【ARTIST INDEX】アーティスト名記事検索はコチラ
スポンサーリンク

【名曲ランキング!IRON MAIDEN/全アルバムレビュー】アイアン・ メイデン『The Final Frontier(ファイナル・フロンティア)』

IRON MAIDEN ファイナル・フロンティア 写真 1 ブログ用 音楽

トトオです。

今回は、2010年代に発表された二枚の作品のうち、

2010年に発表された一枚目になります。

前回記事はこちらです。

この記事は、

以下の方にオススメです。

リラックスして職人芸を楽しみたい
デイヴの真骨頂を知りたい
21世紀版『サムホエア・イン・タイム』

概要『The Final Frontier(ファイナル・フロンティア)』(2010年発表)

紛らわしいタイトル

2010年に発表された、通算15枚目のアルバムです。

前作からは約4年ぶりで、

メイデンのキャリア史上最長のインターバルです。

メンバーもプロデューサーも、

2000年代から変わりません。

前作と本作の間に、『フライト666』という、

ライブツアーのビデオを発表しています。

キャリア的には、

完全にベテランの安定期に入ったバンドですが、

これまで行ったことのない国でもライブを行い、

精神面で若返ったようです。

インターネットの影響もあり、

彼らの人気は再び世界的に高まっており、

本作は好調なセールスを記録しました。

個人的には、

発表までのインターバルが長かったことと、

タイトルに『ファイナル』と入っていたので、

「いよいよ最終作か」と思いました。

実際、ブルースはインタビューで、

わざとそういう思わせぶりなタイトルにした、

と言っていました。
(EMIとの最終作だから?)

楽曲構成

全10曲です。

スティーヴ単独:1
エイドリアン・スティーヴ:3
デイヴ・スティーヴ:1
ヤニック・スティーヴ:1
ブルース・ヤニック・スティーヴ:1
ブルース・エイドリアン・スティーヴ:3

相変わらず、

ニコ以外のメンバーが満遍なく参加しています。

スティーヴ全曲参加も変わりありません。

エイドリアンが6曲参加と、存在感が増しました。

収録時間

注目すべきは曲時間で、

アルバム全体で76:34と、過去最長です。

かつて、

CDの最大収録時間は74分

と言われていましたが、

それを超える大長編になっています。

アルバムジャケット

限定メタル缶

私の買った国内盤は、

「限定メタル缶」という謎の仕様で、

CDが缶に入っています。

IRON MAIDEN ファイナル・フロンティア 写真 2 ブログ用

これはなにか良いことがあるのでしょうか?

メタリカの「メタリ缶」は、

洒落がきいてるのがわかるのですが、

こちらの缶は意味がよくわかりません。

開けにくいし、しまいにくいし・・・。

復活 メルヴィン・グラント

ジャケットデザインですが、

『バーチャル・イレヴン』以来の

ごちゃごちゃデザインです。

と思ったら、

メルヴィン・グラントのデザインでした。

実際、彼が担当した、

オリジナルアルバムのデザインとしては、

『バーチャル・イレヴン』以来とのことです。

宇宙エディーですが、

コミカルな雰囲気の絵です。

これを見たときは、率直にダサいと思いました。

『フィア・オブ・ザ・ダーク』は、

格好良かったんですけどねえ。

全曲レビュー

国内盤

#1 サテライト 15・・・・・ ファイナル・フロンティア – Satellite 15… The Final Frontier (Smith/Harris)[8:40]

エイドリアンとスティーブの共作です。
(正直なところ、今回初めてPVを見ました)

このアルバムの印象は「一曲目が強烈」

という人が多いのではないでしょうか。

とにかく、やたらイントロが長い曲です。

インストだけで2分半も続きます。

このイントロが『サテライト15』部分です。

溜めに溜めまくったあと、

いざ始まる『ファイナル・フロンティア』は、

パンチが弱く、テンポも遅く、

肩透かしを食らいます。

このアルバムの難易度は、

この一曲目のせいで上がっています。

もはや大ベテランのバンドなので、

オープニングだからといって、

飛ばす必要もないのかもしれませんが。

#2 エル・ドラド – El Dorado (Smith/Harris/Dickinson) [6:49]

