トトオです。
メイデンレビュー第6弾です。
前回の記事はこちらです。
今まさにこのレビュー用に、
『Somewhere In Time』を聴いてますが、
最高に気分が良いです。
過去作から、
順に歴史を追って聴いていくと、
バンドの成長していく経過も、
楽しめます。
「もうメイデンは聴き飽きた」
と感じている人は、
是非試してください。
この記事は、
以下の方にオススメです。
サイバーパンクが好き
ジャーマンメタルやメロスピしか聴かない
概要『Somewhere In Time(サムホエア・イン・タイム)』(1986年発表)
1986年発表の六作目です。
前作からは二年近く経って、
発表されました。
『頭脳改革/Piece Of Mind』から、
ここまでの三作、
メンバーは同じ布陣です。
結論から言ってしまうと、
この作品か、
次の『第七の予言/Seventh Son of a Seventh Son』が、
アイアン・メイデンの最高傑作です。
本作は、前作同様全八曲です。
やはり長い曲が多くて、
7分台 二曲
6分台 一曲
と、6分以上の曲が四曲もあります。
これらの長い曲は全て、
スティーブ単独です。
比較的短い、5分台の三曲が、
エイドリアンの単独曲で、
残り一曲が、デイヴとスティーブの共作です。
珍しく、ブルースの曲がありません。
このアルバムは、
スティーブの大作志向の曲と、
エイドリアンのキャッチーな曲の、
コントラストが素晴らしいです。
また、
アルバムジャケットが最高ですね。
メイデンのアルバムジャケットは、
素晴らしいものが多いですが、
その中でも本作は、
一二を争うクオリティです。
では、全曲レビューです。
全曲レビュー
のっけから、
シンセサイザーで幕を開けます。
(ギターシンセらしいですが)
ジャケットにある、
ブレードランナー風エディにぴったりの、
近未来サイバーパンク感が出てます。
途中から一気にテンポチェンジして、
畳みかけます。
ギターの音色の影響もあり、
この作品はあまりヘヴィな感じがしません。
スネアやバスドラも、
音が軽く、抜けが良いです。
ブルースのボーカルも絶好調で、
伸び伸び歌うサビが、
気持ちいいです。
スティーブのベースは、
過去最高に、バキバキならしています。
褒めるところがいくらでもある曲で、
メイデンどころか、
メタルの歴史上、
最高のオープニング曲と言えます。
アイアン・メイデンで、
私が一番好きな曲はこれです。
エイドリアン単独の曲ですが、
彼のメロディセンスが、
爆発しています。
本作は音のバランスが良く、
このキャッチーな曲と、
抜群にマッチしています。
イントロの、
開放弦を使ったギターリフは、
メイデン自身、
この後も似たような曲を書きますが、
これを超えるものはありません。
他バンドも、
近いメロディを使うことがありますが、
全てこの曲の亜流に思えます。
中盤にある、
ギターソロ前にベースが引っ張っていく展開も、
鳥肌モノですね。
この曲を聴いて好きになれないなら、
メイデンどころか、
ハードロック・メタル全般に無理でしょう。
というか、
音楽自体向いてないかもしれません。
(これは言い過ぎ)
続く三曲目も、
エイドリアン単独の曲です。
ミディアムテンポで、
ベースとドラムのコンビネーションが、
格好いいです。
このアルバムは、
ギターの音色がカラフルなので、
その分ベースが目立ちますね。
素晴らしいメロディの曲で、
特に中盤の展開が凝っています。
ギターソロ終わりの、
アルペジオでメロウに弾くところは、
前作の『Rime of the Ancient Mariner』あたりで、
得たテクニックでしょう。
もっとひっぱれそうな感じですが、
敢えてやらずに、
潔く終わるところも良いです。
この時期のエイドリアンは、
間違いなく天才ですね。
スティーブ単独曲です。
コラム『メイデンと私』で書きましたが、
メイデンで最初にハマったのはこの曲です。
長尺メイデン曲の、
一つの完成形と言える出来で、
歌メロや、中間のコーラスパート、
ギターソロ、すべて完璧です。
スティーブ単独の曲ですが、
今日日のジャーマンメタルの原型は、
これではないでしょうか。
頭のギターから、サビまで、
メロディの洪水のようです。
正直、この曲はメロディック過ぎて、
ややダサく感じます。
このアルバムは、
他の曲が素晴らしすぎるため、
そう感じるだけであって、
曲単体では、驚異の完成度です。
メイデンファンでなくても、
ジャーマンメタルやメロスピ好きなら、
この曲から聴くと、良さそうです。
本アルバム中、エイドリアンの三曲目です。
今作の彼の三曲の中では一番地味で、
テンポも遅いです。
しかし、アルバム後半の、
良いアクセントになっています。
レコードだと、B面の二曲目であり、
まさに絶好の位置と言えます。
こういう、やや力を溜めたような曲だと、
特にドラムとベースの素晴らしさが際立ちます。
ここに来て、
デイヴとスティーブの共作です。
このアルバムで一番短い曲です。
デイヴの曲なのに、
普通に格好良いです!
