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【ブラジルメタルの古典】Viper『Theatre of Fate』/ トトオのオールタイムベスト⑯

ヴァイパー アルバム 写真 ブログ用 オールタイムベスト

トトオです。

今回のオールタイムベストは、

ヴァイパー『Theatre of Fate』を、

紹介します。

前回記事はコチラです。

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天才アンドレ・マトスの原点

VIPERはブラジルのヘヴィメタルバンドです。

このバンド名だと若干マイナーですが、

後に有名になるミュージシャンが参加していました。

それは後にアングラを結成する、

アンドレ・マトスです。

彼はこのVIPERでデビューした後、

同じくブラジルでANGRAを結成し、

一躍人気バンドになりました。

最も有名な楽曲はやはりこれでしょう。

アンドレはその後、ANGRAを2000年に脱退し、

シャーマンやソロで活躍しましたが、

若くして亡くなりました。

Viper 『Theatre of Fate』

アンドレの脅威のハイトーンボイス
クラシックとメタルのミクスチャー
チープさも個性、粗削りなサウンド

アンドレの脅威のハイトーンボイス

アンドレは本作発表時は

まだ10代という若さでしたが、驚愕の歌唱力です。

数年後のANGRAのデビュー作でも、

ボーカリストとしての実力は絶賛されていましたが、

本作ですでにその力を十二分に発揮しています。

「これぞまさにメタルシンガー!」と、

言わんばかりのハイトーンボーカルで、

ロブ・ハルフォードもびっくりといった感じです。
(※ジューダス・プリースト)

元々はブルース・ディッキンソンみたいに、
(※アイアン・メイデン)

歌っていたらしいですが、限界を感じて、

大きくスタイルを変えたことが、

功を奏したようです。

但し、やはり本作では、

まだそれほど洗練されておらず、

力づくで歌い上げている箇所もあり、

そこがまさに本作の聴きどころです。

アンドレはViperを脱退した後も、

複数のバンドに所属しながらも、

長くミュージシャンとして活動しましたが、

ハイトーンボーカルを維持し続けたのは、

彼のプロフェッショナルを感じます。

本アルバムのラストは、

ベートーベンの月光をモチーフにした

その名も『Moonlight』で幕を閉じますが、

アンドレの2007年のソロ作でも、

月光コンセプトの楽曲を披露しています。
(その名も『A New Moonlight』

本作から約20年後でもこの歌唱力です。

クラシックとメタルのミクスチャー

基本的に全ての楽曲は、

ベース担当のピット・パシャレルが書いていますが、

捨て曲なしの奇跡の完成度です。
(ギターとベースは兄弟)

ツインリードギターのヘヴィメタルと

クラシック楽曲の融合ですが、

いわゆるネオクラシカルメタルとは一線を画します。

一般的に、ネオクラシカル系のバンドでは、

看板ギタリストが一人いてバンドの中心で、

他楽器はそれに合わせる、

というスタイルが多いです。

本バンドでは、良くも悪くもギタリストが、

その手の超絶プレイヤーではないため、

ギターだけにフォーカスをあてることなく、

楽曲をどのようにバンドで格好良く演奏するか、

に焦点を当てています。

ベーシストがソングライターである、

ということも関係しているかもしれませんが、

ギタープレイよりもリフや構成に重点を置いており、

このことが本作の完成度を上げています。

また、クラシック楽曲をベースにしたメタル楽曲と、

アンドレのボーカルは抜群にマッチします。

チープさも個性、粗削りなサウンド

本作は1989年発表ですが、

低予算で作られたのが一発でわかるような、

ややチープな、良く言えば粗削りなサウンドです。
(当時のレコーディング環境としては、
 素晴らしかった、とはアンドレの弁)

ボーカルに、ツインギター、ベースにドラム、

少しのSEと、必要最小限で構成されていますが、

その分、一つ一つの楽器の存在感が大きいです。

ギターのディストーションは、

いわゆるドンシャリ系ですが、

それほど太すぎない歪み方であるため、

ツインギターでも他の楽器の邪魔をしません。

クラシック音楽とメタルリフの、

いわばミクスチャースタイルですが、

ギタープレイはかなり上手いです。

二十歳前後のギタリストとはとても思えません。

ギターが良い意味でシンプルな音のため、

ベース・ドラムのリズム隊のプレイも明瞭です。

ドラムに関しては、他の楽器とのバランスとして、

ややボリュームが大きすぎるように感じますが、

ライブっぽく生々しい、とも言えます。

ドラマーはそれほど上手くないようですが、
(ややもたつく)

彼らの味と言えば味でしょう。

この当時の彼らの演奏を聴いていると、

本当にバンドが好きで、

情熱を注いでいることが感じられて、

非常に微笑ましいです。

ブラジルの若者バンドということから、

異国情緒も相まって、自然と応援したくなります。

若者バンドの名盤と言えば、

NWOBHMバンド、

プレイング・マンティスの一作目にも通じる、

メタルへの情熱と愛情と完成度です。
(時期もお国も違いますが)

終わりに

アンドレが2019年に亡くなった時は衝撃でした。

当時まだ47歳でした。

日本での彼のキャリアの絶頂は、

ANGRAのデビュー作だったと思います。

その後、彼がANGRAを去った後も、

ANGRAが人気バンドとして継続されたことは、

それはそれで素晴らしいことです。

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アンドレは、その後も、

数々のバンドやプロジェクトで、

唯一無二の存在感を発揮していました。

Viperにも参加していました。

本当に、突然亡くなってしまって、

人生わからないですね。

『Theater of Fate』が発表された1980年代、

ブラジルの音楽なんて、

普通に考えたら日本で流行るわけないのですが、

メタルというジャンルであるだけで、

はるばる国境を越え、

日本でも受け入れられたということは、

驚くべきことだと思います。

当時から、日本は世界でも有数の、

メタル愛好国だったことがよくわかります。

いやぁ、メタルって本当にいいもんですね。

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