スティーヴ・エイドリアン・ブルース、

トリオの一曲です。

まるで一曲目終わりから、

ライブで繋げたかのようなイントロです。

この曲もミドルテンポ且つ、

あまりパンチのないリフなので、

頭二曲続いて、やや押しにかけます。

正直なところ、

『死の舞踏』『レインメーカー』のような、

鋭い曲が欲しかったところです。

ただし、期待せずにリラックスして聴くと、

この曲もメイデン以外の何者でもなく、

十分楽しめます。

明るく軽快なノリの演奏と、

メンバーの楽しそうな雰囲気が、

この作品の醍醐味と言えます。

#3 マザー・オブ・マーシー – Mother of Mercy (Smith/Harris) [5:20]

スティーヴとエイドリアンの共作です。

ギターのコードストロークで、

ブルースが渋く歌い始めて、

途中から、

ディストーションサウンドにスイッチします。

本作の中では短めの曲になりますが、

少々没個性です。

ただ、ギターのエフェクトが、

すっきりして抜けが良く、

個人的には、

『サムフェア・イン・タイム』を思い出します。

あのアルバムには、

こんなまったりした曲はありませんでしたが。

#4 カミング・ホーム – Coming Home (Smith/Harris/Dickinson) [5:52]

スティーヴ・エイドリアン・ブルース、

トリオの二曲目ですが、

このアルバムで最も良い曲の一つです。

ギターのアルペジオの音色がとても綺麗です。

ブルースの歌もメロウで、

演奏も独特のグルーヴ感ありで、

聴き応えがあります。

前作同様、ニコのドラムの音がでかいです。

ブルージーなギターソロは、

デイヴからエイドリアンに繋げていますが、

このアルバム屈指の出来です。

改めてメイデンって、

四曲目に良いやつ持ってきがちですね。

#5 ジ・アルケミスト – The Alchemist (Gers/Harris) [4:29]

来ましたヤニック疾走曲

スティーヴとブルースとの共作です。

このアルバムは頭からミドルテンポの曲ばかりで、

ここに来てようやくやや速い曲ですが、

あまり印象に残りません。

実際、この曲に似た雰囲気の曲は、

『パワースレイヴ』辺りにもあった気はしますが、
(特にベースライン)

ベテランになったメイデンには、

この手の曲はあまりハマらないと思います。

それとも、単に曲が弱いのでしょうか。

この曲を冒頭に持ってこないあたりは、

彼らもかつてのメイデンとは違う作品を

作ろうとしていることは、想像できます。

#6 アイル・オブ・アヴァロン – Isle of Avalon(Smith/Harris)[9:06]

エイドリアン・スティーヴの一曲です。

長い曲ばかりのこのアルバムでも、

二番目に長い曲です。

この曲も序盤、タメにタメます。

歌はあまり残らないのですが、

プログレばりに複雑な展開で膨らませます。

これがなかなか格好良いです。

ただ、この曲がアルバム中盤にあることで、

確実に中だるみしてしまってますね。

#7 スターブラインド – Starblind (Smith/Harris/Dickinson) [7:48]

例のトリオの一曲です。

前の曲がやや緊張感にかける反動か、

この曲はアクセントになるポイントが豊富です。

ブレイクして、

途中からディストーションを入れるパターンは、

前作にもありました。

この曲は歌がかなり格好良く、

トリプルギターも活かして、迫力大です。

ギターソロを全面に出した一曲ですが、

やはりベテランのワザと言った感じがします。

これくらいの曲が前半にもっとあったら、

このアルバムの印象が変わったと思うのですが。

とにかく、このアルバムの隠れ名曲は、

間違いなくこれですね。

#8 ザ・タリスマン – The Talisman (Gers/Harris)[9:03]

ヤニック・スティーヴの曲です。

ヤニック必殺アコギアレンジです。

『死の舞踏』以降、

ヤニックに期待してしまうのは、

やはりこういうアレンジですね。

前作にも似たような曲はありましたが、

アルバムに一曲あると良いアクセントになります。

ただ、歌メロはいつかどこかで聴いた感じで、

よく言えば定番、悪く言えば没個性です。

#9 ザ・マン・フー・ウッド・ビー・ア・キング – The Man Who Would Be King (Murray/Harris)[8:28]