(失礼)
歌メロよりも、
ギターのメロディが目立つ曲ですね。
アルバム中では、
『The Loneliness of the Long Distance Runner』に近くて、
これもジャーマンメタル風の疾走曲です。
他の曲と比べて、
比較的シンプルで速い曲で、
こういう曲が後半に入っているのは、
アルバムのバランスとしていいですね。
ラストは、
スティーブ単独の長編です。
前作の『Powerslave』や、
『Rime of the Ancient Mariner』路線です。
途中から、かなり大仰な展開です。
そもそも、タイトルからして大仰ですが。
ギターの音色が工夫されているので、
こういう長尺曲でも、
メリハリが効いていて、
退屈させません。
採点 / オススメ名曲ランキング
ランキング
1位『Wasted Years』
2位『Heaven Can Wait』
3位『Sea Of Madness』
4位『Caught Somewhere In Time』
総括
このアルバムは、
本当に隙がないというか、完璧な作品です。
退屈なメロディが一つもないどころか、
無駄が一切ありません。
アレンジのおかげか、
やや軟派な雰囲気で、
初期のような恐ろしげな雰囲気は皆無です。
あの路線のままだと、
やはり曲調が限定されるので、
賢明だと思いますね。
最初に書きましたが、
本作と次の『Seventh Son – 』は、
メイデンの最高傑作です。
彼らはどの作品も素晴らしく、
駄作は一枚もない、
驚異的なバンドですが、
その彼らのキャリアでも、
これほど凄い作品はありません。
終わりに
私は、メイデンのキーマンは、
エイドリアン・スミスだと思っているので、
彼が『Seventh Son – 』後に、
一度メイデンを抜けたことで、
メイデンは一旦終わったと思っています。
彼は2000年にブルースと一緒に復帰して、
また作曲に関わります。
やはり復活後は、
黄金期とそのまま比較できません。
もし『Seventh Son – 』後に、
エイドリアンが抜けずに、
もう一枚あったら、
更に素晴らしいものが、
できたのではないでしょうか。
【おまけコラム/メイデンと私⑥】待ちに待った新作
95年のブレイズ・ベイリー/Blaze Bayley加入後の第一作、
『X ファクター/The X Factor』の時期に、
私は彼らのファンになりました。
このアルバムから入ったわけではなく、
その時期に出たベスト(『Best of the Beast』)から入ったので、
ブレイズがボーカルであるということは、
当時そんなに意識しなかったです。
ファンになって数年経った1998年、
待望の新作、
『ヴァーチャル・イレヴン/VIRTUAL XI』が、
発売されます。
当時住んでいた街に西友があり、
その中にレコード屋さんがあったので、
そこに買いに行きました。
まず、ジャケットを見て驚きましたね。
エディがブサイクで…。
全体的に絵も気持ち悪くて、
テンション下がりました。
国内盤はボーナスディスク付きで、
歴代のアルバムジャケットの書かれた、
卓上カレンダーが付いていました。
インナーを見ると、
メンバーがサッカー好き、
というのだけは、伝わりました。
肝心なアルバムの内容はというと…
作品別レビューの順番が来たら、
その時にレビューします。
当時のBurrn!の評価は、
「前よりはまだマシ」とか、
「スティーブが少しはブレイズに合わせた」とか、
「なんとか我慢したら聴けるんじゃない?」、
といった散々な評価でした。
(うろ覚えですが)
そして同年11月、
メイデンを初めて観に行きます。
コメント
『Wasted Years』はメイデンに限らず、ヘヴィ・メタルの曲では特にキャッチーで、食わず嫌いの方でも純粋に「格好良い」と思える名曲ですね
毎回、エディは色々とコスチュームやシチュエーションを変えてジャケットに登場していますが、サイバーパンク風(?)のこのアルバムジャケットは秀逸であります(^^)
歴史に民謡,ジャズ,ベンチャーズ,エルヴィスが好きな私の父(83歳)は、『戦術』のジャケットと、各曲の邦題を見て「外国人でもここまで日本の戦国時代が格好良く見えるのだな」と感心していました(^^)
>ぼく、ブースカれすさん
私がメイデンで一番好きな曲は『Wasted Years』ですね。これくらい凄い曲は彼らでも他にないです。
確かに、『戦術』のエディは良い意味合いで日本を表現してくれていますよね。