トトオです。
今回のオールタイムベストは、エイフェックス・ツインの『Richard D. James Album』です。
前回の記事はこちらです。
今回の記事のポイントはこちらです。
ポイント
エイフェックス史上最強ポップ
ロックとテクノの橋渡し
今となっては、なぜこの作品に触れたか、そのきっかけが思い出せません。
しかし、テクノ・エレクトロニカをほぼまだ聴いていない時期に、この作品と出会いました。
この作品を聴いてから、急速にエレクトロニカにハマったことは覚えています。
本作の特筆すべきところは、テクノ・エレクトロニカというジャンルでありながら、ロックリスナーにもアピールできる要素が多数ある点です。
Aphex Twin『Richard D. James Album』(1996年)
圧倒的なその存在感
ジャケット一つとってもそうですが、一般的なテクノアーティストと比較して、彼のキャラクターは強烈です。
他ジャンルのリスナーにもわかりやすく個性的であり、存在自体がすでに魅力的です。
当時、私と似たような、サブカル趣味の音楽好きな友人には、曲を知らなくても、その存在は知っているという人が多くいました。
このような現象は、プロディジーのような、パンク・ロック的なアプローチを取った例外を除いて、テクノアーティストとしては希少でしょう。
生まれて初めて聴いたエレクトロニカが本作、という人も相当多いのではないでしょうか。
一線を画す曲時間と構成
いわゆるテクノビッグフォーや、クラブミュージック全般に言えることですが、基本的に曲時間が長いです。
この点は、ロックのフォーマットとの大きな相違です。
そのため、テクノに親しみのないリスナーにとって、これはロック、これはテクノ、というように、ある程度はっきりした線引きが行われます。
しかし本作は、いわゆる既存のテクノとは一線を画す構成です。
一曲あたりの曲時間は、このジャンルとしては比較的短く、楽曲もバラエティに富んでいて、曲順も練られています。
オープニングの『4』は、やはりオープニングに相応しい軽快な楽曲ですし、続く『Cornish Acid』への流れもとても良いです。
アルバム全体として、起承転結のような盛り上がりも感じられます。
結果、この手の音楽に馴染みがなくても、楽しみやすい作品に仕上がっています。
徹底した「ポップ」さ
私はエイフェックス・ツインの作品はだいたい網羅しています。
一番よく聴くのは、『Selected Ambient Works Volume II』で、その次が『Selected Ambient Works 85–92』です。
どちらもヤバすぎる名盤ですが、実際に私が聴く頻度は『II』の方が高いです。
近年の作品ではやはり『Syro』を一番よく聴きます。
そんな彼の作品において、本作は異例と言えるほどポップな楽曲が多いです。
同時期の作品と比較すると、前作『…I Care Because You Do』は、本作よりもコンピレーション感が強いです。
彼の個人的な嗜好が、強く反映されているように感じます。
本作には、よりリスナーが楽しめるような作品にしようという意志が、感じられます。
(本人にそのつもりはないかもしれませんが)
中でも、『Girl/Boy Song』のポップさは際立っています。
ドリルンベースを基礎とした、マッシュアップ感強めの、はちゃめちゃな楽曲です。
奇跡的なストリングスアレンジで、美しくキャッチーに仕上げています。
他にも、多種多様な楽曲が並ぶ、バラエティに富んだ作品ですが、徹底しているのは、どの曲もポップである、という点です。
彼はその後、エイフェックス名義では、方向性を変え、さらに振り切った作品を発表します。
本作と同路線だと、AFXの『Hangable Auto Bulb』や、『Chosen Lords』あたりに、近しいポップさが感じられますし、後継的な作品と言えるかもしれません。
この曲は凄いですね。ちょっと聴いたことがない音が鳴ってます。
リスナーが勝手に分析しても、天邪鬼な彼の性質から想像するに、
「自分が好きなように作っているだけで、周りがどう捉えようと知ったことではない」
と、あっけなく返されそうな気がします。
トトオのオススメ名曲ランキング
オススメ
ランキング
1位『Girl/Boy Song』
2位『Fingerbib』
3位『4』
終わりに
私が本作をオススメした結果、エレクトロニカ好きになった友人が数人います。
テクノ・エレクトロニカに全く触れたことがない人に対し、一枚だけオススメするなら、本作は最有力候補でしょう。
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