来ました、デイヴ曲。

スティーヴと共作です。

正直、このアルバムで一番好きな曲はこれです。

デイヴは2000年代以降の作曲のキーですね。

この曲は頭からキーボードをふんだんに使い、

このアルバムでも一番アレンジが凝った曲です。

歌も演奏も文句なく格好良く、

特にギターのアレンジが素晴らしいです。

中盤テンポチェンジしますが、

ここのメロディとギターソロ、

デイヴのものと思われるスライドバー奏法、

これまでのメイデンで聴いたことのない、

かなりポップなアレンジです。

ニコとスティーヴのリズム隊のプレイは、

これぞまさにアイアンメイデンです。

この曲も『サムホエア・イン・タイム』の

現代版のような印象です。

個人的に、この曲のおかげで、

このアルバムの評価は劇的に上がりました。

#10 ホエン・ザ・ワイルド・ウィンド・ブロウズ – When the Wild Wind Blows (Harris)[10:59]

スティーヴ単独曲です。

このアルバムのラストにふさわしい、

2010年代のメイデンのアンセムです。

約11分と、アルバム最長の曲です。

シンプル且つストレートで、

歌のメロディを前面に出した作りです。

他の曲と比較して、

この曲が頭一つ飛び抜けています。

個人的には、メイデンが作ったバラード曲でも、

ナンバーワンだと思います。

スティーヴが書いた歌詞も面白くて、

聴き応えあります。

この長ったらしいアルバムは、

最後まで聴き込まないで、

仕舞い込んだ人も多いと思いますが、

これを聴かないのはもったいないです。

採点 / オススメ名曲ランキング

『The Final Frontier(ファイナル・フロンティア)』 /90点
トトオのオススメ名曲ランキング
トトオの
オススメ名曲
ランキング

1位『The Man Who Would Be King』
2位『When the Wild Wind Blows』
3位『Coming Home』

総括

この作品は、冒頭の曲が退屈なので、

アルバム全体を通して、

しっかり楽しんだ人がどれくらいいるのかな、

と少々疑問です。

本作は中盤から後半にかけて、

飛び抜けて素晴らしい曲がいくつかあります。

Coming Home
The Man Who Would Be King
When the Wild Wind Blows

アルバム一枚分の価格なら、

この三曲だけで充分元が取れるでしょう。

このアルバムを最初に聴いた時は、

完全にファン向けの一枚だな、

と思いました。

新しいものがない、と。

そのため、たいして聴き込まなかったのですが、

しばらくしてまた聴くようになると、

素晴らしい曲がいくつもあることに気づきました。

特に『The Man Who Would Be King』は、

過去のメイデンの名曲ラインナップと比べても、

全く遜色なく、新しいエッセンスもあり、

特にお気に入りです。

終わりに

前作は非常に気合の入った作品であり、

リスナーにも、

それなりの心構えが求められるものでした。

本作は、大御所メイデンの新しいチャレンジを、

リラックスして楽しめる作りになっています。

アルバム通して聴くと、

間延びしてしまう可能性がありますが、

メイデンファンなら、

確実に楽しめる曲がいくつもあります。

次作は、現時点(2020年)での最新作になります。

【おまけコラム/メイデンと私⑮】前へ

『ブレイヴ・ニュー・ワールド』ツアー。

ZEPP OSAKAで、チケットの番号順に入場し、

前から三ブロック目あたりに入りました。

いよいよ客電が落ちようというときに、

友人が言いました。

「前行こう」

ふと前を見ると、

一つ一つのブロックそれぞれに、

後方ややスペースがあるのが見てとれました。

フロアの入場時は、

チケットのナンバーによって、

入るブロックが分けられていましたが、

客が大体入ったあとは、何も区切られておらず、

自由に人が行き来していました。

一瞬躊躇しましたが、

友人はもう一人で人混みをかき分けて、

動き始めました。

慌ててついていくと、

気付けば一番前のブロックの後方です。

意外と空いています。

と、思ったのも束の間、客電が落ちて大歓声です。

SEが鳴り止み、目の前数メートルの距離で、

エイドリアンが、

『ザ・ウィッカー・マン』を弾き始めました。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました