限定の復活を遂げます。

【史上最もポップなソフバ】SOFT BALLET 全アルバムレビュー⑤『SYMBIONT』(ワーナー時代)